見出し画像

60.介護認定調査員来る

オカンの介護認定調査の時期がやってきた。
1週間前から毎日、介護認定の人が来るで!と
言ってきたが、もちろん覚えられるはずもなく。
予定の時間の15分前になってようやく、
着替えて出迎える気になってくれた。ほっ。

介護認定調査は、本人にとって、いい気分ではない。
あれができない、これもできなくなったと、
現実を嫌というほどつきつけられるからだ。
「いや、私はできる!」と、気丈なオカンは言うに
違いなかったし、このことで、自身がひどく傷つけられ
ひと波乱あることは必至だった。
それは、なんとか阻止せねば!

認定の方は、とても穏やかで、よさげな方。
ケアマネさんも同席してくれた。
オカンは、質問にスラスラ答えていく。

体に何も異常はありません。
生活は何でもひとりでできます。
介護の必要なんてありません。

案の定の答え。ムムム
調査員の方が、ちらりと、ケアマネさんと私の顔を見る。
私は、オカンに見えないよう、必死で首を横にふる。
ケアマネさんも、目で合図。
それを察知した認定の方は、サラサラとオカンの
言ったことをメモして、
「異常なしですね。これで調査は終わりです。
どうもありがとうございました」
と言った。

すると、事前に打ち合わせしていたわけではないのに、
すかさず、ケアマネさんが、
「お母さんと二人で話があるので」
と言って、オカンを確保。
その隙に、調査員さんを玄関に案内して、
家の外で、本当の現状を話すことができた。

後で、ケアマネさんも、電話で話をしてくれる
と言っていたので、たぶん大丈夫だろう。

他の人は、認知症の方の調査はどうしているんだろう。
本人の目の前で、厳しい現実をつきつける発言を
するのだろうか?
ただでさえ、毎日消えゆく記憶にショックを受け、
ひとつずつできないことが増えていく不安を
抱えている病人の前で、できないことを
あげていくのは、どうしたって、いいことではない。
きっと、他の人も、本人に席をはずしてもらって
話しているのかな?
正しい認定調査をしてもらうことが大切。
本当は、いつも身近で見ていただいている
ケアマネさんが一番事情を把握していると思うんだけど
ケアマネさんが調査員になることはない。
なんか、いろいろな理由によるのだろうけど、
正しい判定を受けられなかったら
どうしようと、不安になる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?