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コンサルタントは、知識・事例よりも考え方・原理原則が大事

最近会社の取り組みの1つで、『グロービス学び放題』というサービスを受講しています。

1つ5分~10分ほどの短い動画で、「SWOT分析」「減価償却」「ポジショニング」など、経営に関する様々なテーマを学ぶことができるサービスです。 
隙間時間を有効活用できるので、とても気に入っています。

また、中小企業診断士の勉強も再開し、テキストを読んでいます。こちらも経営に関する知識が体系的にまとめられていて、頭の整理になります。

グロービス学び放題や中小企業診断士の勉強をしていると、私自身が知らない事がまだまだあるなと感じる一方で、「知識」だけで、仕事になるのかなという疑問を持ちました。

「知識」は仕事において(特に私の仕事である経営コンサルタントにおいて)どれだけ必要なのか、ということを今日はまとめたいと思います。

結論からお伝えすると、経営コンサルタントとして仕事をしていく上では、私は知識や事例を知っていることよりも、「正しい考え方(成功の原理原則)」の方が大切ではないかと考えます。

なぜそう考えるのかについて、3つのポイントでお伝えしたいと思います。

1.業界や会社内部のことはお客様の方が知っている


1つ目の理由は、会社の事やその業界については、経営者の方が知っていることが多いからです。
やはりその道で何十年とやってきた経営者の方と比較すると、業界の歴史から、最新の業界動向まで、知識の量が違います。
中途半端な業界の知識などをお話ししたとしても、経営者の方にとっては何の価値提供になりません。
また、新聞や業界紙、書籍に書いてあるようなことは、それを読めばわかります。わざわざ経営コンサルタントに求めるのはそれほど多くいないと思います。

「情報」という視点で考えると、同業他社の経営方法や、他業界の動向について知りたいと言われることもあります。
業界に特化したコンサルタントの方もいらっしゃいます。

ただ、結局のところ、「知識」や「情報」というのは、一度お伝え・提供すると役目は終わるため、継続的に関わり続けるということができないと考えます。

◆経営者が求めているのは実践です。

実践するためには知識よりも考え方が大切です。

今回のコロナウィルスの感染拡大によって、世界中で大きな変化が起こりました。経済環境が大きく変わった時、会社をどのようにしていくかは、お客様への対応をどうするか、従業員の命をどのように守るか。このようなことは知識だけでは判断できないことが多いです。

過去の事例など、知識ももちろん必要な部分もありますが、
同じ知識がある人や同じ情報を持っている人でも、判断をする際には、最終的には「考え方」が大きく左右すると私は考えます。

経営者が困っている時に、判断で支援をするのが経営コンサルタントの仕事だと私は思います。
知識を提供しているだけで、判断を提供しないのはコンサルタントではないと思います。
つまり、いくら知識があったとしても、「正しい考え方」を持っていなければ、判断することができません。
判断をしなければ、行動に移せず、実践できません。
実践をしなければ、会社は変わらず、お客様からの評価も変わりません。

知識・情報を集めて分析するだけであれば、それは研究者や学者に任せれば良いと思います。経営者も、詳しい情報が欲しい時は、その業界・その分野の専門化に聞くのが良いと思います。

経営コンサルタントは、経営に必要な知識と新聞に書いてあることぐらいは知っておくことは必要ですが、
そこから先は知識よりも、「考え方」を学ぶことで、「判断」によってご支援できなくてはいけないと思います。


2.知っているかどうかではなく、その知識をどう使うか。


今の世の中は、知りたい事があれば、ほとんどのものはインターネットで検索をすれば見つかると思います。
そんな時代において、知識だけで戦うのはかなり厳しいです。
多くの人が知っている知識、もしくは検索可能な知識を、知っているだけではお客様への価値提供はできないと思います。

インターネットが流行する前の時代であれば、経営コンサルタントとして、例えば「MECE」「3C分析」「SWOT分析」「4P分析」などのフレームワークというものを知っているだけでもお客様への価値提供になったかもしれません。

ただ、今は誰もが検索をすれば、フレームワークなどの知識は知ることができます。今は、そのような知識だけでは、お客様に対して提供しても価値がほとんどないということです。

誤解のないように書いておきますが、もちろん知識も大事です。知らないよりは、知っている方が良いです。

コンサルタントにとって重要なことは、「SWOT分析」をどのように使うかです。フレームワークを使って外部環境(機会や脅威)や内部環境(強み・弱み)を整理しても、正しい考え方や思考力がないと、そこから戦略を導くことができません。

知識も大事ですが、結局は正しい考え方・思考力を鍛えないと、知識があっても使いこなせずに終わってしまいます。

また、正しい考え方を持っている人が知識を増やすと世の中のためになると思いますが、間違った考え方を持っている人の知識が増えると、世の中に悪影響を与える可能性があります。

※かなり極端な例で言えば、医療にとても詳しい人でも、その知識を悪用してウイルス兵器を作るとか。コンピューター・ITの知識がある人が、情報のハッキングをしたりなど。


◆知識は、それを活かしてアウトプットすることで評価される

自分の知っている情報・知識、「考え方」を加えて、判断を提供することが経営コンサルタントの仕事です。

今までの知識の蓄積を整理し、独自の表現で世の中にアウトプットすることもコンサルタントの仕事だと思います。

今の時代は、このnoteもそうですが、SNS、ブログ、動画、メルマガ、書籍など、あらゆる媒体、手法で情報発信が可能です。

知識は自分の中にあるだけでは価値に変換できませんが、
それをアウトプットして、世の中に人に見てもらうことで、評価してもらえます。
※良い評価だけでなく、悪い評価も頂くでしょう。

最初から素晴らしことは伝えられなくても、何度も何度も繰り返していくうちに、良い文章が書けたり、良い動画が作れるようになりアウトプットの質が高まります。


3.知識では、未来のことを判断できない


3つ目の理由は、知識では(知識だけでは)未来のことを判断できないからです。
多くの場合、知識と言うのは過去の出来事を分析、整理してできた形式的なものだからです。

経営と言う仕事は、その大部分が「会社の方向付け」によって決まります。方向付けをするには未来のことを考えることです。未来のために、何をして、何を辞めるかを判断をすることが経営です。
※経営には方向付けの他に、資源の最適配分、人を動かす。という要素もあります。

未来のことを考える、方向付けをするためには、
今ある知識・情報から「仮説」を立て、どのうな会社にしたいか、どうなりたいか、原理原則に基づく正しい考え方で考えることが重要です。

◆今思い返すと、私の前職時代のコンサルティングの提案は、知識に頼ったものだったなと反省しています。

知識に頼るとは、つまり、会社に蓄積されている膨大な事例から、近いパターンを選び、それを目の前のお客様に当てはめるというものです。

例えば、
小売業のA社の社長と面談をして、人材についての課題があったとします。
その際、知識(事例)に頼るコンサルタントの思考回路は次の順序だと思います。

①A社の状況を整理する(業界、エリア、売上規模、社員数 など)
②A社と近い企業様で同じような状況を解決した過去事例がないかを頭の中で検索する。
③近い事例が見つかった場合、その事例の話をして、同じような方法で解決できますと提案をする。
④近い事例が見つからない場合は、事例が見つかるまで探すか、今回は提案できないと諦める。

結果として、
事例を当てはめて、お客様へ良い結果がでることもあります。
ただ、近い事例を当てはめても、悪い結果になる場合も当然あります。

会社経営は、多くの変数を含んでおり、例え同業だとしても、少し環境が違うだけで取るべき戦略は変わってきます。
同じ課題にみえても、経営者や社員の性格によっても打つべき対策は変わってきます。
※そこが経営の難しさでもあり、面白いところでもありますが。

過去の成功事例が、他の会社に当てはまるというのは、極めて稀なケースだと考えた方がよいとは私は考えます。

他社の成功事例は、成功の要点を一度抽出し、それを自社にどう置き換えるかを考えてから使いましょう。


◆知識型のコンサルタントは、過去事例からパターン化をして、提案をするというようなことを伝えましたが・・・・

この事例を集めて、パターン化して、条件に近い解決策を提案するというのは、近い将来AIができるだろうと考えています。

むしろ、人間がやるよりも膨大なデータから検索をして、最適な「解」を瞬時に提案してくれる可能性が高いです。

そうなると、知識型、事例型のコンサルタントの仕事はなくなります。

これから生き残るのは、考え方・思考力をベースに判断を提供できるコンサルタントだと思いす。


まとめ


1.知識・事例だけでは価値が発揮できない時代がきている

コンサルタントとしてお客様への価値提供をするためには、考え方・原理原則を学ぶことが大事です。
考え方を学ぶことで、経営者へ「判断」を提供でき、実践につなげることができます。

2.考え方は自分の血肉になるまで、反復して体に覚えこませる。

「考え方」というのは、自分自身の言葉としてすぐに話せるかどうか重要です。
世の中に、論語、儒教、松下幸之助氏や稲盛和夫氏のように素晴らしい考え方があるということを、「知っているだけ」の状態では、「知識」です。

それであれば、他の知識と同じように、世界中でベストセラーになった本を読む方がよっぽど経営者の役に立ちます。

経営コンサルタントとして考え方を経営者にお伝えする際、その考え方をコンサルタント自身が心からそう思い、自分の言動と行動が一致している状態でなければ、やはり相手へは響きません。

3.考え方が重要だが、最低限の知識は必要。

ある一定水準までは、知識も当然必要です。
コンサルタントであれば、財務諸表の読み方、経済指標(GDPなど)などは当然として、一般的な教養、歴史についてなどもある程度経営者と話をしていくためには必要だと感じます。
いくら考え方は正しいものをもっていなくても、やはり無知なコンサルタントに仕事を頼みたいとは思わないと思います。
最低限のことは知っているなという印象を持ってもらえるぐらいは知識も当然重要です。


他にもこの知識や考え方について、どれぐらいのバランスが必要かということで書きたいことがありましたが、長くなったのでまた別の機会にしたいと思います。


文章を書きながら、まだまだ自分自身はできていない。と痛感しましたので、より一層精進していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


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