見出し画像

はたらくということ

高校サッカーの地方予選も佳境に入ってきました。

北海道や秋田、山形など、代表校が決定してきているところもあり、12/28の開幕までここから更に盛り上がっていくものと思われます。第100回の記念大会、感染症や天候などの影響が無いことを祈るばかりです。

さて、サッカー界の取り組みの中で、面白そうなものがあったので、今回はそちらをご紹介。

人材派遣や転職支援を本業にするパーソルグループと日本サッカー協会の共同企画だそうです。

「ピッチのほかに、もう一つの職場 ─ 審判員の兼業・複業」「引退後にどうはたらくか ─ 審判員のセカンドキャリア」「審判員のアンガーマネジメント」

もう、タイトルを見るだけで面白そうだな、と自分は思ってしまいました。テキストと動画の2本立てで、シーンを問わずご覧いただけますので、お好きな方でぜひ見てみて下さい。

審判員、というと、マイナーなというかニッチなお仕事のように思う人も多いかと思います。でも、今回のこの企画を見ると決してそんなことは無いと感じられるのではないでしょうか。

一ビジネスマン、ビジネスウーマンにも参考になる価値観や考え方が多く盛り込まれているインタビューで、タイトルにもあるように、"はたらく"すべての人にとって一聴一読の価値あり、そういっても過言ではない企画となっています。

例えば、

疲れていても、ミスをしてうまくいかなかった試合のあとでも、いつも通り授業をします。それもプロだと思うんです。どの仕事もしっかり役割を果たすというのは意識しています。(ピッチのほかに、もう一つの職場 ─ 審判員の兼業・複業【審判員:山内宏志さん】 より)

仕事をして、その対価として報酬を得ている以上、それはどんな仕事であれプロとして働いているということに他なりません。スポーツ選手に限らず、サラリーマンであっても同じことです。そして、プロである以上は、仕事は仕事でやりきる、プライベートや個人の状況環境は持ち込まない、という姿勢を貫くべきである、というのが、山内さんのお話しです。

そんなの厳しい、とか、そんなプレッシャーのある仕事してないし、とか、いろいろ意見はあるかと思います。でも、例えば、同僚がある日、

「今日は寝不足なので、1時間遅れて出社します」

と言ってきたとしたら、あなたはどう思うでしょうか。始業1時間後に2人で参加する打ち合わせがある、と仮定して。

もしかしたら、打合せの前準備をする必要があるかもしれないし、打合せが急遽15分前倒しになるかもしれない。そうなった時、あなたはその同僚にどんな感情を抱くでしょうか。

1人で何とかやるさ、と言い切れる人はそれでも良いのですが、自分ならこう思うでしょう、「頼むから早く来てよ」と。

つまり、この同僚には、「始業時間に出社する」ということが、プロとして求められているわけです(意識が高いだ低いだは置いといて)。そのプロが"寝不足"という、プライベートな状況を、仕事に持ち込もうとしているわけです。果たしてこの同僚は「しっかり役割を果たしている」と言えるでしょうか。

つまり、どんな仕事であれ、求められている役割、というものがあるのです。自分の役割は何なのか、ということを少し考えてみると、仕事に取り組む姿勢が、変わってくるかもしれませんね。

。。。

ほかには、

英語が伝わらないケースもあるので、そういうときはジェスチャーや表情、声の強さでもよくて、とにかく大事なのは審判員の意思をどんな形であれ相手に伝えることです。(海外で笛を吹くということ ─ 国際審判員の“はたらく”【審判員:佐藤隆治さん】 より)

これも記憶に残った言葉です。

意思表示がされなかったために上手くいかなかったこと、これ、少なくないはずです。これは仕事に限らず、です。

小学生の時、母親から「早くお風呂にはいりなさい!」とよく言われていました。この経験は、自分だけでは無いと信じたいですが。。。

で、そんな時、思っていたことは「いま入ろうと思ってたのに…」です。そう、思っていたことを伝えなかったために、結果、怒られてしまっているのです。「20時になったら入ろうと思う」「次、CMに入ったら」などなど、一応でも言っておけば、ひどく怒られることも無かったろうに、とは、いまになって思うことです。

でもこれ、仕事でも同じだと思うのです。

「○月○日の15時までに見積出します」「今日のプレゼン、10分だけ時間下さい」と事前に言っておけば、「見積いつ来るんだ!」と怒鳴られることも無かったでしょうし、「お前、いつまで喋るつもりだ?」と嫌味を言われることも無かったはずです。

佐藤隆治さんは、海外で働く日本人の立場で、お話しして下さっていますが、日本人同士でも大事にした方がいいな、と感じた考え方です。期限を切ると、追われているような気がして大変、という人もいるかと思いますが、明確にしておくことで仕事がしやすくなるという面もあります。場面にもよりますが、先に宣言をしてから始めることで、相手が想定できるので、結果として相手のためになることもあります。もしいま何か行き詰っていることがある方は、ヒントにしてみて頂けてたら、と思う考え方でした。

。。。

最後に。

自分も昔、審判をかじった経験がありますが、この言葉はとても共感してしまいました。

予測を超えるプレーを目の前で見られるというのは、予測をしたことによって得られる感動ですから、それは審判員ならではの幸福だと思います。(審判員のアンガーマネジメント ─ ジャッジメントの舞台裏 後編【審判員:山下良美さん】 より)

選手から、ベンチから、抗議を受けるのはよくあることですし、観客からの罵声だって時にはあります。100点取って当たり前、99点だったらその「マイナス1」をすごくクローズアップして非難されます。友人からも「何が楽しくて審判なんてやってるの?」とよく聞かれました。

でも、山下さんの言葉は、まさにその質問の回答となるような言葉です。想像もしなかったビューティフルゴール、目の前を華麗なフェイントでかわしていくドリブル、両チーム選手から試合後の感謝の言葉。そんな、思ってもみなかったことが10試合、20試合の中で一瞬でも起きてしまうから、もう少し審判を続けてみようかな、と思えていました。懐かしいなぁ、と思いつつ、いつかまたあの場所に帰れたらなぁ、と思う自分もいて、何とも複雑な感傷に浸ってしまうのですが。

期待値を少し超える、想像を少し超える。その「少し」が仕事を終えたときの充実感を大きく変えます。0.01%でもいい。最低限に何か少しプラスアルファできないか、という目線で日々を過ごしていけると、毎日がもっと良いものになっていくのではないでしょうか。少なくとも私は、そう信じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?