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「選」ばれた歌、「選」ばれなかった歌(2024年1月号)

短歌結社の会報誌に毎月短歌を投稿している。10首まで投稿できて、採用は5首前後の人が多い。歌はその歌が選ばれる「選」もフィードバックの一つ。何が選ばれて、何が選ばれなかったか、その基準を自分で考えることで歌を見直すことができる。手書きの投稿という面倒さも受け入れて、毎月送っている。

今月は6首採用。

採用された歌(掲載順)

土砂降りのゲリラ豪雨に逃げ込んだスーパーで取る半額の肉
他人のため剥ける林檎は多けれど 自分のために剥く林檎がない
徳を積む 善行を積むと名づけつつ ほんとは買った本を積むだけ
特撮のヒーローのこと子と話す 昔に親とできなかったこと
オンラインミーティング中 難しい顔して歌の推敲をする
詩の言葉摂取し続けても心底の砂地に吸われ乾いてしまう

選ばれた歌、選ばれなかった歌をみて感じたこと

これまでとあまり変わらない。月詠を送る時には、レアなシーンと思っていたけれど、切り取ったところ、切り取り方に、新しいところもない。選ばれた歌の中にもそういうものはあるけれど、少しは誰かの感情をかきたてるものになっているんだろうか。最近、毎日、歌を詠むことがちゃんとできていない。散文のメモをちょっと残して、月末に一気に三十一音の七五調に整えるだけ。詩的な感情を形にしないまま、放置した散文がもとになっているので、短歌らしくならない。困った。

投稿した歌

(投稿順、日付は詠んだ日、太字は採用歌、矢印は投稿時に推敲したもの)

9/15金
土砂降りのゲリラ豪雨に逃げ込んだスーパーで半額の肉を手に取る
土砂降りのゲリラ豪雨に逃げ込んだスーパーで取る半額の肉

9/4月
他人のために剥けるりんごは多けれど 自分のためには剥くりんごない
他人のため剥ける林檎は多けれど 自分のために剥く林檎がない

9/10日
厄落としに行った神社の社務所にて 金運を上げる小判だけ買う
→厄落としに行った神社の社務所にて 金運上げる小判だけ買う

9/11月
朝日差す部屋にて絡む脚の力に 現実のつらさ感じる月曜
→朝日差す部屋にて絡まり巻きつく脚に 現実のつらさおもう月曜

9/14木
徳を積む 善行を積む と名づけつつ ほんとは買った本を積むだけ
徳を積む 善行を積むと名づけつつ ほんとは買った本を積むだけ

9/3日
特撮のヒーローのこと子と話す 私が子の時できなかったこと
特撮のヒーローのこと子と話す 昔に親とできなかったこと

9/24日
「好きなだけ食べな」と言って懐の具合を探るスシローにても

9/28木
明晩は中秋の名月だという広告の和菓子のつやから目が離せない
→明晩は中秋の名月という和菓子広告の艶にくぎづけ
(「塔」短歌会10/20締切投稿⑧)

9/30土
オンラインミーティング中 難しい顔して 歌の推敲をする
オンラインミーティング中 難しい顔して歌の推敲をする

9/26火
詩の言葉摂取し続けても心の底の砂に吸われて乾いてしまう
詩の言葉摂取し続けても心底の砂地に吸われ乾いてしまう

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