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先行く人を仰ぎ見て、心折れそうな処暑の頃

「この人たちと仕事で会うことあんのかな?」
と思うことが最近、多かった。

若い頃は何の根拠もなく、自分には能力があって、うまく経験さえ詰めれば、成功者になれるものと思っていた。結構大きな失敗をした後も、根拠のない自信はどこかに残っていた。

自分がいる場所で頑張っていれば、勝手に偉くなると思っていた。実際には、偉くなるどころか、成功らしい成功もしなかった。

仕事には向き不向きがあること、
自分の努力の方向が違ってたこと、
それらを差っ引いても、やっぱり自分には才能がなかったこと

そんなことがだんだんとわかってきた。

40歳代に突入した後にようやく、他人に何と言われても続けるし、逆に誰かに「やれ」と言われなくてもやってしまうことが目の前にあった。

大したことは書けなくても、書くことがやめられないし、雑な情報ではあることが多いけれど、情報を集めて、時に整理して、人に渡すようなことはしてしまう。仕事で嫌々やる人がいるそうしたことを、つらくなくできるので、そこを評価してもらえるとすごくありがたいことに気づいた。自分で記事を書くこと、記事を書くことをサポートすること、サービスを届けたい人を手伝うマーケティングの仕事も楽しくなってきた。

楽しいだけの毎日を過ごしていたが、水を差されるような記事を立て続けに読んでしまった。

ずいぶん先を行っている、背中が見えない人たちのインタビューや対談を続けて見た。で、冒頭の
「この人たちと仕事で会うことあんのかな?」
である。

『サンクチュアリ -聖域-』の監督 江口カンさんと、糸井重里さんの対談

ライターの古賀史健さんの新作著書に関するインタビュー
(編集者の谷さんも)

最近露出の多い、マンガ編集者の林士平さんの記事

林士平さんと俳優の菅田将暉さんが出演されたNHK『スイッチインタビュー』も見た。役者としての菅田将暉さんの思考と実践も、自分にはできないことができている事実が刺さりすぎて、ダメージを負っているところ。

ここまで考えて、作りこんでるの??

この人たちには全然、届かないし、先を行く人たちが今でもずっと工夫を重ねていて、いいものを届けようとしている時に、俺は何をしてんだ…。

「書く」ことの周辺に、いくらでも時間をかけていいと思っていたけれど、努力の方向性も正していかないと、いつまで経っても、この人たちと同じ土俵に上がれないぞ、これ。もちろん、自分にとっての正解がわからないので、時々、立ち止まって、歩こうとしている方向や、歩いてきた道をふりかえって、よさそうな方向に向かう精度を少しでも上げていくくらいしかできないけれど…。

そもそも、私には、おもしろくするための工夫、粘りが全然足りない。淡泊すぎるのだ。

でも、きっとその前に、試行と思考の数が全然足りてない。試行回数が少ないせいで、工夫の仕方がわかっていないことも多い。古賀さんや林さんがしてきた締め切りに追われて質を選べない状況になることも、今の仕事では、ほとんど経験していない。

40歳代に入って自分ができそうなことが見つかって、ちょっと歩き出してはじめて、先を行く人との距離が果てしないことがわかってきた。今のままじゃ、きっとここにいる人たちには仕事を通じて出会うことはないだろう。

そうはいっても、ようやく自分ができそうなことが見つかったことには変わりない。その幸運を活かすために、少しでも数を重ねて、そして、重ねつつ、いいものにするために粘る経験を続けていくしかない。

評判のコンテンツ、しかもこれまでにない作品を制作された江口カンさんとのインタビューをしている糸井さんを見て、つい、羨ましくなってツイート(ポスト)してしまった。

それに糸井さんが反応を返してくれた。

で、さらに今の正直な気持ちを返した。

いつか、一度でいい。ここにいる方々と仕事でお会いしたいものだ。
自分なりの工夫をしながら、工夫を重ねるために日々、粘りながら。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。