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未治療FTM

治療してる人が多くなってきた昨今、
僕は、未治療のままで生きている40代。

診断書は持ってるけど、
戸籍上の性別「女」で社会に生息している。

だから治療の先に見える世界線を、
見たことがない。

どんな感じなのだろうか。

標高の高い山を
必死になって登ったからこそ見える絶景!

そういう感じだろうか。

きっと、
未治療では見る事ができない、
いい景色なのだろう。


FTMにとって、
パス度は永遠のテーマだと思う。

僕もパス度に関しては敏感に生きてきた。
40代になっても相変わらず、
気になるものは気になる。

それでも10代20代の頃よりかは、
マシになったと思う。

男はゴツく、イカつかなくてはならぬ。
本気で思っていた10代20代。

ベッカムヘアー(世代)
ブルーのサングラス(世代)
人魚のアロハシャツ(迷走)
雪駄(逆走)

振り返るのも恥ずかしいけど、
そういう格好がベストだと貫いていた時代がある。

今は本当に落ち着いた。本当に。

でも鏡に写る
自分の中に女性らしい線を見つける度、
身悶える事は変わってない。

どうやってこの線を
消そう、ボカそう、誤魔化そう。

日々模索してる。

僕は、自分の中に存在する女の線を消しすぎると
、違和感が際立つタイプだと思う。
あえての線を残す方が、
かえってパス度が上がったりする。

髪を自衛隊バリに刈り上げ過ぎたり、
服装も下手をすると
ただの勘違いおばさんになりかねない。

それだけは避けたい。

ここ数年、中性的な服装や顔立ちが流行ってる。

男性が化粧をし、爪にも色を塗る。
女性がメンズ風に刈り上げて
メンズスーツをうまく着こなしてたり。
胸の谷間を見せないブラ、なんてのも出てきたらしい。
谷間が見えないのは残n、

真ん中(中性)に歩み寄ってきている感じ。


これは一時的な流行りかもしれないけど、
でもこの現象に
未治療の僕は、だいぶ助けられてると思う。

世の中に、LGBTQ関係なく
「今中性的なスタイルが流行ってるよね。」
という空気感、抜け感ができたおかげで、

不快に思われない程度のパス度を
割と自然に作れる環境になったと思う。

流行らせて基盤を作ってくれてる
各種業界の皆さんに感謝を。


僕は未治療で生きると決めた。
少なくとも、
今日明日急に治療に進む予定はない。

でも、それでも時々は立ち止まってしまう。
未治療で生きると決めたのに、
グラグラしてしまう。

安定剤のように、
診断書を眺めたりもする。

ただでさえ揺れる40代。
僕はこれから先、
どんな生き方をしていくのだろうか。

人生100年なんて言われてるし。

突然、治療をはじめる、
なんて展開もあるのだろうか。


未知数。