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果物はおしくらまんじゅうをしている

NHKおかあさんといっしょで最近流れていた、「くだものたろう」という歌をご存知でしょうか?娘も僕も好きな歌なんですが、知らない方のために歌詞のあらすじを紹介すると、桃から生まれたももたろう以外に、苺から生まれたいちごたろうだとか、パイナップルから生まれたパイナップルたろうが集まって、鬼退治には行かずにおしくらまんじゅうをする歌です。

ところで、実際に果物はおしくらまんじゅうしているのではなかろうかと思います。1回の食卓で考えてみると、野菜は料理に複数種類が入っていることが多いですが、果物は1種類を生でそのままというケースが多いのではないでしょうか。
つまり果物はおしくらまんじゅうをして食卓のシェア争いをしているのです。

それじゃあ、みんなどんな果物が好きなのだろうか?総務省が行っている家計調査のデータを使って見てみたいと思います。

家計調査では、各品目に対する1世帯あたりの購入量の都道府県庁所在地および政令指定都市別の値が分かります。餃子の消費量1位の座を争う都市間の競争が有名ですね。

果物については例えばこんな感じです。

どの品目も上位には有名な産地が入っています。産地であれば、数量はたくさんあって手に入りやすいですし、物流コストもあまりかからず価格もお手頃、さらに鮮度も良くおいしいでしょうからこのような結果になるのはよく分かります。

ということから、果物の好みには地域性があるであろうということが推測できます。ではそれにどんな特徴があるか明らかにしてみようと思います。

使うのは主成分分析です。これまでもビールを分類したり酒の種類を分類したりするにに使ってきたやり方で、たくさんある変数の情報をたった2つに集約、平面グラフに描けるようにします。グラフ化した後は主観で、あーでもないこーでもないと色んな想像ができる楽しい分析手法です。

早速結果を見てみましょう。

まずは右上。ここには「青森・秋田・盛岡・山形・福島」のザ・フルーツ東北勢と「長野・甲府」のこれまたザ・フルーツ甲信メロンの「水戸」、西日本の雄「岡山」が位置し、まさにフルーツ王国の様相を呈しています。

右下方向には、みかんの産地が集積したみかん共和国、そしてマンゴー、パッションフルーツ、南国の「宮崎」「那覇」があります。

左端には孤高のなし島「鳥取」があります。

また、上半分、下半分で区切ってみると見事に上が東日本、下が西日本で分かれます。主要な果物の産地が東日本に多いということも影響しているでしょうが、東西で果物の好みがはっきりと差があるということを示唆しています。

そして、上下方向の中央付近には都会が集まっているような感じです。都会には色々な地方出身の人が集まっているので、平均的なポジションになってくるということでしょうか。

次に各品目の関係はどうでしょうか。主成分得点という、集約された各品目の特徴示す数値で見てみます。近い位置にある品目同士ほど関係性が強いことを表しています。

りんごが好きな人は、ももぶどうも好きな傾向にあります。いちご・なし・すいかが以外と近いですね。なし・すいかはシャリシャリ感、いちごはつぶつぶ感で食感重視の人はこの辺りが好きなんでしょうか。バナナ・かきは熟すと結構似た感じになるのでは・・。

このようにいろいろと関係性を想像してみると楽しいのですが、みかんだけは他の品目との関係を拒むかのように孤立しています。なぜだろう・・。

実はこれを見て一つスッキリしたことがあります。それは「ファンタオレンジあまり売っていない問題」。ファンタオレンジはファンタがグレープに比べて売っている店が少ない気がずっとしていました。その理由はここにありました。
ぶどうりんごももメロンが好きな人からも好まれているのですが、みかんはみかん好きからの支持が大半な模様。よってグレープの方が売れ行きがいい、だからオレンジはあまり売っていない。
そういうことだったのです。ファンタオレンジの方が好きな僕は孤高の存在だったのか・・。誇りを持って生きていきたいと思います。
(図の左上に「オレンジ」があるのは内緒)

こんな風に果物を分類してみましたが、どの果物もおいしいことに間違いありません。冒頭で紹介したくだものたろうの歌、おしくらまんじゅうをした結果どうなるかと言えば、最後にはみんなが混ざってミックスジュースになるのです。食欲の秋、いろいろな果物をたくさん楽しみたいです。

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