就活と恋愛と自分自身の確立③~視野を広げる大切さ~

そして後日、彼にも伝えることにした。
「やっぱり、うち名古屋に残りたい」
それまで上手く本音が言えなかった私は、少し涙ぐみながら不器用に伝えた。
「あらたが決めたことなら」
彼はそのまま受け入れてくれた。私は解放された気持ちだった。偽りがとれた気がしたんだ。でも、まだ百貨店への気持ちは残りつつあったので、東京の会社も数社受けていた。

2024年3月。
選考情報が一気に公開される。情報整理に時間がかかるほど、とてつもない量だ。常に期日に追われ、何枚もエントリーシートを書く日々だ。
そんな中、彼と離れる前にギリギリまで思い出を作ろうとたくさん遊んだ。とある日、彼と私と彼のお友達数人でお酒を飲みに行く日があった。
とても、とても濃い1日だったのを覚えている。
そのお友達はとても話上手で知識が豊富だ。とても羨ましいくらいだった。インスタのストーリーでよく就活の状況を話しているのを見ていたらしく、どんな感じか尋ねられた。

「自分の志望してる業界と全く興味の無い所とか見てみると、意外と面白かったりするよ」
「就活すごく大変そうだけど、やっぱりそれで苦しんでたら就職した後もそんな気持ちになるだろうし、楽しむことが一番だよ」

この2つが、とっても響いたんだ。
今までここまで自分自身に向き合ってくれた人はいなかった。共感し合い、発展の無いただ平和な世界に居続けたことに気付かされた場面でもあった。思わずその場で涙を流してしまった。彼はとなりに座り、優しく私の顔を自分の肩に寄せる。

その直後、タイミングよく父からLINEが入った。
「車業界とかおもろいぞ。接客したいんやったら営業以外にも受付とかもあるらしいし」
細かく企業名まで教えてくれた。父は昔から車が好きで、よく私に車の話をするほどでもあった。でもそれを仕事にしようとまでは考えたことがなかった。ディーラーと聞くと、やはりノルマだったり残業だったり、厳しいイメージがあった。でも、イメージで止めるより実際に話を聞いてから決めるべきだと思い、説明会に参加した。

私が特に印象的だったのは、どんな社員さんがいるかということ。ずっと笑ってる人がいたり、人を笑わすためにギャグをしてみたり、冗談を言ったり…その空間がとても好きだった。座談会では他の就活生が「どんな人材を求めてますか?」と聞くと、

「それよく聞かれるけどね、もう明るくて元気で素直な子だったらウェルカムだよ~!」

何かビビッとくるものがあった。
え、それ、もしかして私の事?
ちょっとそんな感覚がした。"自分の偽り"が全く無く、ありのままの自分で受け入れられた。私はそこから、業界を絞りすぎず幅広い視野を持つことの大切さを深く実感した。
同じ自動車ディーラーの企業も他に数社、そして小売業、ホテル業といろいろな所の説明会に出掛けた。いろんな発見が出来て面白い。そして自分自身が「嫌」と素直に感じれる所も出てきた。

「どこでもいいや」
この考えを就活に持ち込んではいけない。最悪"偽った自分"を演じ続けないといけなくなる事態になる可能性だってある。とにかく、大学生だから出来るこの「就活」を存分に活用すること。内定がゴールではない。これは肝に銘じるべきだと思う。

3月1日時点で25卒の内定率は40%と高確率。当時内定がない私はとても焦っていた。
「なんでみんな内定もらえるの?うちも早く内定欲しいし安心したい」
こんなことばかり考えていた。しかしこれは違う。
4月1日時点では58%過去最高。
ここで、私は別に気にも止めなかった。他を見てどうする?他人と比較して何になる?そんな考えがよぎり、ダメージはそこまでなかった。

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