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PANK PONK magazine vol.7 待ち時間

とにもかくにも「待つことが」嫌いだ。いったいぜんたい信号やエレベーターを待つことに人生の何日(いや数ヶ月か?)くらい費やしているのだろうと考えて途方に暮れることがある。
ドラえもんに時間を貯金(貯時?)出来る、ひみつ道具があったと思うのだが(うろ覚え。いつもながら調べ直すのがめんどくさい。学術書とか為になる本を書いてる訳じゃないので別にいいやろ、と開き直り)僕が1番欲しいドラえもんのアイテムはそれだ。
寝てる時間とかを使って人生の信号待ちの時間を一気に待てれば良いのに。

大きな声では言えないが僕はよく信号を無視してしまう。夜中のどこからどうみても車来てない道で信号を待っている人はどういう人なのだろうか?(観察者である僕を除いて)誰もいない、ほぼ音もないような深夜の道で静かにじっと機械の赤い光に従っている人を見ていると、この国の行く末を案じる気分になってきてしまう。
僕が信号を無視すると律儀に待っている真面目な人はムッとしたような顔を向けることがある。僕のモラルを責めているというよりは、ルールを守って待っている自分を馬鹿にされたと感じるのだろう、と思う。

エレベーター待ちも嫌だけど爪先立ち待ちと一瞬の読書で1〜2ページさっと読む筋肉と脳の複合トレーニングを身につけてからはそこまで苦でもなくなった。スーパーのレジで待ってる時間も同様だ。冬ならばコートのポケットに握力鍛えるマシーンをしのばせているのだ。(そういえば「ゴドーを待ちながら」ってどんな話なんだろ?と思いながら一度も読んだことがないな。まあ「ゴドーを待ちながら」ってどんな話なんだろう?と考えて過ごすのもわりと有意義な時間なので一生読まなくても良いかなとも思う)

外食なども人が多い12時から13時はしない。むしろその時間は食事に限らずあらゆる買い物を避ける。自分1人で過ごす至福/思索の優雅な時間だ。
昔、読んだアンディ・ウォーホルのエッセイに「誰もが行きたい天気の良い日でなく、雨の日の早朝のセントラルパークに行くとすべてがぼくの独り占めだ」みたいなことが書いてあった(と思う)が、僕も同感だ。
もちろんこの引用もうろ覚えの適当なのでウォーホルはそんなこと書いていないかもしれない。

当然並ぶような人気店になど行くわけがない。と言いつつも、「最近はどんなものが流行ってんのかなあ」と興味があったりする。ので流行りも過ぎて人気が少なくなった頃合いに行ってみる。もしくは誰かを誘って行く、さすれば待ち時間も社交の場ということで何とか自分の気持ちを沈められる。
前にも書いたように自分はあまり食事に興味がない。自分の価値判断では並ぶ100点の店に行くより断然並ばない70点のお店だ。
まあ、そもそもガヤガヤしたの嫌いなので人気店=100点に、自分のなかではなりようがないのだが。

自分は根がネガティブなので空き時間とか出来て考えごととかしてるとすぐに「自分の生きる意味とは何なのだろう。これ以上この世にいても意味がないのではないだろうか。死ぬのも悪くないな。しかし死とはなんであろう。いや死以前にそもそも生とは……続続々」などとくだらないことをくよくよと考えはじめてしまう。
鬱病とかいうように病という文字が付いてるので病気だから治さないととかも考えたこともあるが、これは病気ではない。ただの自分の思考回路の癖だ。なので治らないと思うので、うまく付き合っていくしかない。そう思うようになって自分の脳に対する対処を色々と編み出してきた。
とりあえず色々忙しくしてやることを作っていないとだめだ。脳に空きメモリが出来るとすぐにくよくよとしてしまう。
こんなエッセイを書いているのも自分なりの自分の性向への対処方だ。今はほぼ無職だしコロナの影響で新しいこともなかなか始められない。なのでやることを無理矢理にでも作っておかないと自分はクサクサしてダメになってしまう。

自分が待つのが嫌いだからもちろん人を待たせるのも嫌いだ。
中学の時はサッカー部に所属していて9時集合と言われたら1年生は8時30分には行かなくてはならないという不文律があった。とにかく30分前集合!20年以上経った今でも自分の感覚に染みついてしまっている。

今は携帯電話があるので遅刻しようがどうしようが合流が簡単だ。(ホラー映画では携帯を登場させないために舞台を電波のない、ど田舎や洞窟などを舞台ににする工夫をするらしい。)僕は二十歳までは携帯持ってなかったので遅刻などしたり、されたら合流はほぼ不可能だ。
でも携帯常備期(現代の右手の恋人はマスターベーションではなくスマホになった。)以降は早く行き過ぎて遅刻することが増えてしまった。
知らない場所とかで待ち合わせになるとせっかくの機会だし、早めに行ってうろうろしてみようかなと思って1時間以上前に到着してうろうろうろとしてたら指定の時間までに戻れない。気を使って早めに来たのにお待たせしてしまう。本末転倒だ。
早くても遅くても駄目なのだ。Just is Justiceなのだ。

※関係ないけどロックスターて、おばちゃん顔(しかも関西のおばちゃん)の人多くないですか?ベンジー、坂本慎太郎、細野晴臣、マーク・ボラン、ミックジャガー、ジム・モリソンなどなど

Photo by Hamayoshi Ryuichi

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