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【前日譚】 福井で考える「優しき生の耕人たち」 ゲストアテンドツアー|DAY2

6月20日(火)に開催された「ノカテのおいしいトーク01|福井で考える『優しき生の耕人たち』」の前日譚2本目です。

この記事では、福井市街、そして丹南のものづくりエリアを巡ったトークイベント当日夕方までの足取りを振り返ってみます。

1日目の記事をまだ読んでないよという方は以下のリンクからぜひご覧ください。


DAY2

イクララボ

食事会から一夜明け、迎えた越前海岸の朝。それぞれの宿からイクララボに再集合し、朝ごはんを食べて腹ごしらえ。

イクララボから見える早朝の越前海岸。
お米や生卵は前日に志野さんから仕入れたもの。
「これはたぶん双子だと思うよ」と教えてもらった卵には本当にきれいな黄身がふたつ並んで入ってました。
卵かけご飯に藤崎さんからもらった「粉わかめ」をかけて食べたり、朝から豊かな時間。

トンカンテラス

越前海岸を発ってはじめに向かったのは福井市高木にあるトンカンテラス
2019年度のXSCHOOLにて生まれたプロジェクトで、オーナーである黒田悠生くんの実家の作業小屋を改修整備した小さなものづくり拠点です。

ここではレーザーカッターや3Dプリンターなものづくりを楽しむための様々な機材が揃い、その使い方のレクチャーも受けることができます。

会社員として長年ものづくりに携わってきた黒田くんの「ものづくりを楽しむ人を福井にもっと増やしたい」という思いから生まれた素敵な場所。

オーナーの黒田悠生くん(写真右から2番目)。
プラスチック成形メーカーにて約10年設計開発の仕事に携わったのち、2021年に独立。
粉砕機で海洋プラスチックゴミ粉砕の実演。
Precious Plastics 福井 を立ち上げ、プラスチックゴミ問題への関心を高める活動も取り組んでいます。
併設されているバリアフリートイレはクラウドファンディングを通して整備したもの。
トンカンテラスやトイレの設計は、ノカテメンバーであり設計事務所「RIPEN」代表の髙野麻実(写真右)。
黒田くんのお母さんともご挨拶。元々が黒田家の作業小屋なので、こんな場面は日常茶飯事。
それも含めて、素敵な場所なのでした。

オレンジキッズケアラボまあるカフェ

次に向かったのは、福井市灯明寺にあるオレンジキッズケアラボと、同じ敷地内に併設されているまあるカフェ。どちらもオレンジホームケアクリニックが連携しており、代表の紅谷浩之さんは「わけるから、わからない🥺ー医療とわたしのほぐし方ー」というテーマのもとで開催されたXSCHOOL2020にアドバイザーとして関わっていただいたことがあります。

はじめに案内していただいたのはオレンジキッズケアラボ。

医療的ケアと医療機器が日常生活に欠かせない「医療的ケア児」を中心に受け入れを行なっており、子どもたちや家族の思いに「こたえていく、かなえていく。」を合言葉にしながら、誰もが安心して暮らせるまちづくりを目指して運営が行われています。

訪問させてもらったタイミングはちょうど「音楽を感じる時間」。
ケアラボスタッフの方が音を響かせます。
空間に流れる音楽を、それぞれの楽しみ方で感じる子どもたち。
打ち合わせに訪れていた、遊具メーカージャクエツの田嶋宏行くん(写真右から2番目)。
田嶋くんはXSTUDIOとXSCHOOLの参加者で、2020年度のXSCHOOLへの参加をきっかけにオレンジさんとインクルーシブ遊具の開発に取り組んでいます。

インクルーシブ遊具に見られるように、この場所は医療的ケア児を地域から分ける場ではなく、むしろ誰もが自分らしくともに在ることを体現するような場。

ケアラボのすぐ隣にカフェがあり、カフェ利用に訪れたお客さんは思いがけず自然にケアラボの子どもたちとも出会うことになります。

「多くのサポートが必要な医療的ケア児が普通に過ごせるまちは、誰もが過ごしやすいまちになると思うんです」と教えてくれたのはオレンジホームケアクリニック副医院長の西出真悟さん。

ケアラボやまあるカフェを中心に、新しい「当たり前」をつくっていくことで地域や社会を変えていこうとするオレンジ全体の取り組みについて紹介していただきました。

下記の記事も参考にどうぞ。

まあるカフェのテラスで昼食をいただき、みんなで記念写真。

あまりご紹介できませんでしたが、コミュニティナースが運営するまあるカフェもオレンジさんならではの取り組み。なぜ医療法人がカフェの運営を始めることにしたのか?下記の記事が参考になると思います。

長田製紙所

まあるカフェから45分ほど車を走らせ次に向かったのは、越前市旧今立町の長田製紙所。五箇地区と呼ばれるこの地域は1500年の歴史を持つ越前和紙の産地として知られていて、長田製紙所の周辺では数々の和紙工房が今日まで特色ある和紙づくりを続けています。

案内していただいたのは長田製紙所の長田泉さん(写真右から3番目)
襖紙やインテリア装飾和紙を製造する手漉き和紙工房である長田製紙所。
写真は和紙ライト「すきあかり」
至るところに「水」の気配を感じる工房内。和紙づくりと水は切っても切れない関係。
漂白された状態の楮(こうぞ)。
ここから叩き砕いて細かい繊維にすることで手漉き和紙の原料となります。
手漉き和紙に欠かせない「ねり」を生み出すトロロアオイ。
和紙を漉く際の粘度調整が和紙職人に欠かせない技のひとつだそう。
工房に併設されたSHOPにはプロダクトデザイナーの中井詩乃さん(XSCHOOL2017参加)がデザインした和紙アクセサリー「YURAGU」の姿も。
同プロジェクトにはノカテメンバーの吉鶴かのこもアートディレクターとして伴走しています。

楮とねり、水を混ぜた和紙の原液を垂らして自然に出来上がった形をそのままアクセサリーの形状として採用したそう。和紙と水の密接かつ根源的な関係のあり方に目を向けることで誕生したプロダクトです。

岡太神社・大瀧神社

長田製紙所で越前和紙について学んだあとは、日本で唯一「紙の神様」が祀られている岡太神社・大瀧神社へ。和紙産地にきたら必ず足を運んでおきたいスポットです。

社殿正面から。
神社の社殿の屋根は日本一複雑な形状をしていると言われていて、幾重にも波が寄せあうような形状やいたるところに施された彫刻の壮麗さは圧巻。
帰りの階段で。多木内閣ができたらこんな感じ?

ろくろ舎

この日の最終目的地は越前漆器の産地である鯖江市河和田で木地師として活躍されている酒井義夫さんの工房「ろくろ舎」。

木地は漆器のベースとなる椀や盆などの木工品のことで、それらをつくる人は木地師と呼ばれます(扱う技法によって、丸物・角物(指物)・曲物木地師・刳物木地師に分かれる)。

ろくろ舎代表の酒井義夫さん。
丸物木地師として2014年にろくろ舎を立ち上げ。

産地の中で木地師として生きていくために必要な仕事もあれば、一職人として理想とする商品の届け方もある。 

様々な葛藤がありながらも、ここ最近の仕事で一番よかったと義夫さんが話すのは、奈良のたんぽぽの家との共同プロジェクト「たたいて みがいて つくる」。                                                                     

たたいて みがいて つくるスツール

木工の専門的な道具や技術がなくとも、ものづくりに親しみやすい方法は何か、一人ひとりの手仕事や表現で物語を重ねることができないかと考え、打刻と浮造りによる研磨というプリミティブな行為によって木工の可能性を探求したプロダクト。

「こういう仕事でずっと食っていけたらといいよね」と義夫さん。

SAVA!STORE

ろくろ舎をあとにしてイベント会場への向かう前に、ちょっとだけ寄り道して鯖江のクリエイティブカンパニーTSUGIの運営するSAVA!STOREへ。

ほんの少ししか寄れなかったので写真もないのですが、なんとこの秋リニューアルオープン予定ということで要チェックです。

そしてイベントへ

朝からイベント直前までたっぷりと福井をご案内させていただき、いよいよ6月20日(火)のトークイベント本番へ。

イベントの内容については下記の記事をご覧ください。
前日譚を読んでからこちらの記事を読んでいただくと、ゲストのお二人が話されていたことの解像度がちょっとだけ高くなるかもしれません。

さてさて、2本に分けた前日譚もこのへんでおしまいです。

ノカテのおいしいトーク第2弾もまた必ず開催したいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

それではまた。

文:髙橋要
写真:片岡杏子、髙野麻実、髙橋要




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