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『地面師たち』エピソード6までの感想:ドラマの中の人間の魅力

Netflix「地面師たち」を見ている。

2017年に実際に起きた被害額55億円の「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルにしたドラマだ。

現在、エピソード6まで見た。今日、金曜の晩にエピソード7(最終話)を見る予定だ。

すでに見た人はよくエピソード6で止められるな! 続き見ちゃうだろ! と思うはずだ。私だってそうしたい。

月曜に妻と一緒に見始めて、妻が一話見て「続きは明日」と言ってしまうので、しょうがない。彼女の朝は早い。夜更かしは厳禁なのだ。かといって先に見てしまうと「また抜け駆け…」と言われてしまう。

今日はエピソード5がいいところで終わって(毎回そういう引きのある作りなのだが)、次のエピソード6の時間が短いことがわかったので、そのまま見ることになった。今週の平日中に全部見終われる!


それぞれのキャラクターがすばらしい。

それぞれに隙のありそうな、実際に欠点のある人間が多い。どんなに計算され尽くした緻密な犯罪であっても人間がすることだ。見る人が見れば、これくらい綻びのある人間たちが行っているのかもしれない。

綾野剛さん(辻本拓海)がいい。犯罪に加担してしまった人生の出来事を抱えて、それを人前ではずっと内に秘めつつ、感情を外に出さないように、淡々と仕事を進める。そういうストーリーで、そういう役ではあるのだけれど、何かを押し殺し続けている所作が、ドラマの進行中、ずっとストーリーの背景としても、存在し続けている。

ドラマを見る目と、役者を評価する目が交互にやってきて目まぐるしいが、許してもらいたい。

とにかく綾野剛さんのドラマの主人公としての振舞い(演技)が完璧だ。

麗子こと、小池栄子さんは、バラエティ番組の印象はどこへやら。今回、地主の替え玉を探す役を演じている。麗子もどこか抜けている。なんとか成立はするけれど、綻びのある仕事をする。画面越しに彼女を見ていると、数十年、綻んだ仕事を続けてきた人間だろうと思えてしまう。

ピエール瀧さんは、現実世界で、麻薬取締法違反で逮捕された後、俳優に復帰する前は、地面師として活動していたことが窺える。彼に法律の知識があったことが驚きだ。電気グルーヴの活動もしながらだから大したもんだ。また電気のライブに行きたい。

エピソード6は、1話1話のちょっとした綻びじゃ済まなくて、すべての綻びが噴出したような回だった。どんどん破綻が生じて、破滅に転がるように見えるが、まぁ、そこは地面師集団のリーダーであるハリソン山中(豊川悦司)ですよ。

過去に、この人は現実世界でも人を殺してますよね、と感じた役者さんはいましたよ。海外だと、ロバート・デ・ニーロは、間違いないでしょう。日本でも、緒形拳さんは何人か殺ってます。でも、最近、豊川悦司さんほどの怖さを見せた人は少ないでしょう。

エピソード6で、ゴタゴタが起きている現場から離れた場所にいるのに、ハリソン山中(豊川悦司)がこの世の中に存在しているというだけで、まだ、犯罪が成立するだろうことに疑いが全くない。ハリソンのキャラクターに合わせて衣装をオーダースーツに決めた後、「靴だけはブーツにしてください」と言ったらしいですね、豊川悦司さん。こわいです

全部名前を挙げてちゃキリがないので、ごくごく一部だけ。リリー・フランキーさん、マキタスポーツさん、池田エライザさんも存在感がいいですよ。

そして、大物俳優や、最近見かけるいい顔してる他の役者さんを差し置いて、アントニーの存在感がすばらしい。一番、ダメそうで、やっぱりダメで、まぁ、それが画面越しに伝わってくる。

大根仁さんも「チンピラ以外に、使いようある?」のみたいなことをおっしゃられていたけれど、まぁ、あの存在感が出せるなら、ぜひ他でも見てみたい。

まぁ何より、あれだけ個性的な人たちを集めて、演技させて、気が散らずにずっと目が離せないと思って見ているわけだから、「地面師たち」おもしろいですよ。

見てない人は週末見ましょう。来週、語り合いましょう。


あと、ドラマと役者の魅力にハマった方は、こちらも視聴ください。裏話が少しあります。8月7日まで。


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