就活と恋愛と自分自身の確立②~偽りの自分~

「彼の側に居続けたい」
この思考中心で就活を進めてはいけない。これは本当にハッキリ言えること。最初の方は「もし彼と別れたとしても東京に行くことは変わらない」そう言い聞かせるばかりだった。自分を苦しめてることにまだ気付かない。

結論から言うと、私は翌年の2月までこの思考であった。もっともっと早く気付くべきだった。

8月頃から私はインターンに行き始める。地元の愛知県を始め、大阪、東京まで足を運ぶことも多々あった。もちろん、百貨店業界にしか興味はなかった。そして東京に行く………そればかりだった。今思えば、私自身に無理やり言い聞かせ、押し付けるような感覚だ。自分を失いかけていたかもしれない。インターン自体はとても楽しかったし、勉強になることもたくさんあった。行って後悔はないと思う。12月頃までインターンに行き続け、とにかく経験を積んだ。何枚もエントリーシートを書き続けた。どこも受け入れてくれる企業がたくさんあるんだ!そう思い込んでいた。

同時に、彼と遠距離になる前にたくさん遊んでおこうと思い、存分に二人の時間を楽しんだ。その中に新たな出会いもあった。今まで出会った事のないような人柄の方ばかりでとても緊張していたが、当初は接しやすくて仲間が増えて嬉しいと感じた。授業もインターンも友達も恋愛も…全てが充実した2023年後期を過ごした。

年が明け、2024年1月。
少しずつ本選考が始まる。もちろん本命企業もあったので挑戦した。エントリーシートは通過し、面接も練習することなく挑んだ。まぁ、いつも通りの自分でいればいいんでしょ?そんな感覚でいた。
しかし、そんな上手くはいかなかった。話したい言葉が上手く出てこないし発せない…。笑顔がひきつってしまうし、どこか自分を偽っている感覚がするかもしれない…。

そして2月。当時本命にしていた東京に本社がある某百貨店の採用試験に不合格だった。私は耐えきれず、ひとりで泣き崩れた。タイミング悪く、その後彼と会う予定があった。感情が表に出やすい私は、あっという間に彼に異常を察せられた。
「本命…落ちたんだ。」
そう一言伝えると、優しく慰めてくれた。その時嬉しかったのはあったが、やはりあの"自分の偽り"の感覚が心残りだった。

本当に百貨店に行きたいのか?
百貨店で具体的に何がしたいのか?
本当に東京に行きたいのか?

改めて、自分自身にこの問いかけをしてみた。ひとつひとつ、答えを出すことにした。
私は生まれながらにして裕福ではなかった。大学費も全額自分で払い、10月からは訳あって独り暮らしも始め、家賃、光熱費、食費…すべて自費だ。もちろん奨学金も多額借りているが、毎月バイトを詰め詰めにしてやっていける程だ。
そんな自分が、東京に出てやっていけるのか?社会人になってすぐに対応できるのか?不安が募る。
そこである日、実家に帰り母に打ち明ける。
「もう何社も落ちて、就職できる気がしない…」
そんなとき、母はこう声を掛けてくれた。

「20代から完璧にやりたいこと見つけるなんか、不可能です。今出来ること、何度も挑戦しなさい。そして、恋愛は去年存分に楽しんだやろ?そんな追っかけてどうすんの?お互いにキャリアアップして、5年後とかにまた再開すればええやん」

「とにかく、頑張れ。困ったらいつでも戻ってきなさい。あんたが東京に行ったら、助けて欲しいと思っても私ら、すぐに駆けつけれへんねんで?もっと人を頼りなさい」

私は小学生のように、声をだして泣き続けた。そして、そこで"自分の偽り"に気付けた。


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