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パブリッシャーと組んでゲームをリリースしてみた

※これはゲーム制作者が自由な記事を作る Advent Calendar 2021の12/5参加の記事になります。

はじめに

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こんにちわ、こんばんわ、おはようございます、のんちゃです!
さて、今回、百年王国をリリースする上でコーヒートークのSwitch版パブリッシュしている、Chorus World Wideさんと組んでみたわけですが、ざっくり、パブリッシャーとはなんぞやとかパブリッシャーと組む上でのメリットなどを紹介できればと思います。steamでゲーム漁っているときにパブリッシャーってなんぞやって思った方や意外なパブリッシャーのお仕事などを紹介できればと思います。

発売するのに必要なこと
パブリッシャーについて紹介する前に発売するのに必要なことを紹介できればと思います。
「ゲームを一本発売する」には色々やることがあります。
steamでも開発者アカウント登録~ストア開設だったり、翻訳だったり、QAや宣伝、サポートだったり、NintendoSwitchなどのコンソールで販売するのであれば、開発機の手配や販売などの手はずが必要となります。それらをバックアップしたりサポートしてくれる存在がパブリッシャーとなります。
すごくわかりやすい例でいうと、パブリッシャーとゲーム開発者は出版社と作家の関係と非常によく似ていると思います。

パブリッシャーのお仕事
パブリッシャーと聞くとコアゲームプレイヤーさんの一部には単なる販売窓口でしょ?とか宣伝窓口みたいなものでしょ?って思われるかもしれませんが、たしかにその一面はありますし、その業務単体を行っているところも多数ありますが、それはパブリッシャーのお仕事の一部にすぎず、実のところはかなり広い範囲で仕事していたりします。その中の一部を紹介できればと思います。

・販売窓口
いやいやいや、それはわかっているからと思われている方も多いですが、これは一概にsteamだけではなく、Nintendo SwitchやPS4,5、Xboxなんかの開発機の手配からサポート、ストア販売までやってくれたりします。これはどこのパブリッシャーさんも行いますが、一部パブリッシャーさんの中には対応していないプラットフォームなんかもあったりするので、どこらへんの販売に強いパブリッシャーさんなのかとか事前に担当者の方に聞いておくといいでしょう。

・翻訳
これは開発者がやることもありますが、資金力や窓口がないインディゲームデベロッパーにおいて、実はあまりやる作業ではなく、パブリッシャーが翻訳をするといった形になります。なので、steamでは日本語ってあったのにEpic Gamesストアでは日本語がないじゃないか!この開発者め!って思う方が居るかもしれませんが、実は翻訳はパブリッシャーの持ち物でEpic Gameストアは範囲外なので日本語がありません的なことが起きるわけです。ですので、日本語版が他プラットフォームで対応していないけども欲しい!っていう場合はパブリッシャーに問い合わせしましょう。需要と供給次第では一考はしてくれるかもしれません。
後、翻訳するときの注意点なのですが、UIやフォントには要注意です。中には対応していないフォントも多数あったり、文字がはみ出たりなど、色々あります。Unity Asset Storeの中には多言語対応アセットみたいなものがありますが、さすがに文字表示やUIの調整などはやってくれないので、言語対応する場合は組み込み方に注意したほうが良いと思います。

・宣伝
これもいやそれは基本でしょって思われる方もいますが、そうじゃないパブリッシャーさんもわりと居ます。販売窓口に徹しているパブリッシャーさんだったり手厚さが全然違ったり、色々ですし、steamの中にはパブリッシュするだけで宣伝に値するパブリッシャーさんも中には存在します。あとは宣伝方法とかも全く違ってくるので自分のゲームとの相性やどう展開したいかという要望も含めて、パブリッシャーの担当者さんに聞いてみたほうがいいでしょう。

・ストアデザイン、PV作成
パブリッシャーによってはやってくれるところがありますし、そうじゃないところもあります。中にはゲーム開発のアシスタントをしてくれるところも存在します。ただし、ここらへんはパブリッシャーよりも開発者がやったほうが…っていう場合も中にはあるので、そこはパブリッシャーと相談という形になります。

・コンソール移植
パブリッシャーの中にはコンソール移植もやってくれるところもありますが、担当エンジニアが常駐していることが条件となります。スケジュールを取らないといけないこともあり、発売までの期間が長引いたりしますし、製品次第では契約内容が悪くなる可能性も考慮する必要があります。また、パッケージ版の場合、パブリッシャー側の負担が大きいため、これも契約内容が悪化する要因になる可能性があったりします。あくまで可能性ですが、ケースバイケースなので、パブリッシャー担当者に聞いてみたほうがいいでしょう。

・QA
テスターさんが完成品をテストして動作やゲームのフィードバックしてくるものとなります。翻訳も行った場合、LQA(Linguistic Quality Assurance)も行ってくれたりします。言語的に正しいかどうかなどのチェックを行ってくれます。実はやってくれるパブリッシャーさんもいればやってくれないパブリッシャーさんも中には居るので契約書が送られてきたときに確認したほうが良いでしょう。

・融資、資金前借り
交渉次第ではやってくれるパブリッシャーさんも中にはあります。ありますが、個人的には目をキラッキラにパブリッシャーってお金くれるんですか??みたいなこと言われてすごく困る内容になります。あくまで融資を受けられるのは実績残した人or実力のある人とされており、下手するとクラウドファンディングやエンジェル投資家・銀行・補助金のほうがお気軽だったりします。いやいやだって、そこまで売上られるかどうかわからない作品に普通お金くれるかって言われると足切りは確実に受けますし、自分の作品とパブリッシャーを過剰評価せずに第三者の目線で天秤にかけて欲しいと言わざるを得ない部分があります。高確率で契約条件を悪化させる要因になったりする場合がありますのでいたずらに融資を受けるのは得策とはいえないです。

ざっくりとパブリッシャーさんがやってくれることをリストアップしました。プレイヤーさんからは見えないですが、わりと色々なことをやってくれます。また、やってくれることをそうじゃないことがあるので事前に担当者の方に交渉したほうが良いです。

契約条件
いわゆる契約書にかかれている内容です。これも人によって様々ですし、パブリッシャーさんと自作品の力関係だったり色々です。ここでもわりと重要なことがあるのでピックアップをします。

・売上分配
これ一番大事です。とっても大事なので覚えておいて損はないです。
各種プラットフォームでは売上の3割を取っていくので、残りの7割と分配することになります。また、steamなどの外資系が行っているサービスは為替などの影響も多少なり受けることになりますので考慮する必要があります。また、パブリッシャーさんがやってくれることが増えるにつれて、この売上分配が減っていく傾向にありますし、大手であればあるほど減っていく傾向にもあります。なので、そこらへんは自身のゲームと見つめ直して交渉する必要があったりします。ただし、開発者に残るのが1割だったり、3割だったりと極端に低い場合は避けたほうが無難です。

・所有権
ちゃんと記載されているかどうか確認したほうが良いです。特に所有権を指定してきたときは目をこらしてみたほうが良いです。海外パブリッシャーさんだとわりと顕著なのですが、所有権に関することが書いてあったりします。

・契約の罰則
ここに関しても確認しておいたほうが良いでしょう。というのもなんらかの理由で延期した場合、契約条件悪化などといったことが起こり得るので、目を通したほうが良いでしょう。

・続編や契約期間
発売後の契約期間についても確認したほうが良いです。リメイクやリマスターなどを作るときに効いてきたりします。発売後、リメイクやリマスターを作成する予定がある場合はあらかじめ確認を取ると良いでしょう。

ある程度軽く述べましたが、配慮してくれるパブリッシャーさんもいればそうじゃないパブリッシャーさんも中には存在しますし、海外パブリッシャーはそれが顕著に現れます。ですので、よくチェックしましょう。できれば弁護士さんに査読してもらったりするのも手です。

パブリッシャーとどうやったら遭遇できるの?
Nintendo Switchやローカライズしてリリースしたいけども、パブリッシャーとのコネクションないけどもどうやって遭遇できるの?みたいな方におすすめの方法をリストアップします。

・Indie Live Expo
15秒のPVを流す、インディゲーム宣伝用のyoutube番組になります。

・Asobu Indie Collection
Asobuと呼ばれるインディゲーム用コミュニティーの番組になります。
作者がゲームをプレゼンする番組になります。

・BitSummit
インディゲームでは日本最大級のオフラインイベントになります。

・デジゲー博
同人・インディゲームの日本で片手数えられるクラスの大規模オフラインイベントになります。

意外と新しいゲームがないかどうか目を皿にして探していたりしますし、アンテナは一般の方よりも広いですが、大手になるにつれてアンテナが少なくなったり、そもそも窓口シャットアウトしていたりします。なので、契約したいパブリッシャーさんがいればある程度アプローチする必要があります。また、パブリッシャーさんと交渉する際は体験版やデモリールでも良いので見せておきましょう。


まとめ
なんだかんだでパブリッシャーさんは縁の下の力持ち的な存在です。また、特性もそれぞれですので、自分に合ったパブリッシャーさんを選ぶのが一番良いと思います。下手に大手選んでも分不相応で不遇な扱いをされたりする場合もありますので、自分自身のゲームを冷静に見つめ直して自分自身にぴったりなパブリッシャーさんを選ぶことをおすすめします。

宣伝

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最後に宣伝になります!!
年末年始に百年王国がChorus World Wideさんの新規レーベルであるWakuWakuGamesの第一弾として発売されます!
SteamやNintendoSwitchにて配信予定ですので、お手にとっていただけると幸いです。

参考文献
インディーゲームスタジオとパブリッシャーの適切な契約内容とは? 数々の契約を見てきた海外弁護士がデータとともに明かす

インディゲームサバイバルガイド

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