見出し画像

初めて触れる現代声楽曲(ソロ編その1)

こんにちは。現代声楽曲を歌ってみたい!聞いてみたい!という皆さんのためにこれまで私自身が色々なところでよく目にした、もしくはお気に入りの現代声楽曲を選んでみました。ちなみに今回はどソロ編その1です!いくつかは講習会で課題曲になることも多々ある定番ナンバー。ぜひぜひお気に入りを見つけてください。

Sequenza III(1965)/Luciano Berio

現代の声楽曲といえばまず挙がるイタリアの作曲家ルチアーノ・ベリオによる歴史的名曲。数々の講習会においてもまず課題曲として指定されています。従来の五線のみにこだわらない、しかし明快な記譜法は後世にも重大な影響をもたらしており、この一曲をじっくり学ぶことはこれ以降の現代声楽曲に触れていくのにとても有益なステップだと思います。何より聞いても歌っても楽しいのがすごい。ちなみに各番号違う楽器に書かれており(被ってるのもあるけど)、どれも楽器の特性が生かされた興味深いものになっています。


Stripsody(1966)/Cathy Berberian

上述したベリオのSequenza IIIを初演したキャシー・バーベリアンが自ら作曲した一曲。漫画のコマを切り貼りしたという独自の楽譜は見ているだけでウキウキさせます。声楽家の薬師寺典子さんがこの曲についてとても深めており、彼女自身による日本語版もyoutubeにアップされていたのでそちらもリンクを貼らせていただきました。

Récitations(1977-78)/George Aperghis

フランスの現代声楽曲といえばおなじみの作曲家アペルギス。2010年ごろのダルムシュタット講習会で講師であった声楽家ドナシエンヌ・ミシェル=ダンサックが恐ろしいクオリティで全曲演奏を成し遂げたことにより一気に再発見が進みました。動画に載っていませんが楽譜の視覚的効果も抜群です。ちなみに8-11あたりはフランス語がわかればとっつきやすいのでよく講習会で生徒が挑戦しています。他にも最近書かれた広告のテクストを用いたPub1,Pub2などもよく演奏されますのでそちらの動画も貼ってみました。

Aria(1958)/John Cage

こちらもカラフルで視覚的な楽譜が特徴のケージによるソロ作品。楽譜に沿って奏法を歌手自身が決めていくので、多種多様な解釈が可能だといえるでしょう。私の師匠であるアンゲリカは身体表現も使った大胆な解釈を行っています。ケージの中でもさらに自由度の高いエレクトロニクス作品「fontana mix」と一緒に演奏されることも多々あります。またケージでは「song books」という曲集も有名で音楽畑じゃない人もよく取り上げる作品としてこちらでは知られています。私も幾度が美大とのコラボでこちらの曲集を演奏しました。

Djamila Boupacha(1962)/Luigi Nono

ノーノの「生命と愛の歌(広島の橋の上で)」という楽曲の第二曲。ソプラノ 歌手にとってとても歌いがいがあることもあり、この曲だけ取り出して歌われることが最近ことに増えました。特殊奏法も何もないのにとても惹き込まれる作品です。跳躍が多いものの歌手が気持ちよく歌えるように書いてあるところが流石だなぁと思う。ノーノの声楽曲ではテープつきの「La fabbrica illuminata」もよく取り上げられますがそれについてはまたどこかで。シュトゥットガルトの私のクラスでもよく学生が歌っています。

うっかり長くなったので続きはその2にて。しかし女声向け作品がどうしても多いですね。他にもおすすめあればぜひ教えてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?