13年経った今でも思い出す、新卒1年目に受けたクレーム
営業をやっていればクレームやお叱りを受けることは必ずある。
大事なのはそのクレームを受けた後にどう対応するか。
その対応の仕方で売上が消滅するか大きく伸ばせるかが変わる。
難しいお客様ほど他社もやりづらいのでこういうお客様を攻略するのは非常に有効である。
クレームを制すれば売上を伸ばすことができる。
ちなみに私も新卒のときにクレームを受けたにも関わらずビビって見ないふりをして放置してしまっていた過去もある。
ただあるクレームがきっかけで自らクレームに飛び込むようになり、そこからかなりのお得意様になることが増えていった。
そんな私が13年経った今でも思い出す新卒のときのクレームとそのときにどう対応したかを書いていく。
新卒1年目の衝撃なクレーム
新卒1年目の私は先輩から大手企業のお客様を引き継ぎその中のキーマンを中心に挨拶訪問していた。
そしてそのキーマンのうちの一人に2回目の訪問に行った。
同行していた別の商品担当の同僚が話したあとに私も新商品の紹介をしようと思うと様子がおかしい。
「野村さんの話は聞きたくないから帰って」
驚きすぎて一瞬反応できなかった。心当たりがない。
すぐに帰って前任の先輩に相談。
1度挨拶で30分ぐらい話しただけなのでそこまで言われる理由がわからないと言うと、
「俺が電話して聞いてみるわ」と先輩。
電話をスピーカーにして私も隣で聞く。
「あいつこないだ来たときまた新商品の資料メールで送るって言ったくせにまったく送ってこんかったんや!担当変わったばかりのくせに約束の1つも守れんのかい!」
そうだった。軽い感じで「資料送っておきますね」と言って送れてなかった。
一瞬、(それぐらいで怒るのか・・)との思いがよぎりつつも、このお客様は結構細かいところを気にすると引き継ぎの際に言われており完全に自分のミスだ。
罵声は10分ほど続いて電話が切れた。
どうしようと思いながら先輩と話した結果、会って誠意を見せるしかないという結論になり、次の日何回か電話した。
が、一向に出てくれない。
お客様の会社に出向き内線電話を鳴らす。出てくれないので受付の方にそのときの資料をお渡し伝言をしてもらう。
2ヶ月間、毎週必死にそのお客様に役に立てる資料などを持って通ったが会ってくれない。
手紙を書く。
その結果、お客様から電話がかかってきて「5分だけ話聞いてやるわ」と。
自分のプロ意識が甘かったこと、約束を守れていないことの申し訳無さ、今後は絶対に同じ過ちを犯さないようすることをお伝えした。
「わかった。また1ヶ月に1回ぐらいは話聞くからおいで」と。
それから最低でも1ヶ月に1回は通い、そのお客様との信頼関係を築けたことで競合製品が導入されていたところをほぼすべて自社製品に置き換えてもらうことができ大幅に売上はアップした。
クレームは売上増加と自分の成長を促すチャンス
クレームを受けたとき、些細なことなのになぜ?とかこの人理不尽なことばっかり言ってくるなと思うこともある。
そういうときお客様や会社の環境や商品のせいにしたくなる。
ただそこをグッとこらえて
「このお客様と関係構築をするにはどういう行動をしたらよいだろう」
「会社にとって中長期的に売上が上がる対応はなんだろう?」
という視点で考えるのが大事だと思う。
営業にとってもクレームは自分の対応力を上げるチャンスであり、クレームを言ってくるお客様ほど影響力があったりするのでクレームから一転して大口顧客になることも往々にしてある。
またクレームにならない潜在的なクレームもある。
価格が高い、仕様が合わない、営業対応が悪いなどお客様が口には出さないが心のなかで思っていることをどれだけ察せられるか。
自分もまだまだだが若手のときに比べれば、機微や表情、言葉の節々から不満に思ってるなというのがわかるようになってきた。
それが少しできるようになったのは相手の立場になって考え、真剣に相手の言っていることや表情を理解し気になるポイントがあれば徹底的に深堀りするというスタンスがあると思う。
クレームで差がつくポイント
最後にクレームを受けた際にここだけは外さないでほしいというポイントをまとめてみる。
①初動
クレームを受けたときの初動はかなり重要。
ここをミスると取り返しのつかなくなるケースもある。
まずは誠心誠意謝罪から入るのがよいと思う(たとえお客様の勘違いなどあったとしても)
その後にクレームの経緯を聞きその原因を伝える。
そして改善策を期日なども含めてしっかりと伝える。
②何に怒っているのかを正確に把握する
ここを案外履き違える営業は多い。
例えばお客様は仕様や機能が満たされないことに怒っているのではなく、それを最初に営業からお客様に伝えていないのが問題というような場合。
✗「機能が満たせておらずこの機能は○日までに対応するので〜」
○「最初にお客様の要件をしっかり確認してから、仕様としてできること、できないことを明確にお伝えするべきでした。申し訳ございません」
こういうケースは案外機能としてはそこまで重視してるわけではないがそれを伝えていなかったり、はぐらかされたりしていることに怒っているパターンが結構ある。
③使えるものは使う(誠意の見せ方)
クレーム対応のときに無理に1人でなんとかしようとしないほうがよい。
落としどころを決めるための権限を持っている上司を連れていくのはもちろん、技術クレームの場合は開発を連れていく、過去の背景を知っている担当者を同行させるなど。
特に若手のときはそこまでクレームの経験も多くないのでしっかりと情報共有をしてアドバイスをもらう。
こういうときにクレームを受けている事自体社内に共有しないのが一番最悪だ。
社内の関係者を巻き込むことでお客様も「ちゃんと情報共有して問題を解決しようとしているんだな」と感じて怒りが収まる効果もある。
④逃げない
ここがなんだかんだ一番大事だと思う。
お客様の言っていることを真正面から受け止め問題を真剣に考える。
そして最善だと思われることを全力で行う。
もちろん色んな人の力を借りながらでもよい。
クレームを自分だけにとどめて報告せずそのまま顧客が離れていくということも普通にあるが、そういう楽な道に逃げるのではなく真正面から受け止めることで営業としての交渉力も格段に上がる。
最後に
クレームを受けると非常に憂鬱な気持ちになる。
私もそうだったし力量不足に悩むこともある。
ただ一つ一つのクレームが自分自身を成長させてくれたなと今は思うし、クレームを受けるたびに同じ過ちは絶対繰り返さないという気持ちが生まれてレベルアップするのでそこにしっかりと向き合って営業していく人が増えたらいいなと思う。
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