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マオリ民族からもらったタトゥー。私は日本人を脱ぎ捨てる覚悟をした。

そのタトゥーは、一生あなたの人生を困らせることになる。
あなたの人生で一生身体を隠して生きていかなくてはならなくなる。
あなたのことを人々は違う目で見るようになる。
いつか消したいと思う日がくるだろうけど、消すのに苦労するだろう。

と言われた。

なんで?

私は好きだ。
想いが詰まったタトゥーなのに。
どうしてそんなことになるの?
それは本当なの?
タトゥーをいれただけで私の人生は変わるの?
私に対する周りの人の意見は変わるの?
親からの評価は変わるの?

なんで?

そう言ってくる人は一度もタトゥーをいれたことがない。
それでどうして私の未来を予想することができるのだろう?

私はその人の気持ちを尊重するけど、
信じることはできない。

施術時の様子
ときには拷問のように激しい痛みを伴う。
ニュージーランドのロトルア。マオリ民族の聖地。


タトゥーをいれる時、私はある覚悟を決めていた。

「日本人を脱ぎ捨てる」

これは決して日本人として和の心を捨てるだとか
日本の伝統文化を継承しないだとか
そういった意味ではない。

日本人としての外国人へのバイアス、異文化への蔑視、島国所以の独特な閉鎖的空気、保守性
といったものをすべて脱ぎ捨てたいと思った。

綺麗さっぱり、さよなら。

私は温泉が大好きだから、
タトゥーをいれること自体の痛みよりも、
日本に帰ったときに温泉から追い出されるであろう未来の方が怖かった。

それでも、覚悟は決めていた。

マオリ民族のタトゥーは、
個人のパーソナリティ・価値観・願いに合わせて

デザイン作成→祈り→施術

の流れなので、まずは1時間ほど対話を重ねることから始まる。

1時間の対話の後に、作られた資料。
私のタトゥーに込められた意味が説明されている。


マオリ民族のタトゥー職人JPに聞かれた。

君が大切なものはなに?

家族。そこには、私の友達も含むよ。
友達だけど、私にとってはもう家族の一員くらい大切な人達なの。
そして…家族に宿る愛。

じゃあ、君が心から好きな事って何?

世界中、たくさん冒険をすること。
一生旅をしながら色々な視点や価値観を学び続けたい。
多種多様な民族に会って、楽しい時間を過ごしたいんだ。

その先にはどんな未来が待っているの?

バラバラになった家族や友達が
国境を越えて、同じ地球に住む仲間として
unite(ひとつ)になって欲しい。

ここで、穏やかな沈黙が流れた。

それは、君の家族のことも指しているの?

うん…。

静かな涙が私の頬を伝う。
JPが優しく頷いた。

わかるよ、わかる。
ゆっくり話していこう。

マオリ民族JPが、私のために作ったデザイン(手書き)

マオリ民族にとってタトゥーをいれることは、神聖なことであり、人生の節目も意味する。
一人一人異なる想いを込めて、タトゥー職人がデザインを作る。
現代において流行っているタトゥーのように、提示されたデザインから選ぶものではない。

デザインは1時間後に完成する。もしよかったら、私たちのマオリの村を見に行ってくれ。ハカダンスを見て、心を落ち着けてきなさい。

タトゥーは痛いと知っていたし、JPとは色々と感情的な会話をしたので、私の心には激しい津波が走っていたと思う。

マオリの村を歩き回って、
温泉が沸騰して湧き出る瞬間と
ハカダンスショーを見て
心を落ち着けることにした。

いや、正直なところ、
両方心が落ち着くようなものではなかった。

温泉に関しては大地の底から湧き出る生命力を感じたし、ハカダンスに関しては人間の奥から湧き出る肉体的力強さを感じた。

不変的な強さ。

それをしっかり持って、タトゥーをいれる決意はできていた。

タトゥーを入れる前に、
JPは両手を合わせて、
お祈りをしてくれた。

私とその周りの人の幸せを願って。

その後は、

涙を流し続けた40分だった。

覚悟の40分だった。

私は、日本人を脱ぎ捨て、
この世の平和を願って旅を続ける。

いつかすべてが、unite (ひとつ) になる。

私の夢である空き家活用×ノマド誘致事業のために使わせていただきます🌎🐞