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販売シナリオとサービスメッセージを見直せるペルソナを作ろう

(以下、実際に遭遇したミーティングを脚色しています)

あるミーティングで「ペルソナ」と「販売シナリオ」がちぐはぐなケースを見つけた。開発中のあるサービスについてのミーティングで、私からペルソナについて、サービス開発者に根掘り葉掘り質問する場面があった。

サービス開発が得意なわけじゃないけど、おかしいな、と感じたことは言える。ライターが書いたものを他人がチェックするように、書いたものを指摘することは素人にもできる。そもそも好みの文章があるので、好みと合わなければ、元の文をいじってこっちのほうがいい、くらいは素人でも言える。ちゃんとした編集者や校正者は、記事や文章の目的を理解し、理由をちゃんとつけて指摘してくれる。

今回の私も、私がちゃんとしたペルソナを作れて、これはいい! というサービス販売シナリオを作れるわけではない。でも素人としてではなくマーケティング担当者としての責任の上で発言したつもりだ。で、冒頭のミーティングの場面になる。

※このnoteでは、一般的なペルソナの作り方は話しません。興味があれば「ペルソナの作り方」でググってくださいね。

十分じゃないペルソナ

ミーティングで見かけたのは、ペルソナを利用する際によくあるケースだ。ミーティングで見たペルソナは、実際にいるお客様を想像して、その属性を並べたものだった。具体的なお客様から想像するのがマズイわけじゃない。

ミーティングで見たペルソナは、実際にいるお客様の個人情報をちょっとボカシたプロフィールになっていた。履歴書の上部にあるような項目が並んでいると想像していただければいいだろう。

今回、ミーティングで私が根掘り葉掘り質問したのは、その人の歩んできたキャリアの部分だ。プロフィールだけでは読み取れない情報だ。その人の仕事のキャリアと、キャリアから得られたスキルに、利用するサービスを使う理由があるはずだったからだ。そこがペルソナからは読み取れなかった。BtoBであれば、所属部署、業務内容、会社内の組織の立ち位置、上司との関係、なんかを書くこともあると思うが、その辺も見えにくかった。

ペルソナを使って確認する販売シナリオ

もう一つ指摘したのは、販売シナリオだ。これが、誰にでも通用する一般的な販売シナリオがしか書いてなかった。

例えば、新規顧客の場合、あるキーワードの自然検索でサービスページに入ってきて、問い合わせページから問い合わせがあった、という具合。
(実際には、SEO対策をしないと自然検索から入っても来てくれないし、サービスページが合うものでなければ、問い合わせもしてくれないのは、ご存じの通り)

せっかくペルソナを作ったのだから、ちゃんとペルソナを活用したい。

ペルソナがしっかりしていれば、
・情報収集手段
(XX社のメルマガ、ソフトウェア開発の大規模イベントXXXには顔を出す)
・その人がサービスを決定する理由
(「生産性向上」というワードに弱い、上司に説明しやすい)
・部門の予算(2Qの予算が大きくてねらい目)
なんかが読み取れる、あるいは想像できるはずだ。

そのペルソナのAさんが、実際に取りうる行動を想像する。
特定のメールで情報収集しているのか、大規模イベントによく出かけているのか。その行動を理解して、イベント出展のほうが効果ありそうだなと、判断する。

すでに自社の別のサービスを利用してくれている既存のお客様で、直接リーフレットを渡すことができる、あるいは、直接メールを送れる相手だとしたら、どういうメッセージに反応しやすいかも想像できるはずだ。

反応しやすいワードがリーフレットのメッセージになる。

実在する人をペルソナのモデルにする場合

実在する人を基にしてペルソナを作った場合、ペルソナを書いた本人は、その人を想像できる。しかし、ペルソナのモデル本人を知らない人がペルソナを見て、普段の行動を想像できないのはまずい。その人がする行動や判断基準が見えるようになってないといけない。

そうしないと、あとにペルソナを作った担当者が参加していないミーティングで、勝手に販売シナリオやメッセージを変えられてしまうかもしれない。

履歴書のプロフィール情報だけでは、販売シナリオを考える時に私と同じように、この人はどんな人? と感じる人も出てきてしまう。

きっとペルソナを普段から活用している組織では、ペルソナのフォーマットがあるだろうけど「この人だからこのメッセージが響くんだよね」「メール配信よりもイベント出展のほうが効果的だよね」という手段を選びとれる情報がフォーマットに関係なく、ちゃんと書かれていないといけない。作ったペルソナは、ちゃんと活かしたい。

今回は、実在の人物をベースに作られたペルソナの話をしたが、事前に市場調査を行って、そのデータをもとにペルソナを作ることもあるだろう。しかし現実には、予算の都合でそういうデータが集められないこともあるし、サービスに類似のマーケットがはっきり特定できていないこともあるだろう。だから、実在する顧客になりそうな方をモデルにペルソナを作るのもありだと思う。

ペルソナを見直す

ペルソナをもとにサービスを考え、届けるメッセージや、販売シナリオを考えてリリースした後、そのペルソナが適切でなかったとわかったら、ペルソナを見直すことも頭に入れておきたい。ペルソナを変えれば、販売シナリオも当然変わる。

「XXのイベントになんか絶対来ない人だから、広告に力を入れよう」「同業の〇〇社の情報はよくチェックしているようだから、その会社のイベントに登壇させてもらおう」とか、ペルソナの行動や判断基準が変われば、伝えるメッセージや販売シナリオもその人に合ったものに変わる。ペルソナだけ書き換えればいいわけじゃない。当たり前だけど、ペルソナを基に作ったものは、ペルソナを変えたタイミングで見直さないと、ちぐはぐはユーザー像ができる。プロジェクトやチームの混乱のもとになる。

ペルソナが変わったことで、販売価格の見直しもしないといけないかもしれない。価格のように簡単に変えれないものがあることも最初に認識しておきましょう。
(販売価格は見積もりにして、サービスページに詳細を見せなくて済むなら、あとで変更しやすいかもしれません。サービスメニューの詳細もそう)

ペルソナを作る・活用するには

・ペルソナには、ペルソナがサービスを選択する理由や行動が想像できる内容が書くこと
・販売シナリオやメッセージを考える時、ペルソナならどう反応するかを考えること
(一般論に留めず、ペルソナを活かす)
・ペルソナは定期的に見直すこと。販売シナリオも合わせて見直すこと。
(販売シナリオが思った通りに効果を示さない、お客様の要望が作ったはずが、リリースしても反応がないなら見直す)
・ペルソナを見直す時は、ちゃんと見直す理由を理解して反映させること
(どんな人が使うかを考えて、その人の特徴や特徴づける性格を反映させる)


適切なペルソナを作って、使って、いいサービスを作りましょう!

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