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【農業女子へインタビュー】農家に嫁いで4年、複合農家・ちゃらさんの1番の夢は?

こんにちは!農GIRL×農LIFE事務局です。

農GIRL×農LIFEではこれまでSNSを通して全国の農業女子の皆様と一緒に、農業のイメージ向上および魅力発信に取り組んできました。

そしてこの度、もっともっと農業女子の魅力を発信していきたいという思いから、
noteでのインタビュー記事の掲載を開始します!

第一弾は、岩手県、雫石町でしいたけ栽培を中心とした複合農業を経営している農業女子・ちゃらさんにインタビュー。

農家に嫁いで4年、現在2人目のお子さんを出産し育休中の彼女に、農家に嫁いだきっかけや苦悩、農業の楽しさについてお話を伺いました。

■農業×結婚

Q.結婚して農家になろうと思ったきっかけを教えてください。

――私の中で農家さんは『大家族』というイメージがあって、家族で仕事をするのが楽しそうだと思ったのがきっかけです。
私は保育士と幼稚園教諭の資格を持っていて、結婚してもその仕事を続けたいという気持ちもあったのですが、主人は「結婚したら家庭に入って一緒に農業をやってほしい」という思いがあって、私自身、ものづくりにはとても興味があるので農業に携わることにも好奇心が芽生え、主人と一緒に農業をやってみたいと思いました!

Q.自分のお仕事を辞めることに関して不安はありませんでしたか?

――当時勤めていた仕事が好きだったこともありますが、結婚して子育てをするとなると、自分の収入がなくなることや、農業で稼いだ分しか収入がなくなるので見通しが立たないことへの不安はありました。


Q.実際結婚して大家族になってみて感じたことはありますか?

――やっぱり同居について最初は不安やストレスを抱えることもありました。
結婚当初は主人のおじいちゃんおばあちゃんとご両親、高校生の弟くんとの生活でしたが、その他にも嫁の顔をひと目見ようと毎日のように来客があって……。
義理の叔父さんと叔母さんもしょっちゅう遊びにいらっしゃるし。
新しい家族との生活にも馴染めていなかった頃だったのでとにかく気が休まりませんでした···笑
あとはご飯を作る量がとにかく多いことが大変です!
普通の家庭だと作り置きできる量を1回で食べちゃうので、味付けの分量がわからなくなります。あとは作っていてフライパンからはみでちゃったりするので1回で作れないこともあります(笑)

なんと炊飯器も冷蔵庫も2つずつあるそう!
大家族の農家さんにとってはあるあるなのでしょうか?気になるところです。

Q.農家としては1年目どのように過ごされていましたか?

――農業を始めて1年目は気を遣われていて、手伝いたくても「見てて!」、「いいからいいから」と言われることが多かったです。
結婚して割とすぐに妊娠したので身体を気遣ってくれていたのもあったんだけど、私の中には「働かざる者食うべからず」の精神があったし、「嫁」なので何かはしなきゃって思ってて……。なので、1年目は全然仕事をさせてもらえず、見ているか、指示を待つかしかできなくて居心地が悪かったです。
結婚するまでは、仕事を任せてもらえたり、仕事ぶりを認めてもらえたり、自分を必要としてくれる環境の中で働けていたので充実していました。だからギャップがすごくて!右も左も分からないからお手伝いすらできない···これがすごく手持ち無沙汰で。
家族の優しさをありがたく受け取れず悔しい、悲しい気持ちが強かったです。

Q.その状況が変わったきっかけは?

――主人が結婚する前に新規就農をしていて、その形態を夫婦型にしようと提案してくれたことがきっかけです。
それから、家族経営協定というものを結んだのと、新規就農を夫婦型にしたことで「私も農業従事者なんだ!」という自覚を持てたんですよね。
作物を自分の名前で出せているわけではないけれど、経理を担当するようになったり、書面上で私が農業に関係していく手続きを進めるごとに、「私も農業に携わっているんだ、経営者なんだ」と思えるようになってから、居心地がよくなりました。

Q.自覚と自信につながったんですね!周りからの対応などにも変化はありましたか?

――ありました!
役場や農協の方、農業普及センターの方にも私の名前を覚えてもらえるし、たまたま会った時にも「あ!ちゃらさん!」って声をかけていただけることが増えて、私も“農業”という会社の中に入れた気分にどんどんなってきました。
研修の案内を頂けるようにもなったし、農業関係で私宛の封筒が届くのが嬉しかったりします!!

Q.新規就農をして生活面での変化はありましたか?
――今までは、家業も生活も祖父母がまかなっているかたちの農家だったんですけど、それが祖父母と主人と2つの世帯に分立したので、家族を養う役割がこちらにも回ってきたというのは大きな変化でしたね。

■農業×子育て

Q.現在は育休中ですが、子育てをしながら農業をどのようにしているか教えてください!

――上の子の時は、首が座ってから抱っこ紐やおんぶ紐を使って農作業をしていました。
少し大きくなってからはトラクターを持ってきて、見えるところに置いて、その中に子供を入れて仕事をしていました。
夏場は服を脱がせて畑に連れて行って裸足で走り回らせてました(笑)
重機を走らせていたり危ないところはありますが、子供が外に出ているという認識でみんな作業をしているので、基本野放しで近くにいる人が危ない時にサッと捕まえるようにしていました。

Q.のびのびとお子さんが遊べる環境っていいですね!

――敷地が広いからできることだなって思います。ただ、敷地の中にも水路だったり、祖父が重機を動かしていたり危ない場面もあるので、安全の確保をしながら遊ばせるとなると、作業という作業はできませんが、一緒に外に出るだけでも仕事の話ができるし、作業以外にもできる仕事があるので、そういったことをやっていました。

Q.お子さんが小さい頃、おんぶしながらの作業で気をつけていたことはありますか?

――後に背負いながらだと「痛くないかな?寒くないかな?暑くないかな?」というようなことや、しいたけのハウスでの作業の際は、どこかぶつけていないか、濡れていないかということを気にしながら作業をしていました。子供のことを考えるとあまり長時間の作業はできませんでした。

Q.そんな中で何か工夫していたことは?

――農作業をする時は絶対におもちゃを一緒に持って行っていました。
あとは、畑でイチゴを育てていたんですけど、子供が採って食べちゃうから、出荷するイチゴは早々に集めておいて、採って食べてもいいイチゴだけを残しておいて、満足いくまで採らせていました!
基本的に作業の真似をしたくなってしまうので……。しかも本物じゃないと満足してくれなくて!(笑)
なので、どうしようもない時は安全面も考えた上で誰かに預けたり、トラクターを託児室の代わりに使って作業をしていました。

Q.将来お子さんに家業を継いで欲しいなどの希望はありますか?

――もちろんその気持ちはありますが、家業を継いで欲しいというより、農業に興味をもってもらえたらいいなと思っています。
農業に興味を持ってもらえれば、家業を継ぐという選択肢も必然的に浮かんでくると思うので、ただ、押し付けるようなことはしたくないですね。1度は社会に出て、社会経験を積んで我々が農業ができなくなったときに戻ってきて継いでくれたらというのが理想です。

田舎でのびのびと子育てをしたいという希望があったちゃらさん。
子育てをする上で農家は時間の融通が利かせやすく、行事への参加がしやすいのはメリットですが、何より自然いっぱいの環境で泥だらけになるまで自由に遊ばせることができることが農家になって、子育てをしていて良かったと思うポイントだそうです!

■農業×ちゃらさん

Q.ちゃらさんの複合農業のメインとなっている作物について教えてください。

――うちのメインはしいたけと水稲です。
農家さんっていろいろなスタイルがあって、どんなスタイルでも働けるというのが魅力だと思うんですけど、うちは通年を通して収入があるスタイルをとっていて、祖父母と担当作物を分担してそれぞれ作業をしています!

ちゃらさんのつくるしいたけの自慢は肉厚で大きいところ。
菌床づくりから始まり、気温管理や水かけ、発生させるため作業など、毎日の地道な努力の積み重ねがおいしいしいたけには詰まっています!
しいたけの旬は今ですが、通年で収穫をできるように栽培しているそうなので、お近くにお住まいの方は是非探して食べてみてくださいね♪

◆ちゃらさん(櫻田さん)のしいたけが買える場所
・道の駅 雫石あねっこ内 【産直しずくいし】
・JR雫石駅 【驛田舎(えきなか)産直】
・マルイチ各店舗(岩手のスーパー)【産直はなまる市場】
・【南部マルシェ ぞっこん広場】
・イオンモール盛岡店内 【ふるさと百科 もりおかん】
・イオンモール盛岡南店内【賢治のふうどかん】
・クロステラス盛岡内【賢治の大地館】……など。

Q.就農して気がついたことや初めて知ったことはありますか?

――農作業だけでなく、書類の提出が多いことには驚きました。
新規就農の支援を得るためには“証拠”となるものが必要で、年間の計画や実際におこなった事を提出しなくちゃいけなくて、それを把握して書類として提出するのが大変でした。
あとは、経営者としては収入を上げていかなくちゃいけないので、栽培技術だけじゃなくて、売るスキルも大切なんだと気がつきました。
初めて取り組んでいるのは経理で、農業簿記を覚えている最中です!

Q. Instagramで投稿を始めたきっかけはなんですか?

――日々の生活を備忘録として残しておきたいと思ったのと、「こんなことをやっているよ!」って知り合いに発信したかったのがきっかけです。
あとは、他の農家さんがどんなことをやっているかなど、勉強も兼ねて農業を通した繋がりが欲しいと思ってInstagramを始めました。
私の投稿を見た知り合いや友達が、少しでも農業に興味を持ってくれたり、魅力を感じてもらえたらいいなと思っています。

Q.実際に反応や反響はありましたか?

――ありました!1番はしいたけを私から直接買ってくれるようになったことですかね。連絡をくれて買ってくれた人から「もうスーパーじゃ買えない!」という言葉をいただけた時は嬉しかったです!
あとは投稿を見て、「子どもたちに牛を見せて欲しい」って遊びにきてくれることもあって、機械や作業について興味を持って見て帰ってもらえて嬉しかったです。

Q. Instagramの投稿、いつもおしゃれですが、普段からメイクをして作業をしますか?

――しますします!
お客さんが来ることもあるし、それこそふらっと農協の方が様子を見にきてくださったりするんですよ。そういう時のためにもお化粧はしていたいし、時間があったら書類を提出しに出かけたりもするのでひとつのエチケットとしていつもしています。

Q.常にオンモードなんですね!

ーー会社にいた時は出勤・退勤っていうオン・オフがあったんですけど、農家にきてからそれが一切なくなったっていうのが私の中ではギャップがあったというか、最初は馴染めずに気持ちがどんよりしてしまって……。
だから今は朝起きてメイクをすることで、オン・オフの切り替えをしています!
ただ、髪の色もネイルも完全に趣味ですね!会社にいた時は大人しくしていないといけなかったからこの仕事は自由度が高いので、好きなようにやっています。

Q.確かに農ガールのみなさんを見ていると、髪色やメイクに個性が出ていると思います!

――やっぱりなりたい自分でいたいですね。
〇〇さんの奥さん?」、「あそこのお嫁さん」じゃなくて、「ちゃら」という人間として受け入れて欲しい、覚えて欲しいという思いがあるから、「あ!あの髪の赤い人ね!」でもいいから私の印象をつけたいなというのはあります。

Q.農業をはじめてよかったと思うことはなんですか?

――自分が携わっている仕事を家族に見せられるところは良かったなと思いました。
特に、小さい頃からたくさん面倒をみてくれて、育ててくれた祖父母は、今私が経営者として農業をしているのを見て、些細なことでも喜んでくれて。
会社に勤めていた時はそういうことがあまりできなかったから、農業をはじめて色々な報告ができるようになって良かったと思います。

Q.農ガールとして、ちゃらさんの今の目標や夢を教えてください!

――やっぱり“自分の名前を覚えてもらう”ってことは目標としてありますね
会社の経営上、社長が主人で私は「奥さん」、「お嫁さん」って扱いがとても多いので、そうゆう呼ばれ方じゃなくて私という生産者のひとりになりたいです。
そのためにまずは、作業も仕事に必要な判断や計画なども任せてもらえるように仕事を覚えて動けるようになりたいです!
運転免許も、教習所へ通わせてもらい、AT限定を解除したので軽トラやダンプを乗りこなさなくては💪✨笑笑

主人はこれからの地域の農業についてもとても熱心に考えていて、私たち夫婦は今、ちょうどそれに関する事業を進めているところなんです!
主人が掲げる目標や夢を一緒に叶えていきたいというのが今後の夢かなぁ……。

私自身の1番の夢は息子たちに「お袋の背中を見て農家を継ぎたいと思った」と言って貰うことです!「親父の背中〜」とかはよくいうけど、私の背中を見て農家を継ぎたいと思ったって息子に言って貰えたら嬉しいなって思います。

「農家の嫁」としてではなく、経営者「ちゃら」として、そして1人の母として。とても力強く頑張るちゃらさん。
取材の最後に「まだまだひよっこな私たちですが代々続く家業を受け継ぐにあたって、農作業はもちろん、経営についても主人と二人三脚で一生懸命取り組んで行きたいと思います.*˚」という意気込みをいただきました!

お子さんがまだ小さく目が離せないなか、お話ししてくださり、本当にありがとうございました。
今後のちゃらさんの活躍、そして夢の実現、たのしみにしています!

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“農業女子”、“農ガール”といってもきっかけやスタイル、環境はさまざま。

農GIRL×農LIFEでは今後もたくさんの方にお話を伺い、それぞれの魅力をお届けできたらと思います!

次回もお楽しみに♪

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