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"存在しない服"にお金を出すカルチャーが大きくなり始めている

リアルの世界でのファッション好きとしては気になるところです。

昨今の情勢変化でリアルに近いオンライン環境・体験を実現する動きに注目が集まり、同時にHotな領域になりつつあるのが、今回のアバターファッションですね。

バーチャル空間でアバターを使ったコミュニティだと、記事内でも紹介されている『セカンドライフ』が00年代初頭にかなり流行ったことが思い出されます。

同じくらいの時期に『シムピープル(The Sims)』も話題になってましたし、サービス終了が記憶に新しい『アメーバピグ』も同じ領域ですね。
もっとも、MMO(マッシブ・マルチプレイヤー・オンラインゲーム)に代表されるようなオンラインゲームでの振る舞いも、ゲーム性を除けば似たような特性を持つものです。

オンラインでのコミュニティに関しては、リアルの世界での身体性が排除された世界だからこそ、アバターの存在が一定の人間性を生み出す媒体・媒介を果たしてくれていて、そこにナチュラルなコミュニケーションを実現させる一端を担っているのだと理解できます。


また、リアルから切り離された世界だからこそ可能な"自己超越性"も一つの魅力でもあり、新しい自己表現の形にもなっているのだと思います。

一見するとSNSでの振る舞いと同じ要素を持つように思える、と見せかけて、SNSと比較すると多くの情報量を持っているからこそ、表現の多様性が高まり、必然的にアバターの纏う服に個性を反映したいと思うようになるみたいですね。

ちょっと前には三越伊勢丹HDがバーチャルマーケットへ出店したことが話題になっていました。


もともとの記事でのトピックである、"ビジネスになるか"という問いに答えを出しつつある事例ですね。


また、直近では『あつまれ どうぶつの森』が顕著な例になっています。

これはハイブランドが参入した例ですが、SNSではマイデザイン(ユーザーオリジナルデザイン)の配布によって有名になっている方が出てきているケースもあるようです。


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ファッション領域以外のトレンドが影響したことでファッショントレンドが変化することはよく知られていて、Instagramでのマーケティングを意識した結果、ロゴが大きくプリントされたアイテムが多く生み出されているのは非常に分かりやすい現象といえます。Balenciaga(バレンシアガ)とかはもう、特に明確でしたね。

Zoom映えするファッションという視点も生まれているようですし (岸田さんもスカーフの投稿をされてましたね)、リアルな世界でも今後の動向は非常に興味深いです。


ちょっと話がズレましたが、そもそも我々はー特に服飾に関心が強い人々はなぜ着飾るのでしょうね。それは自己表現なのか、ある種のコミュニケーションなのか。所有することだけに価値があるわけではなく、複雑な人間心理が反映されていると思うと、どうにも好奇心がくすぐられる次第です。

これまでの世界線の延長だけで考えても、
ゲームやバーチャル空間でのデザインがキッカケになって、リアルな世界でのデザイナーとして活躍する方も増えてくるのだと思いますし、既に自分のデザインやコンテンツを持つ方にとっては発表の場が増えたことになるのでしょう。

人々の才能が活かされる機会が増えるってワクワクしますね!


ということで、お付き合いいただきありがとうございました。

お相手は わたくし
納木 まもる  でした。

次回も楽しんでもらえますように。

末尾ハンコ

<編集後記>
アパレル界隈がデジタル側で盛り上がる一方、例えば化粧品の売上などはかなり負の影響を受けているようです。外に出ないならお化粧なんかしません、という方も多いのかもしれませんね。

アバターの表現が顔立ちまで細かく見えるようになったり、もしくは、それだけ接近したカメラアングルになるシチュエーションができるようになることで、場合によってはアパレルと同様の展開もあるのかもしれないです。
ただ、顔を突き合わせないで済むバーチャル空間で、そこまでのシチュエーションを求めるかどうかは、ちょっと疑問ですね。

しかし、人々の距離が否応なしに分断されてしまう事態によって、"人は集まりたがる生き物である"ということが改めて実感されるケースに繋がったのは非常に興味深いと言うか。ここだけを切り取って、かつ少し不謹慎な表現をすれば、壮大な社会実験ができていることになるとも思います。

この経験によって、人類の幸福論が少し変化するのだとしたら、それもある種の進化なのかもしれない、なんて思うのでした。



読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。