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今月もひとり歌会(2024年7月)

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ず、詠んだ歌を見ながら一人、仕事や生活をふりかえる。

近況

足立区では花火が中止になったが、隅田川の花火は無事開催されたこと、1954年のゴジラを息子と見たこと、季節のイベント、めずらしい体験もあったけれど、2024年の7月は、11歳の息子と富士山に登ったことが私の人生でも最大級のイベントになった。あれほど苦痛を体に刻んだにも関わらず、歌は詠めず。富士登山以外の時期も、生活を三十一音に整えることさえままならなかった。

今月の歌(34首)

7/1月
夏越の大祓一つ区切りとし ここ半年の手帳を捲る

7/2火
貧しくも人生を豊かにする行為 金のかからぬ歌を詠むこと

7/3水
友人と好きなページを繰った後、知識を混ぜる 読書会は豊

7/4木
転生後に望むスキルはないけれど詩心だけ少しください

7/5金
「災害」を打ちこそなって「妻帯」に 欲しいぞ「妻帯対応マニュアル」
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑥)

7/6土
脳天に太陽刺さる 笑い洩る 気の狂う一歩手前の暑さ
→脳天に太陽刺さり笑い洩る 気の狂う一歩手前の暑さ
(「塔」短歌会8/20締切投稿①)

7/7日
日本に初めて現れた「KAIJU」を息子と見上げるTOHO日比谷

7/8月
顔一つ見たくない妻 壁一つ隔てて暮らす 墨田区の端

7/9火
推しだって時間が経てば老けるもの 見た目の魅力の大きさを知る

7/10水
身勝手な主張だったかも そうであれ 譲れぬものが俺じゃないのか?

7/11木
妻よりも元の妻とのやりとりが多い日に少しモヤモヤとして
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑧)

7/12金
会話ない一週間のリビングにも 隣に積まれる洗濯物は

7/13土
人のいない雨の予感の満ち満ちた山道をゆく子と二人連れ

7/14日
妻のいぬ家に帰ってホッとする安らぎは妻以外に宿る

7/15月
自分らの夫婦の形を探る日々 籍入れ三月 暗闇の中

7/16火
肌に触れたい思いを伝え手を伸ばし 叩(はた)かれるまでのルーティンが嫌

7/17水
DMは私を褒める文章ではじまりすぐに買わせたい欲

7/18木
外に出て買いに行けない暑さだからテクノロジーは発展したか
→近所まで買いに行けぬほど暑いからショッピングアプリの進歩は続く
(「塔」短歌会8/20締切投稿③)

7/19金
妻のいぬ時間を幸せと感じてる 妻もそうかも 同じ家に住む

7/20土
夫婦との語らうときに緊張は強い 厳しい客より強い

7/21日
旅の前、日常のタスク消していく 険しき山に心を作る

7/22月
控えめな彼女のためにセックスの隠語を捻る歌人のつとめ
→控えめな彼女のためにセックスの隠語を捻る 歌人のつとめ
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑤)

7/23火
旅の日の朝に荷を解き整理する 収まるごとに心も整う
麓の社に流れる水の冷たさは優しさなのか 厳しさなのか

7/24水
富士山は達成感ほしさに登る山だから景色も変わらぬ道ゆく
山道の景色変わらず数時間 舞台で景色を繰り返す装置

7/25木
30分下っても景色は変わらない 湧き出る気持ち「つらいつらいつらい」
「タクシー代、いくらですか?」と聞きました。聞いた額超え30分ほど
→「タクシー代いくらですか?」と聞きました。聞いた額超え三十分走る
(「塔」短歌会8/20締切投稿④)

7/26金
朝食のバイキングにフルーツはなく 息子の表情の色翳るさま

7/27土
iPhoneのカメラをずっと天に向け 大輪は撮れず カメラ下ろせず
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑨)

7/28日
初回でのルートを避けて再婚に臨むも足は床を踏み抜く
→初婚時の失敗を避けて再婚に臨むも足は床を踏み抜く
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑦)

7/29月
下界に降り体の痛みが消えた後 皮膚が剥けだす 下界に馴染めず

7/30火
万年筆のインクが切れて字はかすれ 不出来な歌の理由ができた
(「塔」短歌会8/20締切投稿⑩)

7/31水
炎天下 ただの2分で棒アイスのアイスは外れ 道、アイス食う
(8月歌会詠草)
→炎天下 たった2分で棒アイスのアイスは落ちて 道、アイス食う
(「塔」短歌会8/20締切投稿②)

撮影画像 ※短歌に関係ないものも

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。