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ズッキーニ栽培気象条件の分析

 今回はズッキーニについて分析していきます。ズッキーニはきゅうりの親戚のような形をしていますが,カボチャの一種です。食べるとカボチャらしくねっとりとした食感があって,油と相性が良いおいしい野菜です。

 ズッキーニは成長途中の未熟果を収穫します。成長速度がかなり早いので採り遅れるとあっという間に大きくなってしまいます。大きくなりすぎるとちょっと味が大味になるかな?その点はきゅうりと似ていますね。今回はこの「成長速度」に着目して分析します。

 まずは「成長速度」を定義します。収穫時した果実の平均重量を前回収穫した日からの経過日数(成長期間)で割ります。収穫量が5本合計750gで前回収穫日が3日前の場合,750g÷5本÷3日=50g/日となり,1日で50g果実が成長したことになります。前回の収穫時,すでにある程度成長している実やまだ花の段階の実もあるかと思いますが,そこは収穫量の平均を取ることである程度均されます。なお収穫時100g以下のものは受粉が十分でなかったなどの理由により生育不良となっているとして,収穫量から除いています。

 過去2回分の栽培記録で,横軸に成長期間中の平均温度,縦軸に成長速度を取ったものが下図です。

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 成長速度のピークは平均気温23~26℃の間にあります。この温度領域がズッキーニの生育に最も適した温度域と言えます。それにしても,1日に200g近く重さが増しているデータもあります。ものすごい成長速度ですね。

 成長速度と平均気温の日ごとの推移が下図です。

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 これは2019年にはじめてズッキーニを栽培したときのものです。6月下旬頃にかなりの成長速度となりましたが,その後急低下しました。この年は7月もあまり気温が上昇せずに推移していました。日照時間が不足した影響もあると思いますが,成長速度を大きくしすぎたために株にかなり負担がかかっていたことも要因でないかと推測しています。

次に下図は2021年にズッキーニを栽培したときのものです。

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 前回の反省を踏まえて成長速度を大きくし過ぎないように株の状態を観察しながら調整してきました。しかし,7月中旬ころからは成長速度は低下してしまいました。こちらは図からも分かるように30℃近くの高温となった影響が大きいと推測しています。

 またこの時の収穫初期では温度は適温域に入りつつありますが,成長速度の増加が遅いです。早めに株を整えて,適温域に入る頃にはスムーズに果実を成長できるようにしておく必要があるなと思っています。

 以上の分析からズッキーニでは成長適温域の時期に株の状態のピークを合わせていくことが収穫量UPのポイントになります。そのために施肥のタイミングや葉欠きのタイミグを気象予報を見ながら調整していくことが必要です。

 ズッキーニはまだまだ希少性もあってか,販売単価が結構よいです。また1株から多数収穫可能なので土地生産性も高く,注目すべき品目のひとつです。


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