かつて少年だった僕のバイブル
少し遅めの昼、極細の路地を入った隠れ家カレー店の前にいた。週に1回しかやってない営業日をInstagramで確認して、のほほんと順番待ちをしていた。
店の外にいるのは僕ひとり。「、、、、へ、、」と声が出る。
何気なく見ていたXに流れてきた訃報。鳥山明さんが亡くなられた。
念の為yahooニュースで確認しようとしたところ、時間差でたちまちトップニュースになっていた。
(ショックだけどカレーは食べた。並んだし。)
振り返ると、漫画「ドラゴンボール」は少年の僕にとってバイブルだった。
幼い頃、扁桃腺を腫らし、鼻炎だけでなくときには中耳炎などまで患っていた僕は、母に連れられてしょっちゅう耳鼻咽喉科に通っていた。所定の診察券を受付にある箱に入れて呼ばれるのを待つのだが、診察台までの道のりは子どもにとってまあ長い。
そんなときに暇を持て余した僕の唯一の楽しみは、待合室に置かれている週刊少年ジャンプ。次の号が買い足されていると、体に比して大きな週刊誌をうれしそうに抱えて読んでいた。パラパラとページをめくってお目当てのタイトルを探したものだ。
その当時のジャンプの看板タイトルこそ、ドラゴンボール。
すぐさま夢中になって、単行本を買いアニメを見てゲームまでするようになるのはその後すぐのことだ。
ドラゴンボールからいろいろな体験をし影響も受けた。
たとえば天下一武道会の控室でクリリンが倒れているのをみつける展開は、少年の僕にとってトラウマものの演出だった。メインキャラが死ぬという概念がなかったし、死の恐ろしさに震えた(しばらく夜は布団の中でドキドキした)。
はたまた今の筋トレのモチベって、悟空たちの強靭な肉体への憧れからなのかもしれない(本当に多少ある)。悟空みたいな強さ・肉体美をいつ手に入れられるのやら(無理すね)。。
これまであったブックオフ行きの刑をドラゴンボールはくぐり抜けた。
みなさんも経験があるだろう。進学のとき、引っ越しのとき、就職のとき、さまざまな節目で手持ちの漫画は整理される。
ことごとくドラゴンボールは処分されることなく僕の手元に残ったのだ。なんか処分できない、お守り代わりに近い感覚。
ドラゴンボールだけでなくドラゴンクエストのほうでも大変お世話になった(いや、これからもなる)鳥山さん。
晩年の作品に賛否はあるが、大御所と呼ばれても最期までおごらずに現代の売れっ子漫画家さんたちに影響を与えている。そしてもちろん、僕を含めた読者にもたくさんの学びや感動、イマジネーションをもたらしてくれた。
間違いなく「漫画の価値を一段上げた」功労者だ。ありがとう。
少年漫画にアレルギーがない方には読んでほしいなぁ。
さて、ここまで話してきたが、最初の10巻くらいは欠けているというオチ付き。この際、誰かの手元で刑を執行された子たちを僕がブックオフへ行ってお迎えしようかな。
ひさしぶりにザッと読みたいわ。
(あ、スーパーサイヤ人ブルーとかそのへんからはどうでもええけどね)。
Discord名:ノクオ
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