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今期は事例記事をたくさん作りたいけど、そう簡単でもないのよね

今年は、事例をなるべく多く出したい。
もちろん、周りからの要望もあるんだけど、いろんな理由で、仕事で書く事例記事をたくさん出したいと思っている。ここでは細かい理由については触れない。

たくさん出そうと思って事例記事を制作したことがないため、どのくらいの本数を出せるかわからない。一人で頑張ってみたところで、たくさん公開できるわけではない。製品・サービスのオーナー、利用いただくお客様がいて成立するものだし、知ってもらいたい製品・サービスはあるが、実際に事例にしたい案件がちょうど転がっているわけではない。まずそういうお客様を探したり、案件を育てたりする必要もある。

記事作成から公開で時間がかかるポイント

お客様に事例記事を作成させてほしいとお願いして、制作を開始しても、公開されるまでの時間はまちまちだ。両社の合意が最初からあって、お互いの目標が3週間先であれば、3週間で公開することも可能かもしれないが、なかなか思い通りにはいかない。最大で3ケ月程度かかることもある。

実際の事例記事作成の流れはこんな感じ。

・お客様へ事例として取り上げたい旨のお願い(書面のやりとり)
・事前インタビュー準備(事前にインタビュー質問事項送付)
・事前インタビュー
・インタビュー準備(事前にインタビュー質問事項送付)
・インタビュー
・執筆
・写真加工
・社内関係者レビュー & 校正
・社内広報確認
・相手先企業確認(担当部署、広報)
・入稿
・公開
(社内、相手先企業確認は、順番が前後することもある)

記事公開までの時間がぶれる原因の一つに、事前インタビュー、インタビューの日程調整がある。当日のインタビューには、できれば、発言に説得力があるような上の立場の方にもいてほしい場合があるが、立場が上の方ほど、空き予定をおさえることが難しくなる。

次に、ぶれやすいものとして、関係者のチェックがある。特にお客様が、大きい組織で、記事のチェックに広報や関係部門が関わる場合、相手先企業の記事の確認に時間がかかることもある。自社の場合も、広報部門がいつも時間に余裕があるわけではない。繫忙期にお願いすれば、細かな確認だけであっても、時間がかかることもある。事例記事は、ニュース性が高い記事とは違うので、急ぎでアップしてほしい! なんてお願いもしたくない。そんなお願いばかりしていては、本当に急ぎの記事の公開の時に、お願いが通じなくなってしまう。

記事で書きたいこと、書いてほしいと言われること

そもそも事例記事自体は、そんなに多くの人に見られるコンテンツではない。

なので、書くのであれば、相手先企業を喜ばせる、相手先企業との今後のコミュニケーションにつながるインタビューを重視したいというのが、最近考えている事例記事の第一義だ。

極端な言い方をすれば、解決したい課題を見つけた担当者、製品・サービスを採用いただいた部門を「すごい!」「えらい!」と持ち上げたい。もちろん持ち上げるためには、解決したい課題や製品・サービスの導入の苦労が現実のものであって、実感が伴っているものがいい。これから採用したいと考える企業の担当者の方が読んだ時に刺さるものになると思う。

しかし、実際には、製品・サービスを紹介する事例記事なので、製品・サービスのオーナーから、「この特長は記載してほしい」という要望も出てくるし、相手先企業からも、「うちの記事を出すのであれば、会社の紹介として、〇〇は書いてほしい」「こういったことは書かないでほしい」が出てくる。

もちろん、サービスのオーナーには、そのくらいは製品・サービスで大事にしたいポイントをはっきり持っていてほしいし、相手先企業も、何かしらメリットを示せないと、時間を取って協力はしにくいのは理解できる。

でも、「書いてほしいと言われた製品の特長」が「利用する動機」になっていて、それが「相手先企業の文化や長期の目標と合致」するなんてことはまずない。事例記事なので、紹介する基本的な流れがあるが、そこにハマらないけど、入れ込んでほしい情報があった場合にどうするか? を考える必要が出てくる。

事例記事の流れは、こんな感じ

・お客様企業・組織の紹介
・お客様の業種の状況
・お客様企業・組織の当時の課題
・製品を見つけたきっかけ
・製品・サービスの採用理由
 ・競合との差異
・導入の苦労
・効果(定量的な判断ができればよりいい)
・お客様組織の将来

だいたいこんな記事構成になる。製品・サービスを導入するしかない状況しかなければ、きっかけや導入の苦労あたりが割愛されることもある。こんな流れのまんまの情報がインタビューで聞けるわけではない。

・課題はあったが、それが企業の目標とは無関係かもしれない。
・製品・サービスを知ったきっかけはただの偶然で、メルマガだったかもしれない(それではおもしろくない)。
・競合との比較をしなかったかもしれない。
・競合との比較優位も価格しかないかもしれない(ほんとは製品の魅力、競合との差異別化された特徴が理由を書きたい)
・定量的な評価はないかもしれない(結構無いことは多い)


そもそも、競合より魅力的で、競合製品・サービスより優位に立っていて、いろんな会社の文化にマッチして、お客様の組織の課題を解決して、組織の目標が達成できるような製品・サービスなら、事例なんか書く必要がない。

誰にとっても都合がいい事例記事は存在しない

お客様企業、製品・サービスオーナー、書く側が、ちょうど都合いい事例なんてそうそうない。さらに、営業の売り方の思惑も入れば、余計にややこしくなる(でも、場合によっては、取り入れたい意見もある)。

お客様も自社も、広報がいて、記事は自社の価値を高める内容にしたい。悪く書くことはないのだけれど、もっと化粧してほしいという気持ちが出てくるのもしょうがない。

全員が都合がいい事例記事なんて、ほとんどないんだよ、を前提に、「お客様との今後の良好なコミュニケーションの手段」として、その窓口構築のために、事例を制作したい。お客様の組織、担当者を褒めた結果、製品・サービスを補完するコンテンツの拡充もできる。

お客様の関係をよくして、課題を掘り下げる前提で、インタビューをする。インタビューで、おもしろい効果、おもしろいエピソードが聞けるといいが、インタビューにも記事に直結する難しさがある。

インタビューも難しい

インタビューで、聞けるかどうかわからないので、ストーリーを最初にある程度、作ってインタビューに臨むやり方がある。

Aという課題がありますよね? →「はい」
Bの効果ありましたよね? →「はい」

で、記事を制作する。
(企業○○は、こんな企業だ。課題Aがあって困っていた。製品・サービス〇〇を導入した。結果、Bという効果が得られた。めでたしめでたし)

去年からインタビューさせていただいた方は、仕事でもコミュニティでも、いい方ばかりだったので、正直に話してくださる方ばかりでよかったが、そんないい方ばかりではない。いい方だとしても、おもしろいエピソードがたった一回で聴けないことはある。聞き方に問題があるだけでなく、これまでのお客様との関係性も影響する。だいたい、お客様からインタビューする機会は、事前インタビュー含めて、たった2回だ。立場が上の方にご参加いただく場合、その方は、本番一回だけの可能性もある。

実際のエピソードをお客様の口から聞くことができれば、絶対に、何かしら特徴的な話はあるはずだが、それが聞ける保証はない。だから毎回、インタビューはかなり緊張する。緊張が伝わっても、おもしろい話が聞けないかもしれない。

特徴的な話、おもしろい話が聞けたとして、それが記事にできる話でないこともある。本当に致命的な問題で、公にすることを憚られる場合もあるし、個人的におもしろくても、製品・サービスに何も関係がないかもしれない。

記事に使えるおもしろい話が聞けた場合も、インタビューがさらに緊張感が増す。そのおもしろエピソードを活かすためには、なぜその事象が起きたのか? 誰が関わったのか? その後の展開といった前後関係、因果関係をその場で聞き取らなくてはいけない。記事の中で展開が飛躍してしまうからだ。あらためて頭の中で記事を構成しなおしながら、話を聞くことになる。その場で、漏れなく聞けているかどうか、インタビューが終わって、インタビュー内容を聞き直すまでわからない。聞けていたことがわかった日の酒は最高にうまい。

他にも、インタビューに参加いただいた方がいれば、特別な事情がない限りは、事例記事の中に登場してほしい。それぞれの方の話されて記事にできる取れ高があるか、語ってほしい人が必要なことを語ってくれているか確認しながら進めなければいけない。

例えば、偉い方が気持ちよくしゃべってしまう場合がある。いい点としては、組織の問題や方向性と合致した話が聞けること。よくない点は、上の方がたくさん話してしまうと現場の方は話しにくくなることだ。現場の話が聞けないかもしれない。現場を含めて細部にわたってご存じのこともあるが、どんなに偉い方が話をしてくれても、現場の話として書きたいことは、再度、同じ話を現場の方に再確認しなくてはいけない。記事にする上で、合意があれば、記事上の発言者を入れ替えたり、言い方を変えてもいいのだけれど、できれば、現場と記事の間で、齟齬を作りたくない。

複数回のインタビューが可能であれば、無理に取れ高を気にしなくてもいいし、無理にストーリーを作っていく必要はないが、製品・サービスの事例記事に関しては、そこまで、関係者に負担をかけにくい。

最低限、記事になりそうなストーリーを考えておいて、その周りを掘り下げる質問を考えて準備しておく。製品・サービスの採用理由、組織など、他であまり見られない特徴があれば、特に重点的に確認しておいてインタビューに臨みたいところだ。

今、事例記事で考えること

いろんな難しさはあることはわかっていただけたと思う。それを踏まえた上で、今期は、こんなことを日々考えて、策を実行して、都度見直していく必要がある。

・事例記事になる案件を早く見つけるには?
・事例記事にしやすい案件の特徴は?
・記事を公開するまでの時間をどうやって短くするのか?
・並行できる作業はどれとどれか?
・どうやって執筆にかかる時間を短くするのか?
・聞き洩らしのないインタビューをする方法は?
・おもしろい発言を引き出す準備、動作、ネタは?
・おもしろい事例記事ってなんだろう?
など。

今年は、たくさんの記事を公開したい。できれば、おもしろい事例記事を書きたい。考えることが山ほどあるけど、今期がすごく楽しみだ。事例記事の神様、どうか今期、いい事例時期が少しでも多く書けますように。

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