百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(三五、三六)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に染みついたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
noteで書くことに困った時にまとめる予定だったが、最近は週一回、必ずまとめている。一つのnoteには、2首ずつ取り上げる。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら意味のあるペアの形でインプットしたい。歌をまとめて取り上げる作業は、連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
三五.紀貫之(きのつらゆき)
人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける
(ひとはいさ こころもしらず ふるさとは
はなぞむかしの かににおいける)
現代語訳
英訳
fick・le / fíkl(米国英語)/変わりやすい、気まぐれな、移り気の
plum/plˈʌm(米国英語)/セイヨウスモモ、プラム、(菓子などに入れる)干しぶどう、すばらしいもの、暗紫色、濃い紫
fra・grance/fréɪgrəns(米国英語), ˈfreɪgrʌns(英国英語)/かぐわしいこと、香気、芳香
解釈
感想
これが艶っぽい歌だとは知らなかった。そうと感じられない表現で、艶っぽい気持ちを詠んじゃうのね。伝わらなくてもいいという気持ちは、たくさんいい歌を詠んでるからなんだろうな。何とか艶っぽさを入れ込みたくなる。
三六.清原深養父(きよはらのふかやぶ)
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいづこに 月やどるらむ
(なつのよは まだよいながら あけぬるを
くものいづこに つきやどるらん)
現代語訳
英訳
twi・light/twάɪlὰɪt(米国英語)/(日の出前・日没後の)たそがれ(時)、薄明、薄暮、(薄明に似た)微光、(全盛期・栄光・成功の後の)たそがれ(の状態)
dawn/dˈɔːn(米国英語), dɔːn(英国英語)/夜明け、あけぼの、暁、始まり、兆し
at rest/安らいで、安静となって、安心して、静止して、停止して、解決されて、(地下に)眠って、永眠して
a・mong/əmˈʌŋ(米国英語)/…の間に、…の中で、…に囲まれて、の中の一人で、の中ですぐれた、…の間で、…の間で(分配して)、…の間で(協力して)、…の間で互いに
解釈
感想
ビルの谷間に月を探す歌を詠んだことがある。目の前にない、心にだけある月を詠むこともある。存在しないものでも、何かを考えさせる「月」ってすごいな。ドラゴンボールで、亀仙人が月を壊した後の世界ってどうだったんだろう?
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。