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「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2023年11月号)

短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。

今月は7首採用。

採用された歌(掲載順)

飲んだあと黙って食べたつけ麺を体重計はなぜか知ってる

だあれにも知られぬ手柄立てたので月と影とで祝杯を挙ぐ

ウイスキーをひとり生のまま飲むことがちょうどよい そろりグラス傾け

赤坂は田んぼだったという父が佐賀の田舎で癌と闘う

「幸せだ」「幸せだなぁ」「幸せだ」加山雄三焼肉屋に満つ

一動作ずつ関節が鳴る早朝 ラジオ体操に楽器と化す我

SNSは元妻のこと仲のいい友達とでも思ってるよう

選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと

これは採用されるだろうなぁ、と思ったものがほとんど採用されていたのでよかった。父のこと、焼肉屋のことなんか特に。月と影は、李白の「月下独酌」から。好きな漢詩を自分の歌に取り込めてよかった。でも、いろんな人の歌を読むと、ハッとする言葉、語順の工夫で経験が瑞々しく感じるものがたくさんあって、ため息をこぼすばかり。どうやれば今よりうまくなるのか全然わからない。いまの活動の先に、歌がうまくなることはあるんだろうか。

投稿した歌

(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)

7/1土
飲んだあと黙って食べたつけ麺を体重計はなぜか知ってる

7/6木
スーパーに並ぶニラレバ食べたい日 七月六日はサラダ記念日

7/1土
だあれにも知られぬ手柄立てたので月と影とで祝杯を挙ぐ

7/6木
ウイスキーをひとり生のまま飲むことがちょうどよい そろり杯を傾け
ウイスキーをひとり生のまま飲むことがちょうどよい そろりグラス傾け

7/21金
赤坂は田んぼだったという父が佐賀の田舎で癌と闘う

7/9日
百二十六年分のご利益があるなら焼けるほおずき市へ
→百二十六年分のご利益があるなら灼けるほおずき市へ

7/16日
「幸せだ」「幸せだなぁ」「幸せだ」加山雄三焼肉屋に満つ

7/23日
一動作ずつ関節が鳴る早朝 ラジオ体操に楽器となる我
一動作ずつ関節が鳴る早朝 ラジオ体操に楽器と化す我

7/12水
SNSは元妻のこと仲のいい友達とでも思ってるよう

7/30日
丑の日に一串買って身をはがし丼二つに乗せる幸せ

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