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古民家の水回りは地雷原だった話

温水器が壊れているだけって聞いていたのに

古民家の購入には保証がありません。基本は現状ママであって、仲介業者や地域の人、売り主がわかっている範囲で不具合は教えてくれますが、なにせ空き家ですから、長期間使っていない家のどこに不具合があるかの全貌は誰にもわかりません。
建物の価値は通常はゼロに近いです。
ほぼ土地代で、場合によっては土地代マイナス家屋の取り壊し予定費で土地より安い場合(古家付き土地って書いてあるやつですね)もしばしばあります。なので保証なんて求められるわけもない。

だから、入居前には覚悟を決めて念入りに調査はするんですね、自分で。
私もさすがに雨漏りの跡や壁の穴、床の傾きなど構造にかかわるところはかなり念入りにチェックしました。その上で契約はしています。

とはいえ、水回りは正直わからないのです。水道が開栓前なので確かめようがありませんし、ほとんどの管は地中と壁の中です。あと田舎の古い家になると水道管も何度も改修や増築を繰り返していて、経路すら不明なことも多いです。

売主さんから「電気温水器は壊れてます」というのは買う前から聞いていて、まあ温水器なんて電気代高いのでどうせ替えるし、その程度ならいいか程度の認識でした。

で、入居して水道屋さん(って市役所ですが)に開栓してもらいます。職員さん開口一番、

「ああ、結構漏れてますねえ…」

やっぱり来たかー、という気分。とりあえず前もって調べた範囲での水道の経路を急いで回ります。結果、現在は使っていない経路で1箇所、さらになぜここに水道管があるのか不明な場所で1箇所水漏れを見つけて、幸いにも近くにバルブがあったので止めました。(これは持ち主の仕事です、水道局は元栓の手前までしか責任はないです)

その結果、だいたい止まりました。が、微妙にメーターが動いているようです。

地中だったら完全にアウトです。コンクリート壊して元栓から新しい管を引くしかありません。それだけは避けたい。
でも、地中は凍結しにくいしショックも受けにくいので比較的漏れる可能性は少ないのです。

とりあえずトイレと台所以外はほとんど止めた状態で再確認したら、今度はほぼ止まっているようなので一安心。(地雷は埋まっていたけどこの時点ではわからず)ちょっと動いているような気もするけど、配管内の空気の可能性もあってこの時点ではこれで良しとします。

職員さんが去った後に調査開始です。

ダダ漏れですやん、そこら中

怪しい電気温水器へのバルブを開栓してみました。電気温水器が壊れているのはわかっていたので、温水器付近をまず見ます。意外にも異常なし。
で、戻ろうとしたら、電気温水器からの配管のあちこちから水が滲み出ています。

赤丸の部分計4箇所からの漏水、いくらなんでも漏れ過ぎや
緑の線が地中からくる本管から温水器へ送る水道管、水色の線はなぜかわからないが、温水器からの水道バイパスを風呂方面へ送っています。なぜわざわざ往復させる必要があるのか謎です。そして青い線が温水器からの温水配管で、浴室と台所へ送られていますが、どこを通しているんやら。
この配管のせいで、勝手口の扉が引っかかって開けるのに毎回苦労します。

電気温水器周りの配管は何度も改修を繰り返していて、もはやスパゲティのような状態で、元々怪しいとは思っていたけど多すぎです。
っていうか、誰ですか?こんな工事したやつは?
銅管で取り回していますが、サイズもめちゃくちゃ、引き回しは見ての通り仮設配管のレベルです。(でも銅管は高いので仮設でこれは絶対やらない)

台所までの温水配管経路、無駄なだけでなく保温力もかなり落ちているはず。エネルギーすら無駄遣い。

温水器は後日撤去して配管も全部撤去することにこの時点で決定!
とはいえ、今は水道を風呂や台所で使えるようにするのが優先なので、なんとかしないといけない。

本管からの立ち上げ付近

見ると、外水栓までの配管に漏れはないので、この外水栓を取り外して、そこから風呂方面へ直接水を送って、あとの管は潰すことに決定。台所は当分お湯がなくてもやかんで沸かせばなんとかなります。

バイパス工事中

漏れている配管の手前でカットしてバイパスの配管をつなぎます。鉄管だと手持ちの工具では処置不可でドキドキしながら保温を外したんですが、ここは昭和40年代以降の改修だったようで塩ビ管でした。

出来上がったバイパス管

斜めに降りているのが新しくつけたバイパス管。緑色の経路で水を中に送っています。電気温水器は後日ただの温水タンクとして使う可能性があるので、内部洗浄のために一応配管は残しました。
あとの経路は全部閉めて再度元栓を開けて水道メーターと数分間にらめっこ。見事に止まりました!

当面をしのぐための仮設風呂

さて、バイパスは通したものの、ボイラに煙突、灯油タンクとまだやることはかなりあります。そして外は雪も残っているし、平日は本業の仕事をやらないといけません。銭湯は片道20分、夜は20時でおしまい。
お金も時間ももったいないということで、とりあえず仮設の風呂を調達しました。

浴槽イン浴槽?の仮設風呂

災害時とか、キャンプで使用する簡易浴槽です。なにせタイル浴槽も穴空いてますから。

私が買った時は4000円くらいだったのにここでもインフレ。無駄にバラの花浮かべなくていいから安くして欲しい。

これに熱帯魚の水槽などに使う投げ込み電気ヒーターを突っ込んでお湯を沸かします。

1500Wって書いてあるけど1000Wしか出ませんでした。ちなみに湧くまでに雪が残る3月では6時間から7時間かかります。

シャワーは、やかんでお湯を沸かして、水で適温にして消毒液の散布などでも使うポータブルシャワーに入れて、上がるときだけ使います。シャンプーなどは私一人なので浴槽内でほとんど洗い流してお湯はそのまま捨ててました。

まあ、考えたらなんとかなるもんです。これで1ヶ月暮らしました。

続いては石油ボイラの取り付け

ヤフオクで3万で落札したボイラ

取り付けるのは中古のボイラ、ヤフオクで3万円でした。この頃(2022年の3月)は半導体ショックで給湯器の新品が全く手に入らなかったのです。
ボイラ室(らしき場所)の鉄配管は古いもののこの時点では水漏れは見つからなかったのでこのまま再利用することにして、温水器からの配管を外してバイパス管からの水道をボイラに接続、お湯を浴室への鉄配管に接続します。

早く風呂に入りたいのでできるだけ再利用

そして次は煙突工事。電気温水器を付ける前はこの場所にボイラがついていた形跡があるので、煙突を出す壁はあとから塞いだのだろうと軽く考えて、インパクトドライバーに自由錐をつけて、煙突径に合わせて穴を開けます。

大きな壁穴はこのコンパスみたいなやつで空けるんです、時間かかるけど

で、開けてみてびっくり!
なんと後で塞いだ形跡はないどころか、昭和10年代の建築当時の土壁が出てきた!

写真では見にくいのですが、土壁を削るのに悪戦苦闘中です

土壁って竹を編んだものを柱の間に貼って、その両面に藁を入れて発酵させた土を塗りたくったもので、土は剥がれても竹編みがグラグラなので、ドリルでは全く切れません。レシプロソーでも動いてしまってダメ。マルチツールで小刻みに切ってゆくしかありません。この土壁撤去だけで1時間近くを浪費。おまけに土壁の土は黴をたっぷり含んでいるので、その後1週間アレルギー出まくりでした…。

そして、反対側を恐る恐るみるとやっぱり…

もう土壁に丸穴は空けたくない

ボロボロです。昔の壁って土壁の上に漆喰塗って均しただけなんですよね。むしろこの程度なら喜んでもいいくらいの被害です。
このままで煙突は出せないのでホームセンターへ走って、耐熱のケイカル板を買ってきて煙突径の穴を開けて上から塞ぎました。

それっぽく原状回復できてると思う

ここに煙突を差し込んで、煙突工事も終了!

予定の3倍くらいかかったけど2日くらいでできた

ちなみに都会で普通の屋外型ボイラをなせ使わないのかといえば、ここは雪国だからです。ひどいときはボイラが雪で埋まります。

外の排気トップ。この排気筒は二重構造で外側で外気を吸気して内側から熱い空気を排気するのでメガネ石とか要らないんです、楽ちん。

で、外のバイパス管のバルブを開けて水を流してみます。

再利用した鉄管が漏れてました…。

ショックで写真も撮り忘れてました。

そして今回またも力尽きました。古民家一筋縄ではいかねえ!

ということで、中途半端に配管してしまったので、お風呂場で一切水も使えなくなりました。そこでお風呂もお引越し。

コンセントが怖い位置にあるので早々に上に移動させました、なぜここに付ける?

土間の洗濯機置き場だったらしい場所にすのこを敷いて、その上に仮設浴槽を設置、上からキャンプ時のシャワーに使う簡易テントをかぶせています。足置きとして手前にもすのこを設置、浴槽の排水は洗濯排水口を使って外へ流しています。

一つ一つはさして高くはないものの、こうやって地道にお金が減ってゆくのは結構辛かった…。
この頃、脳内では「若者たち」と「ネバーエンディング・ストーリー」が交互にリフレインしてました。

ということで次に続きます。


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