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小説

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夢のような時間のこと。
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車窓

車窓

 時雨川は電車の中から田園風景をぼんやり眺めていた。電車は同じような田んぼと山並みをシュルシュルと通り過ぎていく。なので彼は本当に移動しているのかわからなかった。目の前の景色と時間の感覚が麻痺していた。ただ己はどこかに向かっている。そのたどり着く場所もわかっている。だが…。
 ――ねえ、聞いてる?
 —―ああ、何の話だっけ?
 —―また考え事?
 —―いや、ぼんやりしてた。
 —―まあ、いいわ。そ

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