野本遼平 / Globis Capital Partners

Globis Capital Partners←KDDI傘下Supershipホールディングス経営戦略室長&子会社役員←弁護士/著書に「成功するアライアンス 戦略と実務」など https://www.amazon.co.jp/dp/453405761X/

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    竹田青嗣「ニーチェ入門」(ちくま新書)読書会レジュメ(“ニーチェ”のスタートアップ的解釈)

    1.はじめのニーチェ当時の思想家たちには、「この世(人生)は矛盾・苦しみにあふれている」という考え方が大前提にある。これは現代においても、おそらく同じ。 それを前提としたうえで、ショーペンハウアーのようにペシミスティックに考えるのではなく、人間の欲望や自我を肯定する「ディオニュソス的」な考え方をするのがニーチェ先生。 ニーチェは、仏教的なアプローチで「この世の矛盾」から生まれる苦しみを克服することにネガティブ。なぜなら、欲望を否定することで人間が”弱体化”してしまうから。

      • スタートアップとして解く「問い」を言語化する枠組み

        事業に関するピッチを聞いた際に、「ターゲットユーザーについてもっと詳しく教えてください。」という質問をさせていただくことが少なくありません。 これに対して、例えば「XX業界のSMB企業」といった粒度での回答をいただくと、この情報量だと、聞き手としては、なかなか視覚的・映像的なイメージがわかなくて困ってしまいます。(さすがにここまで粗いケースは現実にはありませんが。) なので続けて、「SMBといっても、どういう規模のどういう会社のどういう部署のどういう役職でどういうミッショ

        • ナチュラル・ボーン・クローザーズ(後編)

          (前編はこちら) メンタルデベロッパー社は、2019年に創業された、エグゼクティブやマネジメント向けのコーチング事業を祖業とする企業である。 もともとは、エグゼクティブに対して、専属・フリーランス問わず数千人規模のコーチ群から適切なマッチング・アサインを行い、ビデオ・テキスト・通話を利用したオンラインセッションのインフラを提供する企業だった。 ところが、規模の拡大に伴いコーチの質を維持できなかったのか、あるいは、当初から暗に計画されていたのか、2025年頃、画面の向こう

          • ナチュラル・ボーン・クローザーズ(前編)

            飯田は完全に息切れしていた。オフラインでのクロージングは久しぶりだったせいか、移動時間を見誤った。これは初めてのことではなく、飯田は過去においても何度か遅刻を犯していた。しかし、このままでは間に合わないかもしれないにもかかわらず、飯田に悲壮感や焦燥感はなく、むしろ口角はわずかながら上がっている。 いまは2032年2月。飯田は、ひざ丈まであるダウンジャケットを身にまとっていた。こんなに走ることになると分かっていたなら、つい先週購入したトレンチコートにすればよかった。額には汗が

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          • 近未来ITショートショート
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            アイ・イン・ザ・ファクトリー 世界一効率的な町工場(後編)

            (前編はこちら) 円盤は、直径6センチほどにすぎないものの、30個も並ぶと仰々しく、まるで地球外生命体が大量に産み落としていった卵のようだった。その上に無造作に放られた20センチ四方の厚紙には、「ユナイテッド・ファクトリー・テクノロジーズ」「スターターキット」との文言と、QRコードが記載されている。 浅和は、所属する商工会議所がユナイテッド・ファクトリー・テクノロジーズ社、通称UFTと共催した、同社サービスの実演会に参加したのだった。いまどき、オフラインのセミナーなど滅多

            アイ・イン・ザ・ファクトリー 世界一効率的な町工場(前編)

            黒い渦が揺らめいている。厳密には深い茶色だが、この薄暗い部屋の中では黒色と表現して差し支えない。紅茶の表面を、渦状にゆらめきながらゆったりと霧散していく黒い液体は、2025年ころに発見された「モルテー酸」と呼ばれる物質を含んだリラックス液剤「モルスリープ」である。睡眠導入剤と比較しても、健康への悪影響が極めて限られているといわれており、健康補助食品として扱われている。あくまでも、現時点において、という留保がついているが。 浅和太郎は、この渦をぼんやりと眺めていた。今夜は、規

            起業家はまずYOASOBIを聴くべし

            みなさん、YOASOBI聴いてますか?基本的に古い音楽ばかり聴いているタイプな私ですらハマるくらい流行っていますね。 「夜に駆ける」のカッティングとかキーボードとか転調の部分とか、「あの夢をなぞって」のギターソロとか、「アンコール」のファルセットとか鳥肌ですね。曲のパーツパーツに言及していけばキリがないのですが、なんというか、全体の世界観とその密度がとても高い音楽だなと、なんとなく思っていました。 そして最近知ったのですが、これらの曲には原作(?)の小説があり、それを楽曲

            「ロジカルできれいな整理」との付き合い方

            下記は、宮野公樹「問いの立て方」に登場する一文です。 あれはあれ、これはこれと単純に分解できない議論の対象を「えいや」でプロットし、整理した気になっていた過去の自分を見て未熟という感情を持ちます。 たいていの物事は、ロジカルに整理したほうが人に伝えやすいし、シンプルなフレーズに落とし込んだほうが記憶に残りやすいし、こういった整理をするプロセスにおいて新たな発見があることも少なくありません。 言葉や図で綺麗に整理すること。形容詞を排除し、定量的に表現すること。これはビジネ

            低予算映画とスタートアップ経営

            アメリカには、インディペンデント・スピリット賞というインディペンデント系の映画を対象にした映画賞があります。インディペンデントとは、要するに小規模作品のことで、製作費が2,000万ドル以下の低予算長編映画のことです。 厳密にインディペンデント系に分類されるかどうかは把握してませんが、低予算ながらヒットした映画として個人的に好きなものとしては、「エイリアン」「ジョーカー」「ロッキー」「ONCE ダブリンの街角で」「ソウ」あたりが思い浮かびます。 こういった作品を改めて思い返

            スタートアップが大企業と連携するときの5つの留意点

             こんにちは、GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本です。  今年の2月に「成功するアライアンス 戦略と実務」を出版させていただきました。編集者の方からのアドバイスに従い、ターゲット読者を広めに設定した執筆した結果、おかげさまで、大企業/CVC・スタートアップの双方から多くの相談のお問合せをいただいております。  一方で、両方の立場に配慮して中庸な路線に仕上げた結果、本書には若干歯切れが悪い箇所もあるなと感じています。  そこで本稿では、スタートアップ側の立

            ファクシミリの何がそんなにすごいのか

            GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本です。  「DX」というワードを聞かない日はない、そんな昨今ですが、とりわけDXの話のときに注目の的となるのがファクシミリ、通称FAXです。良くも悪くも大きな存在感を放っているがゆえ、「紙」と一緒に攻撃されやすい立場にあるファクシミリですが、逆にここまで浸透しており、かつ、今もなおしっかり活用されるファクシミリは、実はすごい存在なのではないか。根強い人気を誇る理由があるのではないか。と思い、ファクシミリのスゴさについて徒然

            DX系SaaSスタートアップ 事業開発の全体像

             こんにちは。GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本です。  SaaSビジネスに関しては、メトリックスに関するノウハウはネット上でも豊富な一方で、(僕が見つけられていないだけかもしれませんが)事業開発的な切り口が少ないと思ったので、DX系SaaS事業開発の全体像についてnoteにしてみました(12,000字超なのでちょっと長めですが、ぜひお付き合いください)。 SIerとDX系SaaSの関係 日本の巨大産業における生産性を高めるという文脈でデジタルトランスフォ

            デジタル時代の戦略提携入門「成功するアライアンス 戦略と実務」を出版しました

            お久しぶりです。GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本です。 この度、日本実業出版社より、デジタル時代における戦略提携に関する入門書「成功するアライアンス 戦略と実務」を出版させていただくことになりました。自分としては初めての単著となります。(入門書といいつつ、ページ数との関係で3,500円を超えてしまっております。すみません。) スタートアップ業界でもDX領域が盛り上がってきていますが、新産業を創るには、これからは「Disrupt」の姿勢ではなく、既存のプ

            【レガシー×TECH】スタートアップがレガシー産業に切り込むときの10個の留意点

            バリューチェーン・イノベーションに対するニーズこんにちは。グロービス・キャピタル・パートナーズの野本です。 日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向2018」の国内企業アンケートによれば、デジタル化に成功している企業はベンチャー企業・スタートアップ企業との連携に積極的であり、また、ITを活用したビジネスイノベーションへの取組みの状況は、  「新しい商品、サービスの創出」、「データ分析の高度化による情報活用」、「集客・売上向上のための仕組みづくり」等、新たなビジネ

            データドリブンなビジネスで押さえておきたい5つのポイント

            こんにちは。グロービス・キャピタル・パートナーズの野本です。 IDCの予測によれば、ビッグデータ・アナリティクス関連の市場規模は、2022年に3,800億円達し、2017年~2022年のCAGRは8.6%になるとのことです。これはあくまでも、ビッグデータ・アナリティクスを支援するソフトウェアの市場規模ですので、データそのものを活かした事業機会は、これと比較にならないくらい大きいと想定されます。データは、バランスシートに記載されない隠し玉的な(しかも強力な)無形資産と言われた

            広告の本質と景品表示法

            広告の本質について、岩井克人氏は、 広告と広告とのあいだの差異−それは、広告が本来媒介すべき商品と商品とのあいだの差異に還元しえない、いわば「過剰な」差異である。それゆえそれは、たとえばセンスの良し悪しとか迫力の有る無しとかいうような、違うから違うとしか言いようのない差異、すなわち客観的対応物を欠いた差異そのものとしての差異としてあらわれる。だが、広告が広告であることから生まれるこの過剰であるがゆえに純粋な差異こそ、まさに企業の広告活動の拠って立つ基盤なのである。