20191202

南北に走る列車 胎児のように眠る 子宮の中で 呼吸も忘れて丸くなる 下界の音が無分別なままで私のまわりをつつみくるむ ゆっくりとゆるやかな電車の音 電車の屋根の上を打つ雨音が聞こえる 隣の車両の客の呼吸の音が聞こえるほどゆっくりと 空調のついていない電車が 遅延してゆっくりと走る みな息をひそめて 子宮の中の胎児となる 誰かが飛び降りて遅延した電車の中で みなが胎児となって丸くなる 死でも生でもない 音楽もない 老衰の香りは消えて 無呼吸=深呼吸に身をひたす… / 人間の幼年時代と自分の幼年時代との相反を前にするランボオ!! 人間の幼年時代はキリスト教の刻印を押される以前であり 生に満ちて 生を肯定して生きていた!! ランボオの幼年時代にあっては つねにすでにキリスト教は侵入しており 寧ろキリスト教こそが彼の幼年時代を可能にしていた!!    ハイデガー的不安は具体的にその対象を持たないが 不安それ自体を 対処されねばならぬものとして対処の対象とすることは可能か??不安は対処の対象としての不安それ自体へと我々を差し向けるか??不可能なものこそが思考を促すように!! / 恐れの対象は Aを恐れる におけるAであるが Aは 私に恐れを引き起こす限りで 主体の如きであり 私が受動的な対象となっているが如くである!!

吃逆と後悔に襲われたならば 大きくむせて熱い流体を喉へ落とせ 臓腑を焼いて精神を保て 歯茎の律動を突き放せ  文字社会で悪者が水風呂に集まったならば 女の写った小さい写真を切り刻め  私は故郷から帰ってきた 水際へ水際へ… 口論の多い街で頭が犯される 声の大きさが最も重要なのである!! 死にきれない 田舎め 都会人め お前の鉄はもう錆びているんだ お前の富は 祝祭とは程遠い発砲のあとでは 土くれにも満たぬ 権威者の窓ガラスが割られて サイレンが鳴りだしたら 頸を振り回して踊れ 頸を偶然に委ねて 舌が他人の歯に挟まれ切れるまで 血の四散 聖痕は消えるだろう

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