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「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2023年3月)

短歌の会報誌に毎月短歌を投稿している。
10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。
歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。

今月は、6首採用

その他、「1月号の永田和宏選歌欄評」というページに以下の2首が紹介されていました。

離婚して微妙な気持ちになった姓 それは息子の姓でもあって
たった一言、子を遠ざけろという言葉で大好きだった叔母遠ざける

やっぱり、変わったもの、奇をてらったシチュエーションより、誰かとの関係性を詠んだものが目に留まりやすいらしい。

採用された歌(掲載順)

香典の相場をネットで調べた後 お世話になった分 少し足す
偲ぶ会の前に一杯ひっかけて赤い顔して献花台前
顔認証は目鼻の位置で見極める 赤い顔でもロックは解除
仕事中の冴えた頭と歌心 かみ合わないから今日も詠めない
夕方に仕事を終えた知らぬ街で 海を見ながら頬張る肉じゃが
罪悪感を糧に人生に励みつつ まっとうに生きたいと願う零時に

選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと

自分のことだけ詠んだものより、誰かとの関係性や誰かのために行動した行為を詠んだ歌が取られやすい。あとは、自分のダメな部分を(私はダメとは思ってなくて、一つの状況として切り取っただけのつもり)詠んだものもたまに取られる。自分の心の中で「あ、これいいな」と思ったことはだいたい他の人も思ったこと。それをおもしろくする表現力がないのであれば、自分自身がおもしろそうな場所、何かが起きる場所に出かけないといけない。インドア派で内向的なんだけど、表現できないなら、出会う場所に出向かないと。

投稿した歌

(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)

11/16水
香典の相場をネットで調べた後 お世話になった分を足すか悩む
香典の相場をネットで調べた後 お世話になった分 少し足す
11/2水
偲ぶ会の前に一杯ひっかけて赤い顔して献花台前
11/30水
顔認証は目鼻の配置で判断する 赤い顔でもロックは解除
顔認証は目鼻の位置で見極める 赤い顔でもロックは解除
11/8火
写真家や歌人は見上げる人をとる 私は一緒に天を見上げる
→写真家や歌人は見上げる人を撮る 私は一緒に空を見上げる
11/26土
仕事中の冴えた頭と歌心 かみ合わないから今日も詠めない
11/28月
夕方に仕事を終えた知らぬ街で 海を見ながら食べる肉じゃが
夕方に仕事を終えた知らぬ街で 海を見ながら頬張る肉じゃが
11/21月
昔の肌を知った人から「友達になりませんか?」のLINE→非表示
→昔に肌を触れた人から「友達になりませんか?」のLINE→非表示
11/25金
罪悪感を糧に人生に励みつつ まっとうに生きたいと願う0時に
罪悪感を糧に人生に励みつつ まっとうに生きたいと願う零時に
11/30水
スポーツに道徳心まで求めてる時代に悪魔がいてもいいかも
→スポーツに道徳心まで求めてる今の時代に悪魔はいない
11/24木
いつの間に長く伸びたる足の爪 一切りで仕留め、達成感あり
→いつの間に長く伸びたる足の爪 一切りで仕留め今達成感

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