見出し画像

『三体1』(劉 慈欣)を読んで

絶賛、世界中で話題の本。もう遅いか?  気になってはいたが、「中国」や「SF」「超長編」といったキーワードに馴染みがなくて踏み出せていなかった。今回、長期の休みを活用して挑む。

話は中国の文化大革命での闘争から始まる。中国の歴史をよく知らず、正直、あまりよくわからなかった。その後、主役が研究者に移り、舞台は天文学を研修する施設に移る。このあたりから徐々に物語味を帯びてくる。次に、応用研究者でナノマテリアルの権威である汪教授が主人公となり、奇天烈な現象と組織に巻き込まれていくことになる。ここまでくると、完全にSFの世界観になり、話としても面白くなる。

特に、三体のVRゲームでは、訳分からない設定(秦の始皇帝が出てきたりガリレオが出てきたり。三体人間が脱水したり。文明がいとも簡単に滅んだり。会話が乱暴だったり。)なのにも関わらず、読んでいくうちになんとなくゲームの進め方を理解していき、いつの間にかワクワクするという、不思議な感覚を味わえた。

物語内では、広域で膨大な知識を元に、歴史から文化、科学まで縦横無尽に話が展開される。だから、部分的に全く意味不明な展開もある。しかし、のちにうまく説明されるので流れはわかる。しかも、物語の規模は、陽子1個から太陽系を遥かに超えた範囲で展開されている。全世界で読まれているのは、知的な内容×圧倒的スケール感×物語の面白さを同時に成り立たせているからだろう。

そうはいってもこの本、かなりの体力を消耗した。不思議なことに、1章分読むと決まって睡魔が襲ってきていた。なので、ベッドの上で本書を読むようにしていて、2章分くらい読んで昼寝する、というのを3日くらい行った。ちょうど、三体世界を解明している場面だったので、夢でVR空間を彷徨うことになった。自分にも三体人間が干渉してきていると、その時は思っていた。それほどのめり込める本である。


本書、意外と発行から時間は経っているのだが、流通は少ないようだ。ブックオフでは『三体1』はなかなかお目にかかれなく、メルカリでは値が崩れない。穴場本である。僕自身は、「面白かったが本棚にとっておきたいとまではいかない 」ので、もしかしたら積読が溢れているのかもしれない。とにかく、中古本が入手できるのであれば、買い、だと思う。早速、ブックオフを周り、『三体2の上下』(三体2,3はそれぞれ上下巻なのだ、、、)を購入。果たして、5月までに読みきれるのか。

最後まで読んでくださいましてありがとうございます! 一度きりの人生をともに楽しみましょう!