日記【前世も白菜 来世も白菜】
こんばんは。のがのです。
皆さん、白菜切ってますか。
料理をするようになれば、誰しも通る道、白菜。
実家を出て、一人でキッチンに立っていた頃。
私は白菜に謝っていた。
「ごめんね、わかってるよ、わかってるからね、
切るよ、ごめんね」
やばい。
でも、怖かったのだ。白菜が
「私は生きている!痛いのは嫌だ!気づいてくれ!」
と言っているような気がして。
やばい。
「うんうん、分かってる、君が生きてることは知っている。でもごめん。一思いに行くからね」
心の中で語りかけるのではない。
私はまな板の白菜に話しかけていた。喉元にナイフを突きつけながら。
「いくよ、いくよ」
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気づいたら私は、まな板の上に横たわっている。
誰かが私に向かって、
「ごめんね、わかってるよ、わかってるからね、
切るよ、ごめんね」
と、ナイフ片手に呟いている。こいつ、やる気だ。
「私は生きている!痛いのは嫌だ!気づいてくれ!」
私は精一杯叫ぶけれど、その誰かには全く聞こえていない。
でも、聞こえたかのように
「うんうん、分かってる、君が生きてることは知っている、でもごめん。一思いに行くからね」
と私に謝っている。
「いくよ、いくよ」
私の意識はブツっと切れた。
気がつくと私は、キッチンに立っていた。
まな板には、白菜が乗っている。
なんだか、この白菜が
「私は生きている!痛いのは嫌だ!気づいてくれ!」
と言っているような気がして、切るのが怖くなる。
「うんうん、分かってる、君が生きてることは知っている、でもごめん。一思いに行くからね」
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私が死んだら、まな板の白菜に生まれ変わり、
まな板の白菜は食べられたら、キッチンに立つ私に生まれ変わり、
その私が死んだらまたまな板の白菜に生まれ変わる。
低燃費で持続可能な輪廻転生。
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料理は得意では無いので、いつもネットでレシピをしらべ、
なるべく正確に再現します。
その誰かが書いてくれたレシピに全幅の信頼を寄せているので、
気づいたら味見無しで食卓に並べています。
まずい時もあります。
ありがとうございました。
のがの
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