社長の愛人が包丁を持って会社に乗り込んで来たときの話
どうも、のみぞうです。最近仕事を辞めました。(↓前の記事)
ここで書いている通り私は今まで何度も会社を辞めていますが、辞めようと思った理由で今まで一番どうしょうもなかったときのことを思い出したので書きます。一応特定を避けるために詳細ぼかしたりしますが、いうてもう大昔のことだしな。
むかしむかしあるところに、ちいさなWEB制作会社がありました
当時私が勤めていたのは、都内某所のマンション2階にある小さなWEB制作の会社でした。バイトで時給1200円くらいだった気がする。
ベンチャー企業みたいに聞こえますが中身は全然違ってまして。
SNSやCMSというものがメジャーでなかった当時は「ホームページを作りたいけどやり方がわからない~」って会社やお店向けに、HTMLでサイトを作って公開して更新したりするだけの仕事がたくさんありました。この会社もそういう地味な作業を生業にして日銭を稼いでいました。
間取り2LDKのふつーのマンション。1部屋を社長室、1部屋を応接室、残りのリビングダイニングに机を置いて社員たちが仕事するスタイル。サーバ(物理)はその辺に転がってたし、有線のLANケーブルの配線がすごいことになってた。
登場人物
社長…30代男性。先代の社長から会社を継いで2代目。いつも社長室に籠もって仕事をしていた。いわゆる「片付けられない人」で一般の社員は社長室に入れない(物理的な意味で)
エンジニアAさん…20代男性。プログラマ。Bさんと仲良し。
エンジニアBさん…20代男性。インフラ担当。Aさんと仲良し。
Cさん…50代女性。先代の社長の時代からいるらしい派手めのおばちゃん。私はなぜか気に入られていてたまにランチ奢ってもらったりしてた。
私…20代女性。WEBデザイナー兼コーダー兼雑用の下っ端。就職に失敗して仕事を探したが落ちまくりようやくこの会社に潜り込んだ。
事件編
意外な退職者
小さい会社でしたが、AさんやBさんはそれなりに仲良くしてくれて色々教えてもらったし「アットホームな職場です!」を地を行く感じで1年ほど大きな不満なく働いていました。
ある年のお正月。連休明けに久しぶりに出社すると社長に
「Cさん、辞めたから」
と素っ気なく報告されました。
えー年末に本人なんも言ってなかったけど。不思議に思いつつ、まあそんなに親しいという訳ではないし、私が聞いてなかっただけかなー。などとあまり気にしないでいました。
出社後のルーティンとしてリビングのお掃除をしているとエンジニアABが仲良く遅刻してきて、同じように意外そうな反応をしていました。ABも聞いていなかったようです。
ブレーキランプ5回点滅 タ・イ・ホ・デ・スのサイン
Cさんが辞めたことを聞かされた日の午後。リビングにAさんBさんと私、社長が社長室でそれぞれ仕事をしているときのこと
「社長いる?!?!」
テンション高めのCさんが紙袋を下げて出社してきました。辞めたんじゃなかったんかーい。
「社長室にいm…」私の返事が終わる前に社長室に直行していきました、社長室に平気で入れるのは社長以外はCさんだけです。
意味がわからない人は、月曜から夜ふかしの桐谷さんの部屋にテレビが来なくて何も改善がなされなかった世界線を想像するといいと思う。
まあぶっちゃけどうでもよかったので、Cさんのことはおいといてインターネットサーフィンなどしていると
ピンポーン
玄関チャイムが鳴りました。その辺の対応は全て下っ端の私の仕事です。面倒くさいが仕方がない。インターホンにでます。
「警察です。開けてください」
…は?
パニックになり慌ててAさんBさんのところにいって事情を話すと、Aさんが「いや、まず警察手帳確認しないとだめでしょ」と言って代わってくれました。確かに。
Aさんが警察手帳を確認し、どうやら本物らしいおまわりさんたちが家(というか会社)にあがってきました。ふと窓の外を見ると狭い路地にパトカーがパトライトをぴかぴかさせて複数台止まってることに気づく。ついでにご近所の方も集まりかけている。お正月でみんなヒマなのかな?
いつもの職場が急に非現実的な様子になって、何をしていたかよく覚えてないのですが、しばらくするとCさんがやや不貞腐れた様子で両脇を警察官に抱えられながらパトカーで連行されていきました。社長も別のパトカーで任意同行?されていきました。
何もわからないまま、あとに残される3名。
Bさん「…飲み行く?」
とりあえずもう仕事する雰囲気じゃないのでみんなで飲みに行きました。
解決編
真相が明かされ…
翌日も一応平日だったので出社しました。まあ流石に、雰囲気でなんとなく察するものはあったのですが、普通は正式に説明があるかなと思うじゃないですか。心配かけてごめんねみたいなのあるかと思うじゃないですか、いや謝ってほしいわけではないんだけど。
なんもなかった。
Cさん普通に仕事してた。
…は???(2度め)
しばらく期待してましたが何事もなかったかのように1日がおわりました。夢でも見ていたのでしょうか。夢だけどー夢じゃなかったー!?
まあそんな感じなので辞めるよね…気がついたらAさんBさんも辞めてました。もう順番とか覚えてないけど私が遅れを取ったことだけは覚えている。
真実は人の数だけある
パトカー事件があって1週間経たないくらいだったと思うんですが、Cさんから飲みに誘われました。
そのときすでにAさんとBさんはいなくなっていた(休んでただけかも)ので、社長・Cさん・私、という絶妙なメンツで飲みに行くことに。
その時に明かされた真相は…
社長とCさんは愛人関係だった(これは流石に予想はしていた)
実は社長は結婚していて子どもがいる
Cさんはそれを知らなかった(裏切られたと感じた)
私も知らなかった(まじで興味がなかった)
なんらかのきっかけでCさんがその事実を知り関係が泥沼化
ヤベーなと気づいた社長が関係を絶とうとCさんを解雇
社長下手くそすぎん?
納得できないCさんが連休明けに包丁のお土産を持って会社に凸撃(紙袋のなかには包丁が入っていた)
社長室で身の危険を感じた社長自身が通報
通報を受けた警察が来て以下略
包丁を持ってたCさんは銃刀法違反 & 解雇された会社に勝手に入ってきたので不法侵入の現行犯?が成立
その後、話し合いによって2人は和解
驚きのスピード解決
Cさんは社長に慰謝料をたくさんもらったのでもうわだかまりはない
なのでCさんの解雇はなかったことになったので今まで通りよろしくね
…とか大体こんな説明をされました。概ねCさんが楽しそうに話してて社長が頷いている感じ。(なにこれ…)
色恋沙汰に疎かった私は全くついていけず「わー全然気づかなかったー。社長もすみにおけませんねー(棒)」とか超どうしようもない相槌を打ってた。とりあえず社長刺されなくてよかったよね。警察来てびっくりじゃなくて死体を発見してびっくりになるところだったもんね。
奢りの牡蠣料理を食べつつ無駄な時間を過ごしながら、やべーな早く辞めないと…とか思ったりしたのでした。牡蠣は美味しかったと思う。
まとめ
なんとなく居心地がいいからってダメな会社にずるずるいても碌なことにならない
必要な説明がなされないとき、信頼は地に落ちる
銀の弾丸はないが金(カネ)の弾丸はある
慰謝料もらったのでわだかまりはないっていうCさんの言葉は、当時はわからなかったけど今になるとちょっとわかるんですよね…。
お金で買えないものもあるにはあるが、お金は大抵のことを解決する。
そんな私の実体験に基づく有料記事はこちらなのでよかったらどうぞ↓。多くの人にとって全く無駄な知見を提供しています。
まあそんな感じで、ふと昔のことを思い出したので書いてみました。
余談。去年たまたま別の用事でこの会社の近くを通りかかったので、隣接する道路から社長室のあった2階の窓を見上げてみた。
ゴミともしれない無数のなにかが、呪いのようにうず高く積まれているのが見えた。
もしかしたら、今もあの部屋にいるのかもしれない。
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