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「#06 リフレイン」 感想

『MIU404』にはTV放送版とディレクターズカット版が存在します。
この6話に関しては、ディレクターズカット版も見ることをお勧めします!
TV版と構成がかなり違うし、追加シーンがめちゃくちゃいいので是非!
今回の感想もディレクターズカット版をベースに書いてます。
ディレクターズカット版は6話以外も、特に最終話の入れられなかったシーンが熱いので見てくださいね!

◻︎今回のモチーフ

【四角】ドア/窓:心のウチと外を隔てるもの
┝ロッカーのドア(志摩の踏み込まれたくない気持ち)
┝署内の部屋のドアと窓(香坂の心の内)
┝女のアパート、並べられた冷蔵庫、荷物で塞がれた窓(遮断された本心)
┝桔梗家の大きな窓(志摩の心の内)

【酒】本心の開示
┝ウイスキー(香坂は酔うことで弱い自分の本心を志摩に話そうとした)
┝缶チューハイ(桔梗のオフの時の話)
┝焼酎(陣馬のクダ、伊吹の九重の志摩に対する本音)
┝ビール(志摩のちょっとしたアピール)

【ハラスメント】自覚的だったり無意識だったり
┝志摩→香坂(使えない疎ましさが態度に出ていた)
┝桔梗→志摩(立場を私的に使っていないかと問う)
┝陣馬→←家族(家族ゆえの無自覚な双方向の勝手な言い分)
┝陣馬→九重(酒ハラ、筋ハラ)
┝九重→刈谷(立場を私的に使った…使わせられた)
┝九重→南田弓子(女性にだけ問題があったかのような発言)
┝中山詩織→警察(虚偽の密告メール)
┝中山詩織→香坂(セクハラ)
┝伊吹→九重(方言いじり)

◻︎ハラスメント

今回は志摩の過去が明らかになる回で、
香坂と志摩の間にはパワハラのような関係があったことがわかった。
それにリンクして話を進めながらも、いろんなキャラクターの
微量の偏見やハラスメントをも露呈させている。
誰もが完全な正義ではない。
生きてる人間の生臭さを誤魔化さないMIU404の好きなところ。
「自分」という視点からしかものを見られないから「偏見」を持つことからは
誰も逃れられない。
だから「偏見は人間の標準装備なんだ」と自覚して、偏見を減らしていくように腐心していかなくちゃならないと改めて思った回。

◻︎本心の開示

日本人でこれが得意な方がレアなのかもしれない。
本心の開示が大得意な伊吹。
だから余計に志摩の態度は秘密主義に見えてしまう。
でもみんな九ちゃんみたいな気持ちになるでしょ?
「自分が使えない奴だって認めるのは怖いですよ」
自分の弱さを認められないから、人にも見せられない。

それに対する陣馬さんのアンサーに初見時は泣きましたよ。
「間違いも失敗も言えるようになれ」
このシーン、メモリアルブックの解説によると橋本じゅんさんが思ってた以上に
九ちゃんに熱く語りかけるように塚原監督が腕を掴む演出にしたんだそうです。
結果最高です。
立場が上の人からこんな風に言われたい人生だった…!

残念ながら志摩と香坂はそうはなれずに関係を拗らしていった。
この回のタイトルは『リフレイン』なんだけど、
本心の開示のシーンも背景がリフレインしてるんですよね。
志摩に対して嫌悪感を募らせて
正義を歪めてしまった香坂の本心が露呈するシーンと

志摩が伊吹の電話に出て、罪悪感に苛まれていることを吐露するシーン。

署内の資料室の薄暗い室内、大きく開いた窓に大きな木のグリーンが見える。
その窓を背に自分の犯した罪を告白し居直ってしまう香坂。
対して、
桔梗家のリビングの庭に面した大きな窓を背に
香坂に対して無関心でいたことの罪を告白する志摩。
美しいんですよ…。開示することは怖いけど、吐き出すことは癒しになるから。
癒しのシーンだから美しいんです。

これは2話の『切なる願い』の加々見が最後に実家で積年の思いをぶちまけるシーンにも絵面が似てるんですが、メモリアルブックによるとあの庭の緑はわざわざ植えたそうなんです。
なので、この「開放された窓と緑」というのは塚原監督のこだわりだと思うんです。絵作りが本当に美しい。
ディレクターズカット版だと、この志摩の本心を開示するシーンがTV版よりたっぷり間を取っていて感情がさらに増幅されているので是非見てください!

◻︎リフレイン

香坂が転落死してからの志摩は何度も何度も自分を苛んだ。
犯罪者に何か偉そうに言うたびにその言葉が自分を苛んだ。
自分自身が罪を犯したと思っているから。
でも伊吹とバディを組むことで、志摩は犯罪者に対する気持ちが変わって行った。
その変遷については4話の感想で書いてます。

志摩のリフレインを止めるのはやはり相棒の伊吹しかいない。
この新旧『相棒』もリフレインして描いてるんですよね。

<アパートの廊下と飲み物を提供する青い服の住人の女性>
2013年 麦茶と刑事の自覚について叱責される香坂

2019年 缶コーヒーと通報してくれたことに感謝される香坂

<マンションの階段を駆け降りる相棒>
2013年 足をすべらせ転落死してしまう

2019年 伊吹も足をすべらせるが止まる。香坂に感謝する。
(香坂の死が本当に事故死だったことの補強の意味もあるのかも)

<相棒からマンションへ呼び出される志摩>
2013年 行かないで後悔

2019年 後悔するぞと脅され向かう

<相棒と屋上で飲む>
2013年 実現しなかった

2019年 二人でコーヒーを飲む

<相棒の命>
2013年 命を落とした香坂

2019年 「俺の生命線は長い」と言い放つ伊吹

◻︎自分の弱さと向き合う志摩

香坂の死は自殺ではなく、
本当は刑事としての行動した結果での事故死だったと知った志摩。
弱いと思っていた香坂がそうではなく、自分こそが弱かった。
自分は足りない人間で、伊吹みたいな相棒だったなら香坂は死ぬことはなかった。
生きていて欲しかったと香坂の倒れていた場所をさする志摩。
『アンナチュラル』7話でもあったけど亡くなった人を労るようにさする行為が泣けてしまうし、亡くす前にやらなきゃな…って思わされる。

自分の本心を香坂に語ったあと、伊吹と屋上で合流する志摩。
今度の相棒には「これからもウイスキーは飲めないってこと」と弱さを開示する。
弱さを見せれば受け止めてくれる相手なんだよね。

「安心しろ。俺の生命線は長い」

この「俺の生命線は長い」に至るまで志摩がどれだけ苦しみ、この一言でどれだけ救われたのかと思うと涙か止まらない。
そして、ここのタイミングで『感電』の
「たった一瞬の このきらめきを」が流れるのですよ。
良すぎて、すごいを通り越して「卑怯…!」て思っちゃう。

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当時の感想。


◻︎最後に萌えポイント

•志摩のスリーピーススーツ
•志摩のVネック白Tシャツ
メモリアルブックに志摩のVネックの深さの指定や1話目の志摩のネクタイ緩めるシーンを追加した話とかフェチズム全開のこと書いてあったので。
スリーピースのスーツは狙ってますよね!狙い撃ちされましたけどね。

#MIU404

#アンナチュラル

#星野源

#感電

#米津玄師

#テレビドラマ

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