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Dr. Dre, “The Chronic” (1992)

G-Funkを定義づけ、ヒップホップ隆盛の起点となった最重要作。Funkの血は、ヒップホップの帝王によって、次世代へ受け継がれる。。。

Dr. Dre はその名の通り、ヒップホップ界におけるドクターのような存在だ。本アルバムは彼のソロ第一弾となるが、以降の活動はスヌープ・ドッグ、エミネムをはじめとしたヒップホップ界を牽引するスター達を世に送ったプロデューサーとしての計り知れない貢献にフォーカスされる。

しかしそれ以前に成し遂げた本アルバムにおけるG-Funkの確立というのは、今のヒップホップサウンドの源流と言え、歴史的に見ても最重要作と言って間違いない。

G-Funkを構成する要素は、①遅いテンポにずっしりとしたベース音による重たいサウンド、②浮遊間のあるシンセメロディ、から成る。

ヒップホップと言えばサンプリングだ。しかしこのアルバムでは随所に生楽器が使われていることも特徴であり、また革新的だった。今ではヒップホップでもオリジナリティが必要だし、サンプリングに完全に頼り切るスタイルから脱却し始めたのはこのアルバムからかもしれない。(もちろんこれ以前にも生楽器はしばしば使われていたが、本アルバムの影響力を考えれば、生楽器の積極的な使用は大事なポイントだったのだろう。)

そして本アルバムでサンプリングされた曲をディグって見ると、P-Funk(パーラメントやファンカデリック)が目立つ。Funkの歴史をしっかりと踏襲して、それを発展させてこそ確立されたG-Funk。Dr. Dre のブラックミュージックという文化を継承、発展させたい気概が感じられる。

実は優等生なワルはいいですね〜

2022/1/31(Mon) 2022年音楽レビュー#10

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