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 僕の住む兵庫県では、5月6日までの休校措置が発表された。休校に入り42日目が過ぎてきた。予定でさえあと23日休校が続く訳ではあるが、我が子は、まだ小学校2年生と年長という年齢であり、合わせて言うと僕が去年まで小学校で教師をやっていたこともあり、そこまで困ってはいない。
 しいて言うならば、新たな仕事として始めた家庭学習応援施設MyPlaceも現在は完全閉鎖の状態にせざるを得ないこともあり、利用している子どもたちの学習リズムや生活リズムのことがとても心配ではある。
 ただ、僕たちは今こそ『教育』のあるべき姿について見直し、より今の社会や子どもの様相にあった『教育の形』を問い直すべき時なのではないかと僕は思っている。
 出された『宿題』が出来れば終わりでは無いと思うし、その『宿題』についても正しく疑って欲しい。必要無いと思いながら『学ぶこと』を自分から遠ざけるくらいなら今こそ思いっきり『学ぶこと』を楽しんで欲しい。
 今日はこの休校中に是非僕がオススメしたい『学び』について紹介したい。

1.ゆっくり『読む』時間を!!

日頃から読書の習慣のある子どもは、恐らく学びに対して前のめりの子どもが多いと思う。
 今の世の中には、『読まなくてもいい情報』が溢れている。読めばわかるように丁寧に書かれていることも多いが、世の中全体が『読むことをしなくても何となく上手くいく設計』に溢れていることからそれに気が付くことさえなく通り過ぎてしまうことさえ多い。
 本を読むことは、決して直接的に『知識や情報』を得る良さだけでは無く、自分の生活に活かせる『何か』を見つけるきっかけが至る所に転がっている良さもあるのだ。
 僕自身も教師を辞め、読書量が倍以上になったことで今まで感覚的に『点』として感じていたことが『線』としてより研ぎ澄まされた部分がある。なかなか理解してもらえなくても今の施設の方向に自信を持って取り組むことが出来るのはそのおかげもある。
 いくつかオススメしたい本はあるが、中高生辺りからなら下に挙げるような本は『一生使えるスキル』として『学べる部分』が多いので是非読んでもらいたい。
メモの魔力The Magic of Memos/前田 裕二
大論争! 哲学バトル/畠山 創
AIに負けない子どもを育てる/新井 紀子
 
もっと言うと、ただ『読む』だけでは無く感じたことや新たに知ったことを『自分の生活』と重ねて感想を少しまとめてみることをオススメしたい。この作業は多くの子が苦手としていることなのだが、自分の感じたことや考えたことを『ふり返ること』は授業などでも使えることなのだが、これからは『思考力』や『表現力』を高めることを求められる社会になってきているので確実に『一生使えるスキル』になることだろう。

2.得意なことを伸ばそう!

 こんな時だからこそ、一度嫌いなことや苦手なことはほどほどに置いておいて『得意なこと探し・好きなこと探し』をして欲しい。
 教師として7年半働いて『学習や生活』に難しさがある子のほとんどは「何が得意?何が好き?」と聞いてもはっきりした答えが返ってこないことが多かった。一応習い事のことを挙げる子も多いのだが、少し詳しく聞いてとほとんどが本人の中からの希望と言うよりは『親の期待』に沿うことが目的になっていることが多い。
 もちろん、そういう『優しさ』だって否定はしない。でも、これから『自己決定』を多くの場面で自分でしていくことを考えたら『自分の興味関心の強さ』くらいは自分で決定して欲しいものだ。
 そのためにもまずは、没頭して『得意なこと・好きなこと』にのめり込む時間は今しか無い。
 「今日何してた??」と聞かれて上手く答えられないような生活をしている人は是非何かにのめり込む感覚を養って欲しい。

3.使えるものは全部使う!!

 インターネットがある世界と無い世界では、僕らのチャンスは大きく変わっている。
 今回の休校でよくわかっただろうが、『公立学校』と言う場所は、色いろなしがらみで成立している場所であり、フットワークはかなり重めだ。個別最適化した意味のある課題や宿題を出してくれることを待っていたってしょうがないし、出してくれないことに文句を言ったってそれは贅沢ってものだ。『公立』って言うのは『必要最低限のサービス』だ。
 やっとこさ一生懸命『教材』や『授業動画』をアップしている学校が増えているが、そんなものはもう『旬』が過ぎている。休校が決まった次の日からインターネットの世界には多くの企業が無償で『教材』や『授業』をアップしている。『質』も高いし、洗練されているものも多いので、やる気のある子や教育熱心な保護者はすでに利用していることが多いだろうから休校から1ヶ月を過ぎた今は余計な力を使わずにそちらを紹介した方が効率的だと思う。
 ゲームやYoutubeも使い方によっては『学び』に変わることだってある。使えるものは全部使えばいいと思う。
 恐らく『学校』が始まればきっと何も無かったように普段の生活に戻っていくのだろう。だからこそ、普段使い出来そうな『学習ツール』を見つけておくこともいいのでは無いだろうか。
 ある中学生にこの休校中出された宿題の中に『教科書本文を写して、それを日本語訳』するという宿題が課されていた。もちろん、和訳が出来る子にとっては時間潰しにしかならないし、苦手な子はそれをこなすだけでは単語の意味を調べて並べるだけで『学び』は生まれない。そんな姿を見て『Googleで教科書名と学年入れて和訳調べれば全文出るからそれ見れば?』と伝えた。そして「そんなことよりも文法の基本をもう一度整理したり、リスニングに慣れたりすることに時間を使う方がいいよ!」とアドバイスしたが、きっとこの子たちは『宿題』が終わったらきっと『英語』の勉強はしない。そもそも一刻も早く『英語』の勉強から逃げたい素地が出来上がっているからだ。

 今の社会情勢は正直辛い。ただ、今こそ僕らがしなくてはいけない『作業』は今までの『当たり前』をしっかり見直すことだと思う。
 きっと僕らが死ぬまでに今回のような国難は何度も来るだろうし、それを乗り越えるための『国』や『人間』で居続けなくてはならないと思う。
 もし、この長々と書いた文章を読んでくれた人がいるならば、一緒に『教育』を見直す仲間になっていければ嬉しく思う。

このサポートは、家庭学習応援施設MyPlaceの運営に活かされます。日本を支える『教育』のサポートをぜひお願いします!!