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自分と戦うより、納得できる環境に移動した方が早いという話

4年前に働いていた会社の元同僚から朝っぱらから(日本は夜)もやっとした悩みというか話を相談されました。

聞けば、美人な転職先の職場の同僚の女性(推定40歳)は、旦那さんが彼女と同い年(30歳)でコンサルタント(高収入)。その女性は派遣で働いているために事務しかやらないのだけど、元同僚(女です)はその人が「そんなに稼がなくてもやっていけるんだなあ」とぼんやり羨ましく感じた、という話でした。

「その人は爪とか服とかバッグとか、身なりもいつもお金がかかっててね。私は自分で稼ぎたいと思うタイプだし、本当に彼女みたいになりたいと思っている訳じゃないんだけど」

隣の芝は青いので、あなたが見えてる以上に彼女にも色々いろいろあると思うよ〜と思ったことを伝えたのですが、彼女をそんな風に思わせた原因は何なのか考えあぐねた結果、結局は環境がそうさせてるんだという結論に至ったので聞いてください。

そもそも、彼女の言うこともまあ分からんではないのですよね。

おブランドをプレゼントされたり、金銭的なサポートを受けたり。自分があまり頑張らなくても生活が成り立つというのは羨ましい。「いや、羨ましいのか…?」と自問自答するくらいにはそういう感覚がよく分からないのですが、自分の中にある「ちょっとモヤっとした感情」を整理するなら「羨ましい」が適切なのかな、と。

GoogleからFacebookに転職し、初の女性COOになったシェリルサンドバーグは言います。Lean inと。自分からチャンスを掴まなければならないのだ、と。

この話を聞くたび、私は同じくアメリカのベトナム系コメディアンAli Wongを思い出します。彼女は言うんです。"I don't wanna Lean in, I wanna lie down."

我々は社会的な圧力から常に積極的に動くことを求められています。これはいわば社会全体の陰謀です。働かないで金が入るならそれでいいに決まってるでしょう!!?と考えるのは動物として自然なことのように思います。思いませんか?そうですか。

少し話は脱線しましたが、すみません、もう一回脱線しますね。

私は今海外を中心に生活しているので、正直私の同僚から言われたような悩みとは全然無縁。環境が、「おブランド?いりませんわね。」「仕事?いやしてたいでしょ!」という価値観に囲まれているのでそんな悩みとは全然無関係。それはそれは大変快適。

ただ、私の元同僚も、正直男性に囲ってもらいたいようなタイプじゃないんです。自立していたいし、男性から高いバックを買ってもらうなら2人で使える素敵なソファの方が欲しいわね、とか言うタイプ。

ではそんな彼女をそう言わせしめるものって何だろうなと考えたときに、それはやはり社会だと思うんですよね。環境です。

例え話をしましょう。

アメリカで生まれた日系の子どもは、白人に強烈な劣等感を持って育ちます。「ママは金髪にしないの?金髪の方が綺麗だからママも染めなよ!」「僕もアメリカ人(白人)に生まれたかった」例を上げればキリがない。両親がどう思うかとか、忖度したり言葉を選べないからしょうがないのですが、両親からしてみれば子どもながらになかなか残酷ですよね。

子どもは敏感に感じ取っているんです。白人強者の社会を。いかに「多様性があっていい、私たちはそれぞれ違った美しさがある」とあらゆるメディアが刷り込みを行おうとしたって、社会にはびこる白人強者の空気を雲散霧消させることは(少なくとも今の所は)できていないんです。

言語学の世界でも、複数言語の境界にあるような国は、経済上位の国の言語に偏りやすいという事実が語られています。例えばフランス、イタリア、ドイツに囲まれているスイスは独自の言語「ロマンシュ語」も含め4ヶ国語が話されていますが、やはり話者が一番多い第一言語は、経済上位国であるドイツ語です(ただこれ10年前のデータなので、例えとして不適切だったらごめんなさい)。私たちだって必死こいて英語勉強してるじゃないですか。

つまりですね、周りの環境に合わせて自分の価値観が変わるのは、極論、より良い子孫を残すための習性だと思うんです。

だから、最初の話に戻ると、私の元同僚の働いている会社ないしは属している社会(日本社会に限らず)は割とそういった考えの人が多くて、「高いものをプレゼントされる女はやっぱりカースト上位」みたいな価値観が醸成されている社会にいると、自分がいかにそういう人間じゃないと思っていたとしても否応無くその価値観に染まってしまうんですね。そしてそれは彼女の心の弱さとかそういうことが原因なのではなくて、とても人間的で自然なことだと言いたいのです。

でも、自分が「私はそういう人間じゃない」と思っているのに、そういうコミュニティの中で生活して、結局自分も染まってしまうってそんなに悲しいことありますか?精神的に不健康じゃないですか。もし、自分が納得していない価値観なら。

だから、人は自分がなりたいと思う人がいる環境にさっさと移動するべきです。自分がなりたいものになるためには環境を変えなきゃダメです。もちろん、社会にはいろいろな人がいて、おいそれと転職したり引っ越ししたりできるわけではないのも重々承知しております。

そんな方にはですね、自分の触れるメディアを自分の好きなものだけに絞るのがおすすめです。例えば私はTwitterを3アカウントぐらい使い分けていますが、自分の尊敬できる人たちだけをフォローしたアカウントばっかり見ている時はものすごくストレスフリーですし、自分の価値観もそういうコミュニティー寄りにな(る気がし)ます。

もちろんそれでも合わない人はいますが、世の中にある多様性をパーソナルな視点から気づくことができるのもTwitterの良さなのである程度のノイズはむしろ良いこととしています。「いろんな人がいるな〜」って。

長くなってしまいましたが、以上、自分にもやっとしているなら環境を変えると良いよ!環境を簡単に変えられない人は、普段から目につくものだけでも自分にプラスなものに絞るよ良いよ!というお話でした。

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