ひきこもりの住宅支援を考える日

新しく足を踏み入れる街がそこにあれば、私はなるべく意味も無く歩く事にしている。豊田市という街へ行った。言わずと知れた日の本一の大企業、トヨタ自動車のお膝元だ。更に言えば人口40万人都市である。40万人以上の人口を有する都市は日本でも然程多くはない。そんな豊田市の豊田市駅周辺をブラブラと歩いた。

するとどうだろう。案外こんなもんかしらんという感じであった。いや、人口40万人なのだから、それは嘸かし賑やかなのだろうと思って豊田市駅に着いたら、案外穏やかな駅前であったので、あれれ、といった感じだ。これでは我が街の駅前に少し毛が生えた程度ではないかとやや困惑をしたと言って良い。とは言え人口40万人である。多い。そんな大人数は一体どこで消費をしているのだろうか。

いや、そんな疑問は愚問である。すぐにそう思った。如何せんこの街はトヨタ自動車の企業城下町なのだ。皆駅を利用しないのだろう。駅に人が集まらないから駅前が言う程栄えない。恐らくこういう簡単な理由であると思う。どこか別の場所に何らかの消費地があるのかも知れない。成程これでは名鉄も折角線路を作っても商売上がったりだろう。可哀想なものだ。私は鉄道好きだから、少し同情する。

それはそうと何故豊田市に行ったのかという話だと思う。実は今日はとあるイベントのスタッフとしてこの街に足を踏み入れたのだ。イベントに誘ってくれたのはNPO法人ウィークタイの代表さん。スタッフが足りないから、良ければ来てくれと言われて、是非行きますと二つ返事をした。そんな調子だ。
しかし何のイベントなのだという話である。なので少し紹介をしようと思う。

そのウィークタイというNPO法人は、主に「ひきこもりの当事者会」をやっている団体だ。早い話ひきこもり支援団体である。いや、こう簡単に述べてしまっては良く無いのかもしれない。差し支えがあれば侘びたい。ひきこもり支援の問題というのは非常に事が複雑で、私もかれこれこの界隈とはそれなりに付き合いがあるが、この問題の解決の糸口はいまいち見え無いものである。ただそんな中で、この代表は「住宅支援」という支援形態を今構想中なのだ。

代表が言う事を私が要約するとこうだ。

「ひきこもり支援には居場所活動とか、就労支援とか、いくつかの種類があるが、とは言えそういう支援を利用する事にまず体力が必要なのであって、その体力を家で養えるのであれば良いのだが、家に居れば親との諍いや将来に於ける経済的な不安、そういう災いが多々あって、中々落ち着く事の出来ない当事者が多い。当然それではそういう支援を利用する体力も養えない。寧ろ磨り減る場合もあるかもしれない。
仮にそのような状況下でなんとか各種支援を利用出来て、例えばアルバイトを始めたとしても、家へ帰れば、お前の同級生の某は正社員で働いていてもう子供までいる、それと比べ手お前はアルバイトなんだから良く無い、とか、そんな事を言われる様では諸事全く上手くいかない。すぐにまた苦しくなる。そんな家はひきこもり当事者にとって全く安心の出来る場所では無い。
だからまずは衣・食・住が安心して得られるような、そういう環境が必要だ。あらゆる支援はそこから始まるのではないか。」と。

いや、繰り返し予め断っておくが、これは代表の文章ではない。代表から聞いた言葉を私が要約しているだけだ。また疑問があればウィークタイの公式ホームページから代表に連絡をしてみてほしい。
つまるところ、今日はその「住宅支援」の啓発講演イベントだった訳である。私はこの代表の考え方がとても好きだ。だからこの講演をZOOMで聞きたいと思った。いやあ、聞きたいと思っています、という事を代表に話したら、前述のように誘って頂いた、という次第である。
力になれたかどうかは不明だが、交流会のファシリテーターをやったりとかして、事実としてそれなりに働いたつもりでいる。兎も角円滑にイベントが進行したから何よりだ。

イベントが終わった後は、大曽根で打ち上げである。これがまた楽しいのだ。イベントの醍醐味一つと言えばやはりこの打ち上げだろう。これを無くしてイベントは出来ない。散々飲んで食べて、ひきこもり支援の在り方とか、その他社会問題について色々語ったりして、祖母の家へ帰ってみればこんな時間である。今は例によって風呂で日記を書いている。いやあ、楽しかった。充実した一日であった。祖母の家へ来た目的の一つはこれで達成されたので、後はのんびりと祖母に甘えようと思う。まずは明日はこの今日の思い出を噛み締めながらのんびりしようと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?