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さよならくちびる

2019.6.3 鑑賞

「二人とも本当に解散の心は変わらないんだな?」

最初は結構重ためな作品なのかと身構えた。何せテーマが『解散ツアー』だから。壊れかけた歪な三角関係が痛くて苦しくて心地よかった。ツアーが終わりに向かうたびに、ハルレオは本当に終わってしまうのかと切ない気持ちで最後まで観進めていました。ハルとレオとシマの三人の旅がいつまでも続いていけばいいのにと私も画面の中のファンの様に願っていたし、その画面の中のファンと同じ様に私はすっかりハルレオとシマのファンになっていた。あの女の子たちと同じ様にこの約2時間、夢中でハルレオを追いかけていた。始まりがあるから終わりがある。終わりに向かう旅がとても切なくてかけがえのないものに感じた。

「さよならくちびる」を観ようと思ったのは成田凌さんとあいみょんさんに釣られたからだ。何とも単純な理由だけど私は成田凌さんの演技が好きだしあいみょんさんの楽曲がとても好きだ。好きな人達が作り上げる作品なのだもの絶対私の心に届かない訳がない。響かない訳がない。そう思った。贔屓目に見てきっと最高だろうと。(余談ですが、成田凌さんの作品はついつい映画館に足を運んでしまう。タイムリーで観ていたい、追いたい役者さんの一人です。)だから元々期待していたし心の底から楽しみにしていました。そしたらもうそれはそれは期待以上に良すぎた。ちょっと前に「愛がなんだ」を鑑賞していたからか余計によく思えたのかもしれません。何がいいってね、シマがめちゃくちゃかっこいいの。私が女になったの。とっても邪な気持ちで観ておりました。門脇麦さんは「愛の渦」や「二重生活」、「チワワちゃん」で小松菜奈さんは「渇き」でそれぞれ認識していけどそこまでの知識もなかったのでどうだろうと思っていた。少ない知識の中で今回はいつも以上にはまり役だと感じた。役にフィットしていたというかもうそこに存在していたというか。お芝居を感じつつハルもレオもシマもそこにいた。そんな感じだった。ミュージシャンハルとレオだった。

好きなシーンはたくさんある。ネタバレになるかもしれないので注意。何度も言いますが、シマがいい男なんですよ、これが。元ホストでハルレオのローディー。マネージャーっすね。しかも元バンドマン。どこかで自分たちとハルレオを重ねていたのかな。だからこそ終わってしまうハルレオを惜しんでいたように思う。シマがクッションとしてそこに居てくれたおかげで心地よくこの関係性を見守れたと思います。シマの好感度爆上げなシーンがありまして、レオがDVを受けててそれでもその男のとこに帰ろうとするシーンで一度ハルの静止を振り切るんですねレオは。そのまま部屋に入って扉が閉じようとするんです。その後にシマがレオを追いかけてそのまま部屋に入っていき抱えて部屋の外に出てくるんです。「レオ、帰ろう」と。身を呈して守るんですね。勿論後からDV男が来て掴み合いになるんですが。「ハルレオ」の為に彼は体を張るんです。ここから私の語彙力は失います。もうそこがめちゃくちゃかっこいいの!!!本当にかっこよくて劇場で声にならない声を上げてしまうという失態。あれはもう成田凌ファン以外も絶対落ちた。何人か魂抜けてると思う。生きててあんな風に守られたことないもん。…と、とても不純な目で観ていましたがそこが私のとても好きなシーン。それからレオがふらっと立ち寄ったレコード屋さんでたまたまシマに会い他愛の無い会話をするシーン。ここも好きなんです。ハルとレオが一緒のシーンは少し息苦しくてハルとシマのシーンは息が詰まりそうになるけど、レオとシマのシーンはちょっと気が抜けるから好きなんです。無邪気がいっぱい詰まってた。二人はきっと相性がいい。シマが落ち込んでる時もレオの慰め方がとても好きでその時の苦しそうに笑うシマが忘れられない。推しの話をすると語彙力を失う病に侵されているので何一つ伝わってないと思うんですが(笑)私はシマとレオの関係性が一番好きみたいです。

ライブシーンを重ねていく度に歌詞がどんどん深く刺さり二人の声が刺さり、どうして終わってしまうんだろうという気持ちになりました。秦基博さんが描き下ろした「さよならくちびる」、あいみょんさんが描き下ろした「たちまち嵐」、「誰にだって訳がある」。観終わったあともずっと口ずさみたくなる楽曲でその度にこの映画のことを思い出していました。ある意味スルメ曲であり、スルメ映画だと思います。演奏シーンはシマも含め皆さん自ら演奏されていたとの事でそこがまたグッときましたね。成田さんはもうやりたくないって仰ってて楽器の難しさを感じました。

メンズノンノのインタビューで小松菜奈さんが終わり方がとても好きって仰っていて、私も激しく同意しました。さよならくちびるの何がいいって、終わり方なんです。爽やかなんです。始まりがあるから終わりがあってこれは終わりの始まりなんです。是非最後まであなたの目で観て欲しいと思います。

私の好みにドシッと刺さった作品でした。

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