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今日も気分は嫁・次第 #1

今日から、少しずつ、嫁の話を書こうと思う。

「お前を殺して、私も死んでやるよ。
そうしたら、判るだろうよ。死をもって私の潔白を証明してやる。」

そう言って、手に持った包丁を、ゆっくり揺らしながら近づいてきたと思ったら、私の右のこめかみをかすめて、包丁は柱に刺さった。

「殺されると思ったか?バッカじゃねえの。
ちゃんとコントロールして投げてんだよ。」

3メートルは離れているのに、確かにいいコントロールだ。日頃から、お前より私のほうが全てにおいて優れていると豪語するだけのことはある。
しかし感心している場合ではない、嫁が髪の毛を逆立て、煽ってくる。人の髪が逆立つのを初めて見た。

本当に生え際から3cmほど立ち上がるのだ。恐ろしい。
それにしてもまるでチンピラ。いやそれ以上に本気の覚悟を感じるので質が悪い。

後で分かったことだが彼女は、双極性障害というものらしい。そのせいで、今までの、どんな努力も、信頼も、仲の良かった友人も、築き上げた人間関係も、失い。家族からは、もう一緒に居られない、頼むから出て行ってくれと言われ、絶望していた。

彼女は、何故、このような不当な扱いを受けなければならないのか?また何故、誰一人として、この苦しみを理解しようとしない。それどころか、狂人扱いされることに対して、怒り狂っていた。


「お前らが、私の身になったら、辛すぎてもう死んでいるだろうよ。
どれ程苦しいか判らないのだろう、だから死んでやるんだよ、私が死んだら少しは判るだろう。
私がただの我儘で暴れているのでない事に。
だから死んで、この身の潔白を証明してやるよ」

彼女は、自分のことを理解しようとせず不当に扱った、家族、社会に対して少しでも後悔と罰を下す為に、死んでやるという理屈のようだ。

「だからお前を殺して、私も死ぬ。か、お前も私の苦しみが判らないのだろう。お前にも知らしめてやる。仕事から帰ってきたら、首を吊った私をお前が発見するんだよ。ケケッケケケエ。。」

なんてデンジャラスなんだよ!
これに関しては、私は全く何の責任もない。だって出会ってまだ3ヵ月経っていないのだから。とばっちりもいいところ交通事故みたいなものだ。
それにしても、いきなり命を狙われる生活になるとは思わなかったな。


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