「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2024年5月号)
短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。短歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。
今月は6首採用。
採用された歌(掲載順)
もともと詩も短歌も自分の中に蓄積がないので、おもしろい表現もできていないけれど、それでも、少しずつ、詩や短歌を摂取する毎日を続けていて、少し自分なりの表現を探すようになった気がする。自分だけが何かを感じる場面、自分以外にあまり経験する機会がないことは、これまで通り、大事に切り取りたいけれど、自分なりの言葉探しができるようになれば、もっと普通のことでも、詠めるのかもしれない。まだまだ先の長い話だと思う。
選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと
夢の中 亡き父がいて寝息立て眠る姿にホッとし、目覚め
パートナーと我が子の初の顔合わせ 針鼠二匹見ている心地
二人して新居で過ごす時間持つ 段ボールほどに存在示せず
共に居て初めて見えることばかり 常識 前提 ゴリゴリと噛む
元妻に心の中で吐く毒も五年目にしてやっと希釈す
10歳の息子と推しがかぶること こんな幸せなことはなかろう
投稿した歌
(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)
1/4木
夢の中 亡き父がいて寝息立て眠る姿にホッとし 目覚め
→夢の中 亡き父がいて寝息立て眠る姿にホッとし、目覚め
1/21日
四十九日に人は成仏するという 遺影もただの写真となれり
→四十九日に人は成仏するという 遺影もただの写真に変わる
1/15月
なじられて夜に歩いた知らぬ街 野犬に噛まれて死にたき私
→なじられて夜に歩いた知らぬ街 野犬に噛まれ死にたき私
1/27土
パートナーと我が子の初の顔合わせ 針鼠二匹見ている気持ち
→ パートナーと我が子の初の顔合わせ 針鼠二匹見ている心地
1/8月
二人して新居で過ごす時間持つ 段ボールより存在感なし
→二人して新居で過ごす時間持つ 段ボールほどに存在示せず
1/11木
共に居て初めて見えることばかり 常識 前提 ゴリゴリと噛む
1/5金
数日間かゆみに耐えた年明けに 腕搔きながら開院を待つ
→数日間痒みに耐えた年明けに 腕搔きながら開院を待つ
1/7日
元妻に心の中で吐く毒も五年目にしてやっと希釈す
1/14日
10歳の息子と推しがかぶること こんな幸せなことはなかろう
1/7日
電車内 鼻啜り文を打つあなた 今日その人とお別れですね
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