見出し画像

日記【轟音】

今夜は、星が綺麗だ。
外は、日中の暑さが嘘のように寒い。
まだ夏じゃないんだなって、ほっとする。
夏は夜、秋は夕暮れ、なんて言うけれど、
夏は無理、である。

そうだ、星の話だった。

流星群、と聞くと、少しわくわくする。
大人と呼ばれるようになった今でも、極寒の中に重装備をして、温かいお茶を飲みながら空を見て
首いてぇ、あっ、流れた、うそ、見えなかった、首いてぇ、さむーい、首いてぇ、あとひとつ見たら帰ろう
そんな事をやっている。

流れ星は、音も立てずに流れるものだから、どうしても見逃してしまう。
現場は灼熱、閃光、暴風、轟音で壮絶だろうに、
私から見ればただ、静かで、刹那的で、綺麗なだけだ。

他人の人生は、流れ星のようなものかな、と思う。
街に溢れる人々は、ひとりひとりが轟音を抱えている。
私には聞こえない壮絶を。
苦しくても、悲しくても、絶望していても
誰にも聞こえない。それでいて
人前ではニコニコできて。轟音は、誰にも聞こえない。

街中が流星だらけだ。なんつって。

星を見て、
私の人生なんてちっぽけなものだわ、楽しくやりましょ。
なんて、達観出来たら良かったけれど。

星、綺麗だなぁ、私はちっぽけだなぁ、もうアラフォーだなぁ、無職だし人生終わりだなぁ。早く死なないとなぁ。首いてぇなあ。

どうしたって、自分の轟音や壮絶に圧倒されて、
ちっぽけなくせに、
楽しくやりましょ、のフェーズに移行できない。

他人から見たら、私も、静かで、刹那的で、綺麗なのかな。
この文章も、私は轟音の中で書いているけど、読んでいる人には、なんにも聞こえない。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

カウンセリングって、その轟音を聞いてくれる特別な場所なのかも、ってふと思った。

長くなりました。
ありがとうございました。

のがの

( タイトルのイラストは、植物、脳の神経、宇宙の繋がりをイメージして描きました )





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?