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新たなコミュニケーションの風景で感じた非言語要素の情報化

コロナ禍以降、いろんな場所で何度も話題されたであろうことだが、昨日も耳にした話題について書いておきたい。

「打ち合わせは対面がいい」という話題だ。もちろん、顔を見て話すほうがいい。私もそう思う。

今日は、営業がお客様と話す場面について考えたい。

打ち合わせは対面がよいか

例えば、対面のミーティングで、
「そうなんですよ」
と言われた時、字面からだと、ただの同意になるが、

 (まいったな…)という困った顔の時もあるし、
 相手がニヤリと口角を上げていることもある。

まいったな、という時には、もっといい提案を求められているし、ニヤリとされた時には、(お、いいところに気づいたね)ということになる。

対面のほうが、確かに入ってくる情報は多い。けれども、それは議事録にも、会話のメモにも残らないことが多い。

対面より、移動がいらないこと、会議室の予約、スケジュール調整が圧倒的に楽なので、オンライン会議を好む人も増えただろうが、オンライン会議でも同じことは起きる。

テキストよりは感情がつかみやすいが、オンラインだと、細かい表情が見えないこともあるし、カメラをオフにして場合もあるので、声の調子だけでは気づきにくいこともある。

オンラインのミーティングであっても、顧客情報を管理するCRMのメモに、
「会議では、了承いただいたけれど、心底は納得していない様子でした」
と、お客様の様子や会議の雰囲気まで書かれていることは少ない。その場に居合わせた人でも、3ケ月も経てば、その場の雰囲気やお客様の表情は頭に残ってはいないだろう。

「同意だけど不満」「正に同意!」というニュアンスを受け取っても、対面でも、オンライン会議でも、残らないことが多い。顔の表情、声の調子を言語化していないからだ。

情報の質としては、テキストチャットのほうがいいことがある。
「OKですが、うーん…」とSlackやTeamsに書いてあれば、非公式でも、CRMなどに会話の様子をコピペして、「うーん…、」の部分まで残しておける。

最近、チャットツールでのコミュニケーションが増えたおかげで、以前より、ニュアンスまで残しておくことを覚えた。

対面のほうがより情報は多いが、それをどう活かすかは、現在は、人に任されている。

現場の声が一番

もう一つ、これは、ずっと言われてきた主張であるが、「現場で聞く情報が一番だ」という主張も昨日、ミーティングの中で聞いた。

私は、20歳代の時、お客様の職場に常駐して、システム開発をしていた。
システムを利用する人の隣で、業務に対する不満、システムに対する文句や要望を、口の端からこぼれる言葉を常に聞いていた。現場一番という主張はよくわかる。

でも、私の場合は、私にコミュニケーション能力があって、それを聞き取れていたわけではない。常駐して、顔を合わせて、同じ島で仕事をしていたから、聞けたのだ。

現場の声が大事、だけど、普通は、それを聞き取るためのスキルが必要になる。できるコンサルや営業は、そういうことをこれまでもしてきただろう。

現場が一番といいつつ、関係者に直接聞けないことも多い。製造業では、システムの利用者は工場の現場担当者だが、聞き取りは、本社のシステム部門の人を介して行うこともある。目の前にいない、適切な担当者から聞き取るための方法を考えないといけない。
(システムの在り方として、そもそもシステムのインタビューを利用者に聞くのが適切かどうかは、ここではおいといて)

適切な担当者を聞き取りの場に連れてきてもって、直接インタビューできる機会なんてほとんどないだろう。

担当者に質問内容を届けてもらえる場合であっても、誰でも間違いない回答をくれる質問を考えて渡してもらわないといけない。本来、会話の中の質問は、相手の答えによって、次の質問の仕方を変えていくものだ。だから、用意する質問は、回答内容が重複することもおそれず、正しいことを聞く質問群を設計する力がいる。

ChatGPTでは、何でもいい感じで回答をくれるので、ずいぶんと楽だが、人間が相手の時には、そこまでスムーズにいかない。さらに、直接会えない場合は、聞き取りがぐっと難しくなる。どんな質問群を用意しても、途中の回答から質問内容を変えるしかない場合、質問用紙からでは、現場担当者から、聞き取りができる可能性がゼロという可能性だってある。

仮に、直接担当者にインタビューできたとしても、それを聞き取る能力を誰でも持っている能力じゃない。

相手の状況を把握して、相手の仕事の内容を把握して、相手の反応を見つつ、困っていることを探り、本人も意識できていない真の課題にたどりつけるか? ナメック星の最長老のように、頭に手を乗せるだけで把握できるならいいが、普通は一回のインタビューでは、すべてを聞き取ることは無理だろう。

だから、直接聞ける場合であっても、会話のスキルを補うために、業界情報、顧客情報を前もって知っておく必要がある。

ホームページに出ている以上の仕事の内容、会社の戦略を教えていただくには、その前には、それを教えてもらうための関係性構築があるはずだ。

コミュニケーションと扱う情報の価値

最近、チャットツールが普及したおかげで、記録内容の精度を上げる方法にも気づくことができたし、ChatGPTと会話をしているので、現実の人間相手との会話の難しさ、事前準備の大切さに気付くことができた。

人間が、そんなことを学んだり、時間をかけて気づいているうちに、どんどん技術が進んでいって、そんな学びを帳消しにするかもしれない。でも、そんなことに気づいて、40歳代後半に入っても、仕事の質を見直すことができるのはありがたいし、楽しいことでもある。

数年後には、ミーティングが終わった際に、会議中の表情や声のトーンから、感情グラフ付きで立場の違う人ごと(お客様、営業部門長、営業担当者)に、会議メモを作ってくれるようになるかもしれないが、今は、どんな情報をどういう形で残すかは、こちら次第。日々の気づきを毎日の仕事の仕組みに落としていこう。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。