「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌（2024年3月号）

短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。

今月は6首採用。

採用された歌（掲載順）

自分より慌てる人を前にして　急に心が静まってくる
心理職だって泣きつく先がいる泣きつかれた我の泣きつく先は
数十年付き合ってくれた歯を抜いて血の匂いしばらく味わっている
買い物カゴに栄養ドリンクを一つ入れ　体に聞いてもう一つ入れ
カッコウは肉食という　好むのはケムシだという　あれは肉かよ
生物の原始機能と知りながら寝ない方法知りたき師走

選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと

平日毎日、詩を一つ摂取するようになって、ほぼ一年経つ。まだこの号の投稿をした三か月前、というか、先月くらいまで、「詠めないなぁ…」と思う日が続いていたけれど、ごく最近、言葉を選ぶ楽しさが戻ってきた。あとは写真に興味が出だしたこともあって（まだカメラで撮るまではいってない）、瞬間を切り取る意識が以前より高まっているかもしれない。三か月後の6月号では、少しは手ごたえのあった歌が選ばれるといいなぁ。

カッコウの歌は選ばれてよかった。でも、この一字空けが正しかったかはわからない。

クリエイティブになるための読書｜のーどみたかひろ｜note

投稿した歌

（投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの）

11/30木
自分より慌てる人を前にして　急に心に余裕ができる
→自分より慌てる人を前にして　急に心が静まってくる

11/1水
心理職だって泣きつく先がいる泣きつかれた我の泣きつく先は？
→心理職だって泣きつく先がいる泣きつかれた我の泣きつく先は

11/8水
在宅勤務（ざいたく）は家事をしたって時間経つ　家事を終えたら仕事した気に

11/12日
旅先もゲーム機をずっと離さない　彼の福岡はゲーム機の中
→帰省中もゲーム機をずっと離さない　旅の景色はゲーム機の中

11/27月
数十年付き合ってくれた歯を抜いて血の匂いする口腔を味わう
→数十年付き合ってくれた歯を抜いて血の匂いしばらく味わっている

11/25土
白い息が消えた先から異世界につながっていた中二の頃は

11/16木
買い物カゴに栄養ドリンクを一つ入れ、体に聞いてもう一つ入れ
→買い物カゴに栄養ドリンクを一つ入れ　体に聞いてもう一つ入れ

11/30木
一人暮らしの洗濯機ない四年間　夜の吾妻橋を人より知ってる
→一人暮らしの洗濯機のない四年間　夜の吾妻橋を誰より知ってる

11/29水
カッコウは肉食という　好むのはケムシだという　あれは肉かよ

11/28火
生物の原始機能と知りながら寝ない方法知りたき師走