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「ブルーピリオド」に短歌の刺激をもらう

5月23日『ブルーピリオド』の12巻が出た。

今回も、刺激を受けた。

『ブルーピリオド』は、高校生の矢口八虎(やぐち やとら)が、忘れ物を取りにいった美術室で、ある絵を見て、絵に関心が生まれるところから始まる。

第1巻の内容紹介: 成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語

ブルーピリオド 山口つばさ  1話 | Amazon

もう12巻なので、スポ根受験編は終了してるけど、スポ根要素はあるし、うんちくもある。参考にもなる。それ以上に何かを作りたい人間にとって、刺激を受ける漫画だ。私は、絵を描くわけではないが、絵と同様に、才能がないと作れなさそうな短歌を詠んでいる。

気になるからやってみる

『ブルーピリオド』には、絵や芸術に取り組む才能がたくさん登場する。
登場人物たちを見ると、才能はもちろん、濃密に取り組んだ時間、いい作品にするために考えた時間を持つ人には一生届かないんじゃないかという気がしてしまう。読むと刺激を受けるとともに、突き放された感じもする。

でも1巻で、藝大を目指す前の八虎は
「時間の無駄だって」
そう思いつつ、窓の外に見える風景を描いてしまう。

そう、そこから始めてもいいんじゃないか。
と勇気づけられもする。

今、短歌という形式が気になってる。始めてみて、あぁ、こんな歌が詠めたら、と思う人が世の中にたくさんいることがわかった。でも、気になってる、続けたい、でも俺なんかが… といつも同じ考えがループしてしまうが、気になっている、だから触れたい、それだけでもいいのかもしれない。

過去から技法を学ぶ

デッサンを始めた八虎は、美術部の佐伯先生からいろんな基本的な技法を学びながら、それを試していく。

絵を描く人って
いろんなこと
考えてんだ
 
自分が描く前は
絵を描くことって
選ばれた人間だけが
使える魔法みたいなもんだと
勝手に思ってた

ブルーピリオド(1)講談社

そう、短歌を詠み出してから気づいたことだが、視点も、言葉の選び方も、単にセンスだけじゃない。もちろん、センスもあるし、その人のセンスは、これまで読んできた本、見た映画、に影響を受けている。一朝一夕で身に着くものではない。でも、決して「短歌」の才能だけはない。過去の歌に学び、そこから生まれた視点を借りて、表現を似せて、自分になじむように言葉を使っていく。

もっと人の短歌にたくさん触れよう。技法を学んでみよう。

自分の「好き」を確認しよう。

で、その後はどうすればいい?

予備校に通い出した八虎は、そこで出会った大葉先生に、最初の面接で、藝大は厳しいと言われてしまう。毎日のデッサンの先に、自分の絵作りができるような道筋をつけるため、大事なことを最初に教えてくれる。

まずは
"自分が何を
好きか知ること"
 
そこから始めましょ
 
美術館に行く
画集を見る
 
絵・立体・写真・
映像・漫画・文章
なんでもいいから
自分がピンときた
ものをファイリング
してみるの
 
もちろん
作品は
作りながらね

ブルーピリオド(2)講談社

自分が好きなことを確認してみよう。
そして、大場先生が言うように「作品は作りながら」。
今日も、少しずつ試行錯誤してみよう。

(『ブルーピリオド』を短歌に活かす会 会員)

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