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最近の変化いろいろ:老化を受け入れつつ、弱さにあらがうという挑戦

友人が、中高生向けに泊まりがけの企画をやっていて、それがいろんな仕事人(主に自営業)が自分の仕事について語り、体験させるというようなものだったようで、なかなかおもしろそうであった。ポポコ(長女)にすすめたら参加しただろうか?

そしてわたしはといえばそこに講師として招かれるような仕事人には全くなっておらず、そのことに一瞬落ち込みかけたのだが、なんとなく「いや、わたしはこれからなんだろう」と思った。留学したり社会であれこれやってみたりした時期、「脱・東京」をして子を産み育てた時期を経験し、そしてその後のステージがやってくるのだろう。そこできっと何かをやるんだろうな。これまでやってきたいろんなことを糧にして。今はそれに向けて少しずつ準備している段階なのかもしれない。

そんなことを考える一方で、このごろ考え方にまた少し変化があって、自分でも興味深く観察している。働いて稼ぐことに、あんなに、謂わば「憧れ、執着」していたのに、ずいぶん薄れてきつつあるのである。それよりは、「このクソッタレな世界において毎日いかにして機嫌良く暮らすか」みたいなことのほうに主な関心が向いている。身体のこと、心のこと、衣食住のこと等々。働いて稼ぐことがなぜ出来ないのかとあまり自責しなくなったのは大変精神によろしい。ようやく諦めることができたのだろうか?坂口恭平が言うように「働いてたまるか」の精神で生きていきたいものだ。

しかしこういった「心の平穏」は、良い面もあるがそうでもない面もあるように思う。つまりこれはひとつの老化なのではないか、怠惰なのではないか、ということだ。「自分の周りだけなんとかなってればいいや、社会がどんなに悪くなっていこうとも」みたいなものに陥ってはいないか。確かに世界はどんどん住みづらくなってきていて、自分と家族が幸せに生きていくことだけでも本当に大変なことになってきているわけで、しっかりしていないとそんな考えに引きずられそうになる。でもそんなの、老いた大人の怠惰でしかない。「流れる時にあらがうわけじゃない  弱さにあらがいたいぜ」とエレファントカシマシの宮本は歌う。もうそれが身につまされるのなんの。怠惰は弱さだ。老化に伴う精神の退廃。そう思うと、散らかった部屋もめんどくさいからと後回しにしている皿洗いも、ぎゃーー退廃退廃!!ヤバい!!ってなる。さっさと片付けろ。やるべきことをやれ。そしてわくわくすることをするのだ。社会と関われ、小さくても波を起こせ。心に灯をともせ!!

そんなことを考えながら筋トレなど始めたものの三日坊主に終わりまた自責の念にかられていた頃、ふと手に取った『女と骨盤』で片山さんが「更年期にはどうにもならん2年間があって、この時期は頑張らずなんとかやり過ごすこと。気づいたら1日が過ぎていた、みたいな感じで良し。時期が過ぎれば勝手にまた力が戻ってくる。」と言っていて、わあああそっかーー!となって肩の力が少し抜けた。この本、何度も読んだはずなのになあ。読むたびに刺さる言葉が違うからおもしろい。最近無為に1日が過ぎていくことに罪悪感を覚えたり焦ったりしてしまうのだが、頑張らねばならぬ場面ではちゃんとパワーが出て頑張れているからそれでいいのかも。わたしはじゅうぶん、「よく生きてる」のかもしれない。

などと自分を認めつつ老化を受け入れつつ、弱さにあらがうという高度なことにこれから挑んでいくわけか…。自分を追い込むこともあまりしないほうが良いんだろうな。なかなか線引きが難しいな。…ってなんか真面目すぎるな!要は身体を見つめつつしっかり生きろということだ。

もうひとつの変化は、これまでは「こんなの本当の自分じゃない」、「本当はわたしはもっとこうでああで…」みたいなことを思いがちであったが、この間ふと「この、現在の自分こそが本当の自分なのでは?」と思ったのだった。国内外をフットワーク軽く動き回っていた時期もあったし、たくさんの友達・仲間と様々なことをやった時期もあった。けれど、今はひとりだ。ここ4~5年くらい、特に何もやってない。こつこつ本を読んだりして考えを深めたり、身体のケアをしたりしている。老親の介護に関することや子どもたちのケア、ガタガタになりがちな自分の心身を整えながら生活を回していくことが今の主な仕事だ。特に生き生きと社会と関わり合って活動しているわけではないこの今の自分を「どうしちゃったのかな、わたしらしくもない」とか「無償のケア労働ばかりやってるなあ」と思うこともあるけど、それこそが今のわたしなのだ。それでいいのではなかろうか。

とはいえやはり今の環境は狭くて不自由でつまらなくて、時々叫び出したくなるのだ。破壊して整えて、を繰り返したくなる。時には、破壊が必要。新しい風が必要。旅が必要だ。日常をはみ出していけ。

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