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社内に理念を浸透させるための「ビジョンマップ」活用法


仕事で多くの経営者や経営幹部の方とお会いする中で、よく聞く課題・お悩みの1つに「理念やビジョン、考え方が社内に浸透しない」というものです。

これは、業種・業界、会社の規模など関係なく、様々な企業様からお聞きします。

本日は、会社の理念やビジョン、考え方をどのように浸透させていくか、その1つのヒントとして「ビジョンマップ」というものをご紹介したいと思います。

1.ビジョンの浸透はなぜ重要か?


ビジョンは会社の「あるべき姿・目指すべき姿」であり、会社が向かう方向を示すものです。企業が生成発展していく上で欠かせない要素です。
会社経営は、このビジョンの実現のために行っていると言っても過言ではありません。
そんなビジョンを理解していないまま、働いているというのは、「どこに向かっているかが分からないまま、延々と続く道を歩いているのと同じ」ような状態です。
向かう先に何があるかを知っているのと、知らないのでは、働き方に大きく影響がでます。

今回は、浸透させたい「ビジョン」はある前提で話を進めます。
※ビジョンの作り方、描き方についてはまた別の機会の書きたいと思います。

◆ビジョンの浸透度合で、会社の実行力が変わります。

ビジョンの浸透は何に影響を与えるかというと、それは「会社の実行力」です。

「企業における理念の浸透度」が高いと、「実行力」につながり、それが「結果(売上や利益、顧客数など)」にも表れます。

◆浸透度の考え方

私は、ビジョンや考え方などの「浸透度」は
ビジョンを理解している人数 × ビジョンの共感度合 で決まる。と考えています。

例えば、従業員が100名で、ビジョンが「業界でシェア№1を目指す」という企業Aがあるとします。

理解度というのは、「ビジョンの意味を知っているかです。」を表します。

企業Aのビジョンはとてもシンプルなので、意味として、ビジョンを理解することはそう難しくないでしょう。

共感度というのは、「そのビジョンに対してどれだけ共感しているか。そのビジョンのために努力をしたいか」というものを表す指標です。
浸透されるために大事なものは、この共感度の方だと思います。
この共感が高ければ、もちろん理解度も高まりますし、そのビジョンのために仕事を頑張ろうと思います。ビジョン実現のために会社があるのであれば、そのビジョンへの共感度が高ければ、会社そのもの、仕事そのものも好きになりやすいです。

先ほど、浸透度は、理解度×共感度で表される。と伝えました。
企業によって差がでるのでは、主には「共感度」の部分だと思います。

私の体感では、「会社のビジョンを知っていますか?」という問いにたいしては、50%~70%は知っているという会社が多く、定期的に会議で確認している企業では90%~100%理解しているという会社も珍しくありません。

ただ、共感度に関しては、低いところでは10%を下回るという会社もあります。
社員・部下からの視点では「会社(又は上司)が勝手にビジョンを掲げているけど、自分には全く興味ない」という状態です。

つまり、理解度が同じだったとしても、共感度が違うと、ビジョンや考え方の浸透度は大きく異なります。

また、理解をしている人が少なくても、理解している人の共感度が高ければ、全体的な浸透度は高いと言えます。(あくまで私の定義している浸透度で計測する場合)

①ビジョンを理解している人は、100名中90名。共感している人はそのうち50%。の場合は
90 × 50%= 45% 浸透度45%

②ビジョンを理解している人は、100名中60名。共感している人はそのうち80%。の場合は
60 × 80%= 48% 浸透度48%


ぜひ、自社や自部門と照らし合わせて、自分のいる環境のビジョン浸透度はどれぐらいかを考えてみてはいかがでしょうか。


2.ビジョンが浸透しない要因


企業や部門の中でビジョンが浸透しない要因は何があるでしょうか?

大きく分けると次の3つが要因だと私は考えます。

①ビジョンが明文化されていない。発表されていない。
②ビジョンの目的・背景などが説明されていない。
③ビジョンに興味がない。自分事と思っていない。

これらについて、もう少し詳しく説明していきます。


【①ビジョンが明文化されていない。発表されていない。】
当たり前のことですが、ビジョンが明文化されていなければ、社員や部下に伝えることは難しいです。
社長の頭の中や部長の頭の中にビジョンがあるだけでは、浸透しようがありません。

ただ、こういったことは現場ではたまにありえます。
全く明文化されていない、発表していないということはなくても、
例えば、「年に1度の方針は発表会で発表されたが、それきりどこにも貼り出されていない」ということはよくあります。
※そのような状況では、社員、部下からすると、その時だけのイベント的なものとなっており、実際の仕事には関係ないと思ってしまい関心が薄くなります。

◆こういった状況を改善するには
・口頭で伝えるだけでなく、きちんと明文化をすることが重要。

・ビジョンマップ作成して、社員へ配布することで、反復して見てもらう。
 ※社員の見えるところへ貼っておくことや、自由に見ることができる共有フォルダに保管しておくことでも良い。

・定期的に、ビジョンについて振り返る時間を作る。

という工夫が必要です。


【②ビジョンの目的・背景などが説明されていない。】

ビジョンについては、明文化されているが、「なぜそのビジョンを目指しているのか」「どのような経緯でそうなったのか」など、理由や目的、背景についての説明がないとなかなか浸透しません。

目的というのは、人が動く原動力になります。
例えば、「今から10時間以内に50キロ走って下さい」と言われても、普通の人は走りません。※よほど走るのが好きな人を除いて・・・

ただ、「10時間以内に50キロ走り切れば100万円もらえます」や「50キロ走り切れなければ、あなたの大切な家族に危険な目にあいます」など、何か走りたくなる理由や走らなくてはならない目的があれば人は動くと思います。

今のは極端な例ですが、それと同じように、「ビジョンを掲げている目的、理由、背景」を説明しないで、ただ「業界№1の売上にしよう」と言っても、社員は動きません。※その状況で動いているのは、営業が好きな一部の例外だけです。


◆こういった状況を改善するには

・ビジョンマップを作成し、ビジョンと同時に、目的を記載しておく。

・部門(チーム)ごとに、上司から説明をする。
 ※上司から説明をしてもらうことで、上司のビジョンに対する浸透度
を上げる効果もある。

・ビジョンについて分からない事、疑問点などがないかを確認する。
※ミーティングや、通常のコミュニケーションの中でビジョンに対する会話があれば、聞きやすくなります。


【③ビジョンに興味がない。自分事と思っていない。】

ビジョンが浸透しない要因の1番大きな部分は、私はここにあると思います。
これは浸透度の中でも「共感度」に関するところです。

逆に、ビジョンに対して、自分事に思えれば、あとは勝手に浸透するとさえ思います。


◆こういった状況を改善するには

状態目標、感情目標を設定する。※後ほど詳細を書きます。

・部門、チーム、個人のビジョンマップを作成する。
 ※社員の皆さんに共感してもらいやすいように、落とし込んでいく。

・個人ビジョンと会社のビジョンを関連付ける。


3.ビジョンマップとは


ビジョンマップとは、会社のビジョンや目的などを1枚のシートにまとめたものです。

これを社内で共有することで、ビジョン浸透に役立てます。

私は、会社ビジョンを浸透させる時、部門、チームビジョン、個人ビジョンを作ってもらう際に活用しています。


ビジョンマップ


<ビジョンマップ作成のメリット>

①ビジョンマップを作成することで、会社ビジョン・戦略等を整理できる。

②1枚の資料で、ビジョン・目的を把握できる。

③部門ごと、チーム毎、個人ごと等、同じフォーマットを使って階層ごとに作成ができる。

④会社のビジョン、部門ビジョン、個人ビジョンが同じ方向を向いているか確認することで、浸透度合いを上げることが出来る。

<ビジョンマップ作成のメリット>

ステップ1 :ビジョン実現に近づくための、目標の設定。

①定量目標 ⇒ 何を、どれぐらい達成するのか。(計測できるもの)
②期日目標 ⇒ いつまでにやるのか。
③感情目標 ⇒ 達成した時、どのような感情になっているのか。
④状態目標 ⇒ 定量目標を達成した時に、どのような状態になっていたいか?

ステップ2 :その目標を設定した目的・理由は何かを明文化する。

・目標を設定する際に、「なぜその目標を掲げているのか?」と繰り返し問いかける。
・目的に記載している事が、「ビジョンの実現」に繋がっているかを確認する。 

ステップ3 :目標達成までのマイルストーンを設置する。具体的な行動を記載する。

・別のシートで計画を作成しても良いが、重要な行動についてはビジョンマップに記載しておく。

ステップ4:部下に伝えやすいように、ワンメッセージ(スローガン)を決める。

・ポイントは覚えやすさと親しみやすさ。口に出したくなるかどうか。

※簡単に書いておりますので、詳しく知りたい方はコメント頂けますと幸いです。

4.まとめ


①ビジョンの見える化のために、ビジョンマップを作成する。

②ビジョン浸透のためには、目的を伝える・理解してもらう
  ※なぜこのビジョンを掲げているのか?

③部門・個人ごとにビジョンマップを作成し、個人に関連づける。
 ※共感を得てもらうためには、同じ方向を向いていることが重要

④すぐに個人ビジョンを作成できる人は少ないが、まずは考えてもらうことがスタート。

⑤作った個人ビジョンが、会社ビジョンと同じ方向を向いているか、関連性があるかを上司がチェックし、ブラッシュアップしていく。

会社の向かう方向、部門の向かう方向、個人の向かう方向が同じ方向であれば会社は自然と上手くいきます。

ぜひ、ビジョン浸透のために、このビジョンマップを活用頂けますと幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


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