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【キャラクターデザインの方法#1】一つのアイディアからキャラデザインを考える話

こんにちは!はぜです!
今回は、比較的手軽に挑戦できるキャラクターデザインの手法を数回に渡りご紹介します。

あくまで、私のやり方 で制作にあたって様々なアプローチがあると思いますので参考程度に見ていただけたら嬉しいです。

▲ちびキャラデザイン検討中のラフ▲
▲SDキャラから6.5等身のデザインラフへ▲

この連載では、上図のように
ちびキャラでデザインを作り、その後に任意の等身でデザインを制作する流れをご紹介します!

デザインをする際は
以下のように段階を踏んで進めていきます。


【Step1 考える、観察する】
1.アイデア出し
2.ネタ決め
3.リファレンス探し

【Step2 ラフ制作】
4.検討した要素を再構築する
 →形と構造の検討
 →配色の検討
 →材質の検討
5.ネタに対してラフが意図通りか検討
6.背面図、側面図の作成

【Step3. 清書】
7.清書
 →3面or2面図の作成


ざっと簡単に書き出しただけでも
1つのデザインを完成させるまでに多くの工程をこなします。

使う媒体や、デザインの細かさなどによって必要な確認フローが異なるので案件によって+αで工程が変わってきます。

この記事では、【1 考える、観察する】の工程についてどう製作しているのかご紹介します!

Step1「モチーフ」を決めて擬人化してみよう!

キャラクターデザインをしようと考える時
大抵の場合はテーマを決めてデザインします。

仕事なら多くは以下のような与えられたテーマから手探りでデザインをします。

「主人公のキャラを描いて欲しい。年齢は10代で女性。ファンタジーな世界観で剣で戦えそう。」

上記のように発注が来たけど何を描いたら良いかわからない…となってしまったり

ご自身の創作であれば、
・可愛い女性キャラを描きたいけどいつも同じ服装
・個性的なデザインにしたいけど何を描いたら良いかわからない…

など悩みがあると思います。

そんな場合は

一度描いていた手を止めて手癖で闇雲にかかないようにします。

手を止める理由としては、
絵面を構成するための方針がわからないまま描き進めると

なんとなく「主人公みたいなデザイン」
「なんとなく可愛いキャラクター」

とぼんやりしたものが行き当たりばったりで出来上がってしまう為
・キャラクターは出来上がったけどぱっとしない
・なにをするキャラクターなのか分からなくなってしまう…
といった悲劇を防ぐためです。

手を止めた後は、ぼんやりと頭に浮かんでいる
・描きたいキャラ像
・モチーフ
などを文章で書き出してみましょう。

一度書き出してみることで、ぼんやり考えていたものが脳から一度アウトプットされるので明確になっていき検討の精度が上がります。

何かしらそこには表現したかったテーマが
はっきり書き出されていると思います。

それを一つ選び、
これから紹介する方法でデザインにチャレンジしてみてください。

前置きが長くなりましたが今回は、
執筆している時期が秋で家の近辺にいっぱい咲いていた
金木犀に何かしら魅力を感じたので、

「金木犀」を擬人化したキャラクタ―を作ってみる

をテーマに実際にキャラクターデザインを考えてみようと思います。

1.モチーフを観察する

▲今回のモチーフとなる「金木犀」の花

今回モチーフに選んだ金木犀の写真になります。
まず、金木犀を観察して「金木犀を構成している要素」は何があるのか?
気づいた点をできるだけメモしていきます。

モチーフを観察した時のスケッチとメモ


・形はどんな形か?
・厚みは?
・モチーフから受ける全体の印象はどんな感じか?
・色は何色くらいあるのか?
・構成している配色はどんな感じか?

ざっと上記のことを気にしながらできるだけ
「モチーフの視覚的な情報」を言語化していきます。

今回は植物なので視覚的な情報が少なめですが、
他の方が起こしたデザインを観察する際などは

・「なぜ」このデザインになったのか?
・なぜこの形なのか?
・なぜこの模様なのか?

など、一見わからない要素も含まれていたります。
その場合は、なぜ?と思った箇所もそのままメモをしておき
調べたりします。

2.モチーフの文化的な背景を調べる

モチーフを視覚的に観察して得られる情報の他に、
文化的な観点での要素は何があるのか?を調べます。
具体的には、

・花言葉
・関連する民話や小説など
・生活の中でどういった立ち位置、使われ方をしているのか
・モチーフの歴史

などを調べていきます。
この時点では、何を残す・採用するなど
精査せず調べた大まかなものをメモに書き留めていきます。

(今回は女性キャラのモチーフに使いたかったので
 金木犀はほぼ日本では雄の木 などは外してしまっていますが…)

余談ですが、調べているうちに色々な情報に触れることになるので
雑学的なストックが増えていき人間としての幅がでるような気がします!笑

3.アイディア出し(連想ゲーム)

▲連想ゲームでのアイディア出しと使えそうな要素の整理

モチーフの観察と背後にある文化的な要素などが調べ終わったら
いよいよ、キャラデザインするためのアイディア出しをしていきます。

ここまでが「【Step1 考える、観察する】1.アイデア出し」の工程になります。やっとキャラクターデザインの入り口にやってきました。

・なぜ連想ゲームをするのか?
「金木犀」のモチーフからデザインのネタやコンセプトになりそうな
キーワードを抽出する工程になります。

・アイディアに広がりを持たせる
・モチーフを構成する要素を言語化して洗い出す
・アイディアをモチーフから近い関連しそうな要素から導き出す
・印象を可視化、言語化できる

など、視覚情報を言語化できるので
デザインコンセプトを考える際に感覚ではなくロジカルに考えられる
メリットがあります。

今回は「箱法」と呼ばれる連想方法を使用して連想してみました。
連想方法の解説は今回は記事の趣旨と離れてしまうので割愛しますが、
色々な方法があるのでいづれまとめたいところ…

4.【ネタ決め】キーワードをまとめて精査する
連想ゲームで抽出したキーワードをさらに「デザインに使えそうなもの」
という観点で精査していきます。

★全体をまとめるテーマになりそうなキーワード
★キャラクターの雰囲気を決められそうなもの
★シルエットを決めるネタになりそうなもの

大まかには上記のような分類に分けていきます。

▲連想ゲームのキーワードを精査しているところ▲

さらに、分類分けしたキーワードから「ピンときた」キーワードを抽出します。
「ピンときた」は文字通り「これがいいかも?」「やりたいデザインの方向性に近いキーワードかも?」みたいな引っ掛かりや魅力を感じたキーワードです。
今回は、5つ選んでみましたが
最低でも3つは選んでみてください。

・なぜキーワードを最低3つ選ぶのか?

3つ混ぜることで、
「3つの要素をデザイン的にいい感じに混ぜて再構成をする必要」
が出てくるのですが、この混ぜる過程でデザインに
・取り入れないもの
・取り入れるもの
を取捨選択する過程で強制的に制作者自身の頭のフィルターを通して
デザインを制作することになるのでオリジナリティが作られます。

一つの要素から「アイディア」を引っ張ってきてしまうと…
・無意識でデザインが類似してしまう
・ありきたりなデザインになってしまう
 →例えば「金木犀」モチーフなので安易に花の形を使うと同じ形なので
  かぶってしまう… 
  実際は、特定のデザインを参考にしていないのに
  パクリなどのトラブルの元になるなどの悲劇が起こるリスクがある。

など、意外にも大きな火種を抱えることになってしまうケースもあるうえに
時間をかけて考えたデザインがありきたり…という悲劇が生まれてしまいます。
昔、著作権に強い法務さんに相談した時
「最低でも3つは要素を混ぜてください。何かにとても似てしまうことを防げます」
と回答を頂いてから個人的に守っている方針です。

選んだキーワードが今回制作するデザインのネタやコンセプトになります。

5.【リファレンス探し】イメージボードを作成する

前回の項目で選んだキーワードを元に
良いと思った写真やイラストなど参考作品や情報を
視覚的なイメージで集めてまとめていきます。
そうして作られるのが「イメージボード」といいます。

(専門用語解説)
リファレンス ・・・参考した情報のこと
イメージボード・・・言葉で説明できない、視覚イメージをまとめたもの
*業界によっても若干意味合いが変わってきますがおおまかにはこちらを指します。

▲今回制作したイメージボード▲

権利の関係でぼかしてますが、キーワードを元に
・近い印象のキャラクター
・近い印象の服やピンときた服
・花の写真
・アクセサリー
・髪型
・顔
など幅広く参考画像として引っ張ってきています。

こつとしては・・・
デフォルメされたイラストをご自身が制作する場合は
それと少し離れた「実写女優さんの写真」「実写の花の写真」「実写の服」
など写真素材をなるべく選び、イラストを排除すると
特定の作家さんに似てしまうといったリスクを減らしながら制作することができます。

参考画像を選ぶ場所は様々で
・取材撮影する
 (散歩する、お店にいく、展覧会に行く、図書館に行く など)
・自分の携帯のカメラロール
・インターネットから引っ張ってくる
などです。

あくまで参考資料なので
デザインを起こす際に権利があやふやな画像や
明らかに他の方が制作されている画像などから加筆したり
素材に使用したりしないようにしましょう。多くのトラブルの元です。

ここまでお疲れ様でした!

次回はいよいよ【Step2 ラフ制作】を解説し
実際にキャラクターを描いてデザインする工程に入っていきたいと思います!

次回もぜひ読んで頂けたら嬉しいです!
ここまでお付き合いありがとうございました!

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