「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2024年7月号)
短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。短歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。
今月は5首採用。
他に、5月号に掲載の歌が一首、巻末の「選歌欄評」に掲載されていた。
10歳の息子と推しがかぶること こんな幸せなことはなかろう
複雑な思いで受け取ったと書いてくださったように、離婚して、息子とは一緒に住んでいないこと、新たなパートナーとの関係に悩んでいることを並びの歌に掲載いただいていたので、ただ愛息と趣味が一緒ということに留まらない、とても嬉しいことが伝わって、再び、取り出していただいたことに感謝。
採用された歌(掲載順)
入籍の前日にだって「もうムリ!」と投げ出したくなることはあります
完璧な人はいぬもの そうであれ 比べちゃならぬ元妻と妻
「ゴミ捨て…」と言いつつ酒を買いに行く 行動はバレて妻のため息
何物にも依存をせずに生きる人の爪の垢茶を出せ、伊藤園
人妻という属性が付与されて、付き合い変わる友人のこと
選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと
取られた歌も含めて、ありきたりな状況が多かったかもしれない。取られた歌のゴミ捨ても、人妻というラベルのついた友人も、まぁ、世間によくある状況かもしれない。そういう中で、自分の経験を詠んだもの、あるいは、爪の垢茶など、少し切り口が違うと取られやすい。
投稿した歌
(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)
3/14木
入籍の前日にだってもうムリと投げ出したくなることはあります
→入籍の前日にだって「もうムリ!」と投げ出したくなることはあります
(「塔」短歌会4/20締切投稿①)
3/15金
虎の日で一粒万倍日の天赦日で315(サイコー)の日の役所の混雑
(「塔」短歌会4/20締切投稿②)
3/24日
完璧な人はいぬもの そうであれ 比べちゃならぬ 元妻と妻
→完璧な人はいぬもの そうであれ 比べちゃならぬ元妻と妻
(「塔」短歌会4/20締切投稿③)
3/7木
「ゴミ捨て…」と言いつつ酒を買いに行く 行動はバレて妻のため息
(「塔」短歌会4/20締切投稿④)
3/8金
調理してもテーブル上に会話なく 会話のレシピも一緒にください
→食卓におかず並べど会話なし 会話のレシピも合わせてください
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑤)
3/22金
寝ぼけるとつい「お母さん」と口にする 五十歳の手前、亡き母とても
→寝ぼけるとつい「お母さん」と口にする 五十の手前、亡き母とても
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑥)
3/30土
母と見た東京の桜 千鳥ヶ淵でさだまさしの詞とともに思い出す
→母と見た東京の桜 千鳥ヶ淵でさだまさしの詞と思い出す夜
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑦)
3/26火
何物にも依存をせずに生きていく人の爪の垢茶を出せ、伊藤園
→何物にも依存をせずに生きる人の爪の垢茶を出せ、伊藤園
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑧)
3/10日
目の前に肉だく牛丼食む息子 父は幸せを食む 子だくだく
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑨)
3/4月
人妻という属性が付与されて、付き合い変わる友人のこと
(「塔」短歌会4/20締切投稿⑩)
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