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『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』早口60秒レビュー(一般向け/ゴジラファン向け)※ネタバレ無し

11月4日(日)、公開日の翌日、息子と二人で『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』を鑑賞してきたので、おすすめレビューを書いておきます。ネタバレなしです(たぶん)。

さらにもう一度、二度、見に行くことがあれば、解釈的な部分や、素晴らしかった部分をネタバレありで書きたいと思います。

レビューは、ゴジラ映画をあまり見たことがない「一般の方向け」と「ゴジラファン向け」の2つ書きました。ファン向けのほうが類推させてしまうので下手なこと言えないですね。

新宿東宝ゴジラビルを見上げて

早口60秒レビュー(一般向け)

物語は、終戦間際の1945年に始まります。

オリジナルである初代『ゴジラ』は1954年ですから、それよりもさらに前の時代設定ですね。1954年は、戦争が終わって10年経っていません。しかし、復興を進めつつ、映画も作れるようになった。痛みを忘れて邁進しはじめた日本人に対して、抗えない脅威、核の恐ろしさを強く思い出させる映画だったのではないかと思います。

『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』は、まだ復興に着手したばかり。怒りも、絶望も、負の感情が体の中にしっかりとある時代です。

そんな時代にゴジラが登場します。

しかしアメリカ軍に軍事施設も兵器も接収され、人々は疲弊して、何もできません。制約しかない時代。何もかも諦めてしまっても仕方がない。

しかし「生きて、抗え。」と映画のキャッチコピーは言います。

『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』ポスター

そう登場人物には抗う理由があるんです。

文学的で重層的な人間ドラマというわけではありませんが、直感に訴え、怒り、諦め、戸惑い、高揚、憎悪を登場人物とともに感じられます。

私の右隣りに座った10歳の息子がじっくり見れて、時々嗚咽の声をおさえる場面もありつつ、そして怪獣の凄さを楽しめる、なんとも贅沢な映画です。

左隣の中年男性は声を抑えきれずに泣いていたので、子どもにだけ響く映画ではないでしょう。

ゴジラの造型もいいです。着ぐるみ然としたゴジラではなく巨大不明生物への怖れを感じさせる造形で、その動きも破壊力も抜群です。

それもそのはず。

山崎貴監督は、2021年、西武園ゆうえんちで、体感型ライドアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」の映像監督として、どう見せれば、ゴジラで見る人に恐怖を体感できるかを考えて、すでに実践済だったからです。

シミュレーションが発達した今、実際にゴジラほどの重量が動けば、どんなことが起きるか、どのくらい衝撃があるかを想定した映像になっています。

想像と創造の技術が膨らんだ現在であっても、通用するゴジラ70周年記念作品です。

早口60秒レビュー(ゴジラファン向け)

初代ゴジラをリスペクトしつつ、ファンも納得できるゴジラ映画です。

ゴジラはちゃんと畏敬の存在としてスクリーンに登場します。
過去の設定、解釈もとても大事にされてました。

ここまで既存の設定をおさえて大事なシーンをオマージュできて、なおかつ新しいゴジラってすごいです。

音楽の使いどころも、シーンのオマージュも見事です。

ゴジラ好きにとっては、ただただテンションが上がる音楽になってしまった伊福部昭さんの音楽をちゃんと未知の脅威を感じるシーンで使っていました。伊福部さんの音楽までも蘇らせてくれたと思います。

造形も見事です。西武園ゆうえんちの「ゴジラ・ザ・ライド」をベースに作られています。神としてのゴジラ、巨大生物としてのゴジラ、その両方を大事にして、しかもかっこいいゴジラと言えるんじゃないでしょうか? ゴジラの熱線、破壊力も抜群です。

ドラマ部分も大変わかりやすかった。短い時間で、ゴジラを恐れ、ゴジラに対して怒り、脅威に対して戸惑うことができる充分なドラマになってたんじゃないでしょうか。

監督は「シン・ゴジラ」を見たあと、「次に(監督)やる人は大変ですね」とコメントしています。まさか自分が次に監督するなんて思わずに。

70周年、30作品目という記念作品として、ファンにも誇れるゴジラ映画になっていたと思います。

スクリーン前
ゴジラ70周年記念ロゴ

※公開前の予告動画


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